（２３）創造科学
古史古伝「竹内文書」を読み解くにあたって、鍵となるのは「聖書」である。もとになった「八咫烏秘記」のベースが「聖書」である以上、これは絶対である。
「聖書」の世界観を持って「竹内文書」も分析する必要がある。ただし、その際、注意しなくてはならないことは歴史観である。現代科学、特に地球科学の定説をもって、「聖書」を読むと、ほとんどお伽噺の様に思える。計算すると、たった６０００年ほど前に地球はもちろん、宇宙が創造されたというのだ。２１世紀において、学校で習った歴史観とは、程遠い。科学的な事実と宗教は違う。あくまでも「聖書」とはユダヤ教やキリスト教、イスラム教における神話のようなものだと、多くの人は考えている。
しかし、同じ科学でも、創造科学という分野がある。「聖書」に書かれた記述は正しいという前提の下、あくまでも科学的な視点で地球史を構築する学問だ。文科省の指導要領には無いため、日本では、ほとんど知られていないが、欧米では大学で教鞭をとる学者が創造科学を研究している。
一般の科学、地球科学と大きく違うのは年代である。ビッグバンによって宇宙ができたのは今から約１３７億年前、地球が誕生したのは約４６億年前とされる。生物が誕生したのは３８億年前で、約５億４２００万年前にカンブリア爆発と呼ばれる急激な進化が起こり、今日の生物のもとになる多様性が生まれた。
微生物から原生動物、魚類と言った脊椎動物が誕生すると、やがて棲み処を陸上へと移し、両生類から爬虫類、鳥類、ほ乳類へと進化。６５００万年前には地上を支配していた恐竜が絶滅し、それを境にほ乳類が台頭し、やがて人類が誕生する。現生人類が現れるのは約３０万年前のことだという。
さて、地球の歴史であるが、実は、大きく３つの仮定のもとに成り立っている。
①斉一論 ②年代測定法 ③進化論 である。
①斉一論は自然界の変化は常に緩やかであるという見方である。これに対して、地球の歴史は何度も天変地異が起こり、その都度、生物が大量絶滅している。地球規模の絶滅は環境の激変に他ならない。特に中生代末期の恐竜絶滅は巨大隕石の激突であったと、アカデミズムが皮肉にも大激変を主張し始めた。
有史以前の化石を見ると、斉一論のもとでは化石はできない。化石になるためには、生物の遺骸が瞬間的に空気から遮断され、水底に沈まなくてはならない。高温高圧の条件がそろえば、意外に化石は短時間でできることが分かっている。
②次の年代測定法は地球史を編纂する上で非常に重要なテーマである。現在主に使われている年代測定法は放射性同位体を利用する。放射性同位体は物質が崩壊して別の物質に変化していくため、その割合を調べれば、どれだけの年月が経ったのかわかるというもの。有名なものに炭素１４法がある。一見すると、厳密に見える放射性年代測定法だが、盲点がある。但し書きと言うべき大前提がある。それは測定する対象が存在した時代と現代の地球環境が全く同じだという条件である。
斉一論のもとでは、確かに放射性年代測定法は正しいだろう。しかし、恐竜が絶滅するほどの天変地異があったのに、それ以前と以後では、全く地球環境が同じであるという客観的な証拠はない。つまり、放射性年代測定法の条件が満たされていないのだ。
③そして進化論。ダーウィンの進化論は適者生存、生存競争の下、環境に適応した種が生き残り、体を変化させてきたというが、もはや生物学においても通用しない。メンデルの遺伝の法則と進化論は互いに矛盾する。遺伝子の研究が進んでいる昨今、ウイルスなどによってDNAが変化し、それに伴って個体が変化していったという説もあるが、種全体の進化を説明できるほどの証拠は無い。
そもそも染色体の数が違う。人とチンパンジーでは遺伝子情報は９９％同じだが、染色体の数が違うため、互いに掛け合わせたとしても、子孫を残すことはできない。遺伝子操作によって新たな生物を生み出すことはできても、自然界においては進化が起こった証拠は一つもない。その意味で進化論は、あくまでも工業製品のバージョンアップを表現する社会科学用語であり、生物学で語ったところで、実際は博物学でしかない。
創造科学が基本的に正しいという立場から、改めて「竹内文書」を読めば、そこかしこに実に興味深い記述に出会う。「竹内文書」を編纂するにあたっては、順番を入れ替えたり、名称を大幅に改変していることを念頭に置けば、竹内巨麿が残そうとした「真竹内文書」が見えてくるのだ。