(26)長寿の秘密
超古代の天皇は、すべからく長寿だった。「竹内文書」に記された年齢は異常なほど長い。
224億32万16歳とか、260億10万歳、360億万歳など。まさに桁外れなのだ。もちろん、これは意図的なもので、数字そのものを真に受け入れる必要はない。大洪水以前の人々は今よりも長寿だったという象徴だと思えばいい。
同様のことは「古事記」や「日本書紀」にも言える。古代の天皇は、みな長寿である。武内宿祢に至っては300歳を超える。もっとも「正統竹内文書」によれば、暦法の違いと複数の人物を一人の武内宿祢として記録した結果であるというが、それでも古代の天皇の年齢が今よりも長い傾向にあることは変わりはない。
人間の寿命については「旧約聖書」が詳しい。もともとエデンの園に住んでいたころ、アダムとエバは不死身であった。「生命の樹の実」を食べていたので、死ぬことはなかったが、ある時、蛇の姿をしたサタンに誘惑されて、エバが禁断の「知識の樹の実」を口にしてしまい、絶対神の怒りを買う。結局、同じく食べたアダムとともども楽園から追放され、死ぬ体になってしまった。
このことは「八咫烏秘記」にも記されている。最初の人類であった「闢父」と「闢母」は楽園「寧楽(なら)」に住んでいた。寧楽には「天樹」と「地樹」が生えており、前者の実を食べると永遠の生命をもたらすが、後者の実を食べると死ぬ体になるために禁じられた。
ところが、邪悪な「天黒魔」が闢母を誘惑し、地樹の実を食べさせてしまう。闢父もまた、禁断の樹の実を食べて、寧楽を追放され、死すべき体になったという。内容は、ほとんど「創世記」と同じである。
楽園を追放されたアダムとエバは、やがて寿命がつきる。アダムは齢930歳。息子及び子孫たちは、それぞれセトが912歳、エノシュは905歳、ケナンは910歳、マハラエルエルは895歳、イエレドは962歳、エノクは365歳(死なずに天に上げられた)、メトシェラは965歳、レメクは777歳と、今から比べると驚くほど長生きであった。
不死ではないにせよ、なぜのあの大洪水以前の超古代人は長寿だったのか? その理由は、地球環境にある。当時の地球は今よりも小さかった。重力も小さかったため、生物は巨大化した。恐竜が軒並み大きい体なのは、そのためだ。今よりも酸素濃度が高く、全地球を分厚い雲が覆っていた。有害な紫外線や宇宙線を防ぐバリアのような役割をしていたおかげで、細胞の老化が進まず、寿命が長かった。
しかし、ノアの大洪水で一変した。地球環境が激変した結果、生物の寿命もまた極端に短くなってしまう。「旧約聖書」にはノアの年齢こそ950歳だが、子孫のセムは602歳、アルパクサデは438歳、ペレグは239歳、アブラハムは175歳、ヤコブは147歳と徐々に年齢が短くなって、ついには現代のように、長生きしても100歳前後の寿命になってしまう。
このように、ノアの大洪水以前、人々は極めて長寿だった。その記憶が「竹内文書」には反映されているのである。
「竹内文書」には超古代の天皇は地球を支配していたと記されている。日本のみならず、全世界を巡行していた。まさにウルトラ皇国史観と言うべき内容だが、同じことは「正統竹内文書」にもある。古代の日本人は 全世界に進出し、メソポタミア文明やエジプト文明を築いた。
その証拠が全世界に散らばる「アスカ」という地名である。日本の奈良にある飛鳥の他、朝鮮の安宿、インドのアスカ、さらには音を含んだナスカ、アラスカ、アシュク、アステカなど、いずれも楽園や理想郷の意味が込められた地名が各地にある。「正統竹内文書によれば、これは大洪水以前、世界の中心だった日本の都の名前がアスカだったことに由来するという。
実は「八咫烏秘記」にもアスカの記述がある。表記は「安宿」である。寧楽を追放された闢父と闢母は「単一大地」の東へと移住し、そこを「安宿」と呼んだという。当時、人類は二人しかいなかったため、楽園追放の後、最初に住んだ場所、いうなれば都が安宿だったというわけである。「旧約聖書」でいえば、エデンの園の東の名前が安宿だったことになる。
ノアの大洪水が起こるまでは、安宿=アスカが超古代文明の中心地だった。アスカとは都の名前であると同時に、超古代文明の名前でもあり、失われた理想郷を意味する聖なる名前だったのである。
さらに注目すべきは「単一大地」という言葉である。これは当時、一つしかなかった超大陸パンゲアのことを指している。楽園の寧楽がエデンの園だとすれば、それは超大陸パンゲアの中央に存在した。そこから四方に4つの川が流れていたことが「創世記」に記されている。
超大陸パンゲアの中心から東の果てはどこか? それは極東である。東アジアに安宿はあった。具体的に、それは日本列島である。大陸移動が始まる以前、日本列島はユーラシア大陸の東端にあり、これが分裂して現在の位置になったのである。
ノアの大洪水以後は、形跡は悉く消え去り、地殻変動の結果、山々が連なる日本列島が形成されたが、元々、ここに超古代文明の中心地があった。奈良の飛鳥とは、まさに寧楽の安宿であり、失われた超古代文明アスカの名残りなのである。「竹内文書」が超古代天皇が全世界を支配していたと記すのは、まさに超古代文明アスカのことを象徴していたのである。