(40)進行する国民預金召し上げ政策
財務省は、預金封鎖の準備を1997年の「研究検討」から着々と法整備を進めてきた。それを暴露したのが2002年12月発売の「文芸春秋」だった。その象徴が今に続く財務省版「国の借金」「国民1人当たりの借金」の併記である。「一億国民が等しく負う国の借金返済責任」がその目的である。これは霞が関と自民党の「借金を返さない恥=日本人の恥」に主眼を置いた知能犯的犯罪で恥に敏感な日本人を洗脳する。
そもそも預金封鎖は、究極の一手である。銀行預金などの金融資産の引き出しを制限・禁止することで、社会体制を守る目的で決行される。しかし、それが見せかけのハリボテなら話は別だ。爪の先の灯をともして貯めた日本人の預金の総額を、国家体制維持の目的で日本政府が頂戴するのは、国体維持が目的の国家総動員令と同じである。
つまり、自民党が「財産召し上げ」を決行するのである。そんな資格を自民党に与えた覚えなどはないはずだが、法的にはそれが可能なのである。自民党に圧倒的な議席数を与えた行為が、自民党の免罪符になる。国家が経済金融不安に陥った場合、預金者が銀行から預金を引き出そうとし、取り付け騒ぎになる場合がある。
そんな時、国は一時的に引き出し禁止、あるいは制限することができる。自民党はそのシステムを悪用する。そのとき、自民党が推し進めた「マイナンバー制」が切り札になるだろう。無差別に預金封鎖を決行すれば、外国人が巻き込まれて国際問題に発展する。そこで日本人だけに網を打つ必要があり、そのためにマイナンバーが使われる。マイナンバーは銀行と直結するため、外国人は難を逃れられるからである。
自民党がマイナンバーを急いだ理由は、国民の預金をすべて頂戴するためだと言うと、「軽薄な陰謀論」と笑う人も出てるが、甘いというしかない。過去、日本政府を信じて悲惨な運命をたどった国民は数知れないからである。
やせた土地に大量に送り込んだ「満州入植」然り、肥えた土地を無償でもらえると騙した「ブラジル移民」然り、チッソが流した「有機水銀原因説」を国が仮病と否定した「水俣病」然り、飼料メーカー保護で対応が遅れた「狂牛病」然り、有害アスベストの在庫がなくなるまで使い続けた「アスベスト問題」然り、ミドリ十字の非加熱製剤保護で拡大した「エイズ問題」然り、すべて国を信じた結果生じた国民の悲劇である。
最大の悲劇は「神国日本不敗論」で、国に騙され、踊らされた日本人に残されたのは焦土だけだった。