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カッバーラでしか解けない「ヨハネの黙示録」(8)

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(8)7つの教会と7つの金の燭台の謎!

 「黙示録」はヨハネが記した書ではあるが、イエス・キリストの言葉を表す一書である。そのことをヨハネは冒頭から宣言している。

「イエス・キリストの黙示。この黙示は、菅にも起こるはずのことを、神がその僕たちに示すためキリストにお与えになり、そして、キリストがその天使を送って僕ヨハネにお伝えになったものである。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第1章1節)

 ヨハネがバトモス島に流刑された頃、12使徒たちの要だったペテロはすでにローマで逆さ十字架にかけられ、パウロも斬首されていた。トマスはインドに伝道した際、マタイと同じように槍で突き殺され、バルトロマイはアルメニアでこん棒で打たれた後、生きながら皮剥ぎの刑で殉教している。地上に生き残っている12使徒はヨハネだけ、磔刑後に復活したイエス・キリストを実際に見た証人も、伝道者ではヨハネただ一人になっていた。そうした状況下、イエス・キリストの遣いがヨハネの前に降り立ったのだ。

「私は霊に満たされていたが、後ろのほうでラッパのように響く大声を聴いた。その声はこう言った。「あなたの見ていることを巻物に書いて、エフェソ、スミルナ、ベルガモン、ティアティラ、サルディス、フィラデルフィア、ラオディキアの7つの教会に送れ。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第1章10~11節)

 「7つの教会」とは、小アジア(現・トルコ)に散在する「原始キリスト教」の支部のことで、これら7つの都市にだけ、ローマ帝国の裁判所が置かれていた。そのことと手紙は無縁でがなかったはずである。

「あなたは、私の右の手に7つの星と、7つの金の燭台とを見たが、それらの秘められた意味はこうだ。7つの星は7つの教会の天使たち、7つの燭台は7つの教会である。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第1章20節)

 「7つの教会の天使たち」とは、支部を導く指導者を表す聖書的な表現である。7つの燭台は、「メノラー」という7枝の「アーモンドの花」をかたどった常夜灯のことで、モーセがイスラエル人を連れてシナイ半島をさまよっていた頃、移動式神殿の聖所には黄金の燭台が置かれていたとされる。明かりは蝋燭ではなく、枝の先に配置された7つの花形容器に純粋なオリーブ油を満たし、そこに差し込まれた芯に火が灯されていた。

*(飛鳥氏の視点)

 宗派の相違点を簡単に説明できない理由は、それぞれが勝手な解釈をするからである。ただ、原始キリスト教会の特徴だけは明確に言える。まず、ヘブライの預言者のように、イエス・キリストから預言者が召され、神権が存在するということである。

 原始キリスト教ではイエス・キリストが明らかにした三位三体を基本とする教義を貫き、信仰の対象はあくまで生けるイエス・キリストであり、神だイエス・キリストから啓示が下っているということである。

 当然、マリアを拝むことはないし、死の象徴である十字架を持つこともない。十字架はイエス・キリストの頃はT形で、ローマによる磔刑はロザリオのような十字架ではなかった。

 もちろん、魔女狩りも行わなければ、天動説も唱えない。十字軍を派遣することもなければ、免罪符の発行もないし、進化論を受け入れることもない。

 彼らはもう一つのイエス・キリストの聖典を持っているから、聖書しか持たないキリスト教会のように、解釈の違いで分裂することもない。

 原始キリスト教会は他の宗派に対して寛容である。同じクリスチャン同士で敵対しないし、仏教、イスラム教、ユダヤ教、ヒンズー教などの他宗教にも寛容である。彼らの神もヤハウェであり、イエス・キリストの別名であることを知っているからである。


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