(33)ヨセフと大国主命
「正統竹内文書」によると、陸路で日本列島に戻ってきたスメル族は山陰地方に上陸して、出雲族となった。
出雲族は、天孫である大和民族とは異なる独自の神話を持っている。
「古事記」にも記されたスサノオ命の八岐大蛇胎児と並んでよく知られているのが因幡の白兎伝説である。
鳥取には今も白兎を祀る白兎神社がある。
あらすじは、こうだ。大国主命には意地の悪い兄弟、八十神(やそがみ)たちがいた。
ある時、八十神は因幡の八上姫(やがみひめ)に求婚するため、大国主命を従えて旅に出た。
途中、彼らは毛を毟り取られた白兎に出会う。
何でも、白兎は隠岐島(おきのしま)から渡る際、ワニを騙して海上に並ばせ、その背中を伝って上陸したのだが、最後に逆襲されたのだという。
八十神らは塩水に使って風に当たれば治るといったが、症状は悪化した。
一方、大国主命は体を真水で洗い、ガマの穂の花粉を塗れば治癒すると語る。
こうして、白兎の傷は癒えるのだが、その時予言を残す。
曰く、「八上姫と結婚できるのは大国主命である」と。予言は成就し、二人はめでたく結ばれた。
同様の話は日本以外にもある。
物語に登場するワニは出雲地方の方言でサメを意味するが、東南アジアでは、文字通り爬虫類のワニとなっている。
バージョンによっては、白兎が鹿や猿になったりするのだが、どうも南方系の神話のようである。
もともとは古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」に原型があるというのだが、興味深いのはマレーシアの神話で、そこは鹿がソロモン王の命令を受けてワニの数を調べるという口実が語られる。
ソロモンとは、今から約3000年前の古代イスラエル王国の大王である。
世界各地から貢物を集め、栄耀栄華を極めた。
貢物の中には孔雀もあったというから、少なくとも商船はインドまで来ていたはずである。
東南アジアに古代イスラエル人がやってきていた可能性は十分ある。
そう考えると、大国主命の素性が預言者ヨセフそっくりなのだ。
ヤコブの子供であるヨセフには、やはり意地の悪い兄弟がいた。
ある時、ヨセフは兄弟たちに騙されて、奴隷として商人に売られてしまうのだが、やがて才能をいかんなく発揮し、ついには古代エジプト王国の宰相の地位にまで上り詰める。
一方の兄弟たちは、飢饉によって苦しい生活を余儀なくされ、エジプトへと流されてくる。
最後に、ヨセフは自らの正体を明かして、両親と家族を王室へと向かえる。
紀元前18~全6世紀ごろ、古代エジプトはヒクソスという異民族が支配していた。
ヒクソスはセム系の民族で、この中にはヨセフらがいたと考えられている。
ヨセフを含めて、ヤコブの子孫であるイスラエル人はエジプトで繁栄するのだが、時代が変わり、再び舐め形のエジプト人が支配権を握ると、彼らは奴隷の身となる。
特に神殿などの建造に駆り出され、数多くのピラミッドを手掛けたはずである。