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「竹内文書」の真相(48)

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(48)釈迦の墓

 世界の宗教的偉人は、すべからく日本にやってきた。道教の老子や儒教の孔子、孟子、ユダヤ教のモーセ、仏教の釈迦、キリスト教のイエス、そしてイスラム教のムハンマドまで、みな皇祖皇太神宮へ参詣し、神道を学んだ。「竹内文書」は大胆にも、そう主張する。中でもキリスト同様、釈迦もまた、日本で亡くなっており、その墓があるという。不合朝の出来事として「竹内文書」には、こう記されている。

「天皇即位7年、カナメ月立10日、迦毘羅国王子、釈迦若来る。天越根主尊に命じ、釈迦入門を許る」(「神代の万国史」第2編105章 不合朝第70代)

 釈迦は日本で6年間修業し、神道を学んだ後、インドへ帰国。八百万の神々を如来や菩薩という名に置き換えて教義を整理し、仏教を開いた。多くの弟子たちを得て教団が大きくなったころ、再び日本へ行くことを決意。食中毒によって死んだように見せかけて、日本へとやってきた。日本で天寿を全うし、その遺体は青森県の梵珠ヶ岳に埋葬されたという。

 梵珠ヶ岳とは、今で言え梵珠山のことだ。青森県五所川原氏にある。最寄り駅がある町は、その名も「大釈迦」という。梵珠山に連なる峰には「釈迦堂山」もある。地元では、旧暦の4月8日と7月9日には、御灯明なる火の玉が出現するといわれており、一部ではお釈迦様の霊魂だとも噂されている。

 ただし、現存する「竹内文書」には、釈迦が埋葬された梵珠山のことは出てこない。逸文として紹介したのは山根キクである。彼女の著書「光は東方より」では、当初、釈迦の墓は長野県長野市の典厩寺にあると記していたが、その後これを否定した。「キリストは日本で死んでいる」にて、改めて釈迦の墓は梵珠山にあると主張している。

 このあたりの揺らぎは、心もとないが、キリストの墓のみならず、釈迦の墓までが、日本の、それも青森県にあるとは驚きである。真偽は別として、これもまた暗号として位置づけて読み解く必要がある。手掛かりは「釈迦族」である。

 お釈迦様の名前はガウタマ・シッダールタである。釈迦というのは一族の名前「シャーキャ」のことである。今でもネパールに行くと、シャーキャ族がいる。カースト制におけるクシャトリア階級で、仏像や祭具を作成したり、政治の要職についている方が少なくない。

 一般に、釈迦族は人種的にアーリア系であるといわれている。インドの人の多くがアーリア系の人種で、言語もインド・ヨーロッパ語に属することが大きな理由だ。しかし、これに対して日本の仏教学者・中村元氏は異論を唱えた。

 問題とされたのは名前である。釈迦族はコーサラ国のオッカーカ王の末裔とされるが、ガウタマ・シッダールタの父であり国王であった「スッドーダナ」は「浄飯王」と漢字表記される。サンスクリット語の「オーダナ」とは米を意味する。一族にはシュクローダナやドロトーダナ、アムリトーダナなど、コメの名を持つものが多数いる。

 このことから中村氏は、釈迦族の主食は米であると考えた。当時のアーリア人の主食は麦であり、明らかに食習慣が異なる。釈迦族は米を主食とするモンゴロイドだったのではないかというのだ。

 ネパール人は、インド・アーリアとは少々、人種が異なる。アーリア系の他、かなりモンゴロイド系が混じっている。現代のシャーキャ族も、その容貌は典型的なアーリア人とは違う印象がある。

 お釈迦様、すなわちガウタマ・シッダールタがモンゴロイドだとすれば、極めて日本人に近い。「竹内文書」でいう五色人でいえば、お釈迦様は日本人と同じ黄人だったのではないか。

 仏教経典では釈迦族は「日種」とされる。太陽信仰を持った一族だった。太陽を最高神として崇める日本人と同じである。そのため、日本の僧侶の間では、お釈迦様は日本人ではないかという噂があった。竹内巨麿や山根キクらは、まさに、それが事実であったと主張したわけであるが、保守的な仏教界が追認するはずもなかった。

 これについて、近年、興味深い研究報告がある。人間が持つY染色体のDNAを分析したところ、日本人特有の遺伝子が見つかったのである。隣の中国や朝鮮半島では、ほとんど見られないもので、ハプログループDと分類される。東アジアでは日本だけが孤立した状態なのだが、なぜか中国の内陸部、チベットやネパールでも発見されている。しかも、シャーキャ族からも見つかったのである。

 つまり、これまで奇説として退けられてきた「釈迦=日本人説」は、真実味を帯びてきたのである。


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