(29)沈没大陸「ミヨイ」と「タミアラ」の正体
現代地球科学、特に地質学において大陸と大洋では地殻の種類が違うことがわかっている。
大陸性地殻はケイ素とアルミニウムが多く含まれており、海洋性地殻にはケイ素とマグネシウムが多く存在する。
島があるからと言って、それがかっての大陸の一部であったことにはならない。逆に海中に没しているからと言って、そこが海洋底であるとは断定できない。
実際のところ、太平洋や大西洋には大きな大陸性地殻は存在しない。太平洋のニュージーランド周辺の「ジーランディア」や大西洋のブラジル沖の「リオグランデ」、インド洋マダガスカル沖の「マヴリツィヤ」は、いずれも大陸性地殻であるが、その規模からいって大陸ではなく、ムー大陸やアトランティス大陸、レムリア大陸ではありえない。
ミヨイとタミアラ、そしてアー大陸とウン大陸の謎を解くカギはムー伝説にある。
ムー大陸を提唱したジェームズ・チャーチワードはスパイである。動かしていたのは旧日本軍である。
秘密結社・八咫烏の指示の下、実は密かにムー大陸伝説を作り上げるため、彼を元軍人に仕立て、太平洋上の沈没大陸を書籍として発表させたのだ。
チャーチワードの著書を読めばわかるが、ムー大陸伝説の本質は大洪水である。世界中に残る大洪水の記憶を太平洋上のムー大陸沈没として収斂させた。同様なことは、アトランティス大陸にも言える。プラトンが伝え聞いた沈没大陸は、実際には大陸ではなく、大きな島程度であった。後に、多くの研究家がアトランティス大陸という幻想を抱き、かつ、その証拠として挙げたのが、やはり世界の大洪水伝説であった。
ノアの大洪水にこそ、実はムー大陸の正体を知る手掛かりがある。
太古の地球は今よりも小さく、高い山脈も無かった。そのため、大洪水が発生したとき、瞬く間に大陸は水没した。当時、存在した大陸は一つ、超大陸パンゲアである。つまり、これがムー大陸の正体である。正確に言えば、大陸が水に沈んだのではなく、大陸を水が覆ったのだ。
しかし、ミヨイ=ムー大陸=超大陸パンゲアではない。タミアラも、同時期に存在したと「竹内文書」は主張する。ここで、重要な手掛かりとなるのが「正統竹内文書」である。ミヨイがウン大陸で、タミアラがアー大陸であろう。いずれにせよ、二つの大陸は阿吽の関係にあった。阿吽とは陰陽であり、その元は太極である。これが超大陸パンゲアである。
ノアの大洪水によって、超大陸パンゲアは水没した。ここから急激に地球は膨張し、表面積が拡大した。これにより、超大陸パンゲアは真ん中から大きく裂けて、そこにテーチス海が誕生した。丸かった超大陸パンゲアは、ちょうど「くの字」になった。世の教科書に掲載されている超大陸パンゲアは、この姿だ。
地質学では、北半球に広がる部分を「ローラシア大陸」、一方の南半球に広がる部分を「ゴンドワナ大陸」と呼ぶ。太極である超大陸パンゲアから分裂し、陰陽二つとなった大陸が、まさに阿吽一対のアー大陸とウン大陸であり、タミアラとミヨイの正体に他ならない。
大きく二つに分裂した超大陸パンゲアは、その後、大陸放散によって、更にバラバラになり、今のような世界大陸の配置となる。地球膨張が一段落した段階で、本格的な大陸移動が始まり、南半球にあったゴンドワナ大陸の一部で、現在のアフリカ大陸からマダガスカル島とインド亜大陸が分裂する。インド亜大陸は北上して、ローデシア大陸、つまり今日でいうユーラシア大陸に激突する。
これがレムリア大陸である。地球科学の仮想大陸であったレムリア大陸は現在、インド亜大陸及びアフリカ大陸、すなわちゴンドワナ大陸として昇華されている。
「竹内文書」でいうインド洋の沈没大陸は、このうちインド亜大陸を指している。インド周辺にはカンベイ湾など少なからず海底遺跡がある。同様に、中米のカリブ湾にもマヤ文明に連なる海底遺跡が発見されており、これらの記憶が「竹内文書」に反映されている可能性がある。