(10)漫画「封印された古史古伝 竹内文書の謎」の要約
ここに一人の男がいる。男の名は竹内巨麿。彼が世に出した「竹内文書」は戦前の日本を震撼させる。
竹内文書は語る。「古代の地球の1年は360日だったと。さらに、地球が太陽と言う「日球(ひだま)」を公運するとある。人の霊は「天日国(あまひくに)」と言う場所から「天一柱(あまはじめはしら)」を通り、地球へ送られ、息吹によって誕生した。その地を「地美(ちみ)」と言い、神がそれを見て良しとした。地球を言う!
地上に男女二人の神が創造され、彼らによって万国の神々(人類)が生まれたと! その人類 最初の地を「淡海根(あわみね)」と言い、一つの海洋と一つの陸(根)を暗示する! 絶対神の唯一の皇子がいる場所は燃え盛る日(火)の玉の太陽であると! それを「日玉」といい、「記紀」ではそこを天照大神の住まう「高天原」と記し、地上(地球)を「葦原中国(あしはらなかつくに)」と区分けする! 太古の人類は天空を飛翔する「天空浮舟(あめのうきふね)」を持っており、それに乗って世界中を飛び回り日本人の祖の天孫族も時速180キロもの超高速で巡幸したとある! 破壊的な大洪水が襲い、地上の人類のほとんどを滅ぼし去ったと! その大洪水は、数百度に勝る泥の海で、大木や貝の化石は、この時にできたと記している! 天空浮舟に乗って、九死に一生を得た天孫族が、水の引いた大地を見おろすと、そこにいたのは黒人の祖であったと記している!」
「竹内文書」には「万国形地図(とこまのくにかたちず)」なる世界地図があり、それらの全てが明らかに南北が逆転している! 「不合六代天皇 御作万国地図」には、黄人(きのひと)、白人(しろひと)、赤人(あかひと)、黒人(黒人)、青人(あおひと)の五色人(ごしきじん)がいたとある!
「竹内文書」の影響を受けた酒井勝軍は日本ピラミッドとされる四角錐形の「葦嶽山」を発見する! そこには太陽石、方位石、鏡石があったとされ、その後のピラミッド捜しのブームに火をつける!
同じく「竹内文書」の影響を受けた山根キクは青森県三戸郡にあった「戸来村(新郷村)」を訪れ、村一番の旧家・沢口家の前の土盛りを調査して「これこそがキリストの墓です!」と断言し、やがてそこに木製の十字架が立てられることになる!
これからは、飛鳥昭雄氏の弟子サイ九郎との会話となる。
サイ九郎「日本にキリストが来て死んでいたなんて?」
飛鳥氏「日本には浦島太郎や桃太郎の墓まであるから、そんなに驚くことはない」
サイ九郎「じゃあ、嘘なの?」
飛鳥氏「嘘とまではいわないが、墓があるから死んだとは言えないということさ。ただし、イエス・キリストはこんなことを言っている! イスラエルのユダヤ以外にも失われたイスラエル10支族のところへ行かねばならないと! これは十字架に掛けられる予言をしたときに語られたことなので重要な意味を持っている!ノアの大洪水を生き延びた8人は新世界に降り立つったが末の子のハムが罪を犯したためハムの子カナンの子孫が呪いを受ける! 一方、行いの正しかったヤフェトは、その子孫が世界中に広がり、領土を増やす祝福を受け、セムはその子孫からメシアが生まれる祝福を受ける! このアジア系のセムから信仰の祖アブラハムが生まれ、その子孫イサク、孫のヤコブへと続く。ヤコブからイスラエル12支族が生まれ、その中のユダ族からメシアが誕生する」
サイ九郎「じゃあ、イエス・キリストって白人じゃなかったの?」
飛鳥氏「少なくともハリウッド映画のイエス・キリストとは違うだろうね。それに日本では昔からキリスト教は西洋の宗教で中世ヨーロッパの絵画が金髪の白人で描かれているので思い違いをしている人が多い!最もエジプトに売られたヨセフの結婚した相手が白人だった可能性があることはある。エジプト文明はハムの子孫が築いた黒人文明だったが、能力のある者は民族に関係なく採用されカナン人との結婚を禁止されたヨセフはコーカソイド系の娘と結婚して子をもうけている!このヨセフの子マナセとエフライムがレビに代わりに加わって新しいイスラエル12支族が誕生する。だから、ヨセフを通して白人の因子がイスラエルに入った可能性はあるんだよ」
サイ九郎「そんなことまで発表した巨麿ってどんな人だったの?」
飛鳥氏「出生については謎が多いが、「竹内文書」が伝えられた竹内家の養子となり、京都の鞍馬山で修行に入った後、本格的に「竹内文書」の封印を解いていったとされている!しかし、「竹内文書」の内容があまり奇抜で当時の神武天皇を祖とする皇国史観に反するものとして弾圧され、特高警察が巨麿を逮捕して「竹内文書」の原書や宝物のほとんどを押収してしまう!」
サイ九郎「どうして?無罪になったのに?」
飛鳥氏「1945年3月10日の東京大空襲で灰燼と化したとされている!一説ではどこかに保管されているともいわれているが、巨麿の子孫の手に戻ることはないだろう!」
数日後、ミスターカトウから接触があった。
カトウ「飛鳥先生!今からある人物に会っていただくことになります!」
飛鳥氏「誰に会うのですか?」
カトウ「今は言えません。東京の某所で会ってもらいます!残念ながら私は行けませんが、全ての段取りはしてあるのでご心配はいりません!」
かくして飛鳥氏が会ったのは正統竹内家の子孫・第73世武内宿祢こと、竹内睦泰氏だった!
竹内氏「飛鳥先生、私は正統「竹内文書」の継承者です。養子である巨麿とその子孫とは関係ない立場です!」
飛鳥氏「すると、巨麿が起こした皇祖皇太神宮とも無関係と?」
竹内氏「はい!巨麿が世に出した「竹内文書」は正統の一部に浮ぎません。なおかつ重要な部分が数多く改変されています。イエス・キリストは日本で死んでいません。「正統竹内文書」ではキリストを伊勢津彦と表記し八戸から蝦夷地へ向かい、そこからさらに東に向かったとあります。青森県南部と秋田県には大湯のストーンサークルや大石神ピラミッドなどの謎の縄文遺跡がいくつもあり、北海道にはアイヌがいてオキクルミカムイの信仰を持っていた!今もアイヌは必ずもう一度戻ってくるといい残した神オキクルミカムイを待ち続けている・・・」
飛鳥氏「もしそうならオキクルミカムイの正体は復活した神イエス・キリストとなり、イエス・キリストが残した有名な言葉とも重なるのです。さらにそこから東へとなると太平洋しかない。そのかなたにあるのはコロンブス到達以前の古代アメリカ大陸! マヤ文明の神ククルカンやケツァルコアトル インカ文明の神コンティキ・ビラコチャ ハワイ先住民の神ノロなどすべてが白く輝く顎髭を持つ神とされている。そして古代アメリカと環太平洋の民族全ての神がもう一度戻ってくるという同じメッセージを残している。これが偶然では片づけられない問題だ」
竹内氏「それについてのコメントは私の立場上できません!」
飛鳥氏「分かっているつもりです」
竹内氏「飛鳥先生、ナボナサル紀元をご存知ですか?」
飛鳥氏「はい。それは紀元前748年、中東で行われた歴の大変更のことで、それまでの1年360日を365日に替えた世紀です。古代インドのバラモンもアーリア系ペルシャも古代バビロンもマヤのトウン歴もすべて1年は360日でした」
竹内氏「それと同じ歴を伝える「竹内文書」をアカデミムは滑稽として偽書の理由にしています。日本で唯一古代世界の歴を残す記録であるにもかかわらず!人の体に命を与える息吹は「旧約聖書」にもあり、世界を泥の海に沈めた大洪水もノアの大洪水にほかならず、恐竜を含む有史前にいた生物たちのほとんどは大洪水で絶滅して化石になりました!大洪水以前の人類が天空浮舟に乗っていたことも、南米ペルーのナスカ平原の岩盤に残るカブレラストーンに彫られた恐竜と飛行装置によっても証明できます。また、大洪水でも死ななかった体の持ち主と言えば人類最初の殺人を犯し体に印をつけられたカインしかなく、「竹内文書」にある大洪水後の地上に立っていた黒人の祖がカインとなります。最後に確認したいことがあります。なぜ「万国図」が南北逆になっていると思いますか?」
飛鳥氏「古代のある時期、地球は極移動を起こし南北が入れ替わったからです」
竹内氏「よろしい。結構です。地球の南北が古代に逆転したことは古代中国の尭帝が方位を改めた記録が孔子の「書経」にあることや古代ギリシャのヘロドトスが「歴史」にエジプトの神官から聞いた太陽が2度逆から昇ったとする記述や古代ギリシャの史劇「アトレウス」にあるゼウスが太陽を逆行させた記述から分かる」