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世界皇帝の死(17)

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(17)欧州諸国は魔王の死を待ち、密かに準備してきた!

 魔王は、消費者が熱望する高性能EVですら、警察権力を動員して、徹底弾圧させ、回収させ、スクラップの鉄くずの山にする権限を有していた。船瀬氏は、告発DVDを観て、改めて闇の力の凄さに戦慄したという。だからこそ、2017年、突然、相次いだヨーロッパ諸国のEVシフト宣言に驚愕したのだ。それは、欧州自動車業界の脱石油宣言であり、国家による石油依存への決別宣言だった。彼らは魔王の死を待っていた。そして、2017年3月、悪の巨星が堕ちるや満を持して一斉に脱石油EVシフトを宣言、アクセルを踏み込んだ。

 さきがけ先陣を切ったのは北欧のノルウェーであった。ノルウェーは、2016年、保守党を中心とする中道右派と、労働党を中心とする中道左派の野党連動の合意事項として発表した。内容は、2025年からガソリン、ディーゼル、ハイブリッドの三車種の販売禁止である。

 オランダは、それに呼応して、2025年から同様の禁止措置を公表した。オランダ与党、労働党が提案し、法案はオランダの下院を通過している。

 スウェーデンは2030年より全面禁止。「スウェーデン緑の党」のイザベラ・ロビン氏は「スウェーデンだけでなくEU全体で規制すべきである」と発言。

 ドイツは2030年より全面禁止法案が連邦参議院を通過、成立した。自動車大国であるドイツの決定は、EUや国連の規制措置に大きな影響を与えることは間違いない。

 フランスは2040年より全面禁止。国務大臣の二コラ・ユロ氏が政府発表としてリリース。

 イギリスは2040年より全面禁止。環境食糧省大臣のマイケル・ゴーブしが政府決定として記者発表した。

 以上がヨーロッパ勢の発表内容である。一瞥して申し合わせたかのように、①ガソリン、②ディーゼル、③ハイブリッドの三車種を「販売禁止」としている。これは偶然ではありえない。さらに禁止年度にしても、ノルウェー。オランダは2025年、スウェーデン、ドイツは2030年、フランス、イギリスは2040年と、2国ごとに足並みそろえ、段階を踏んでいるのも不自然だ。つまりは、各国、事前に打ち合わせ、すり合わせて、合意の上で発表したのは間違いない。同時に一斉禁止を打ち出せば、国際カルテルととられかねない。そこで、規制の時期を少しずらせて発表したのだろう。

 さらに、欧州勢のEV宣言に、アジアのインドが呼応したのだ。インドは、2030年より、三車種すべて販売禁止。これはピューシュ・ゴヤル大臣が発表した。今後は爆発的な自動車市場として期待されている。注目すべきは全面禁止の時期である。スウェーデン、ドイツに比肩する速さである。

 中国は2019年より規制。三機種全面禁止ではなく、あくまでも規制である。EV比率を上げていくことでガソリン車、ディーゼル車の相対比を下げていく。ハイブリッド車は現在のところ規制なしである。ただし、実行2019年度は、すべての国に先駆けるスピードぶりに驚く。習近平は、「中国は世界最大のEV大国になる」と宣言し、「100車種のEVを開発する」と鼻息も荒い。すでに約10兆円もの開発費を計上している。ガソリン、ディーゼル、ハイブリッドの全面禁止も時間の問題である。

 アメリカのGM社は自ら開発、量産したEVを自ら回収、廃棄した。不可解極まりない行動も、魔王の差し金と知れば納得がいく。その魔王が2017年に死んだ。そして、それを待っていたかのように欧州各国さらにインドなどが、ガソリン、ディーゼル、ハイブリッド禁止を打ち出したことにアメリカは慌てた。そこで急遽打ち出した策が、2018年以降、560㎞以上走行するEVの台数比を2018年で約1・1%、2020年には約2・4%、2025年に5・5%と漸次増やしていく策である。EV政策も180度方向転換の豹変ぶり。それも諸外国のEVシフト・ショックによるものであることは間違いない。

 ヨーロッパ勢が牽引するEVシフトを見ると、欧州メーカーの本気度と意地の悪さが見え隠れする。まず、ガソリン車の禁止はわかるが、各国、ディーゼルも禁止としている。自ら開発してきた高性能車を打ち捨てても、EV開発に特化する決意が伝わってくる。そして欧州各国が足並みそろえて、ハイブリッド車を禁止としていることに注目する。これは明らかにトヨタのプリウス潰しである。プリウスはトヨタが誇るエコカーとして世界を席巻した。しかし、2017年ショックは日本にとってダブルの衝撃だ。虎の子のハイブリッド車まで全面禁止なのだ。世界のEVシフトはエンジンとモーターの併存は認めない。早く言えば、日本が世界に誇れるプラグイン・ハイブリッドの技術は根絶する。つまりは、排ガスなしのゼロ・エミッションしか認めない。


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