(35)「18歳選挙権法案」は自民党戦前回帰への謀略
アメリカは経済と軍事が一体化した軍産複合体国家で、その証拠に戦争が公共事業になっている。世界が平和になると、アメリカの主要産業である軍事兵器産業が成り立たなくなる。そのアメリカがTPP全体を主導する以上、経済・軍事を一体化する環太平洋軍産複合化を推し進めるのは当然の結果である。
そうはいっても、年々圧力を強め、広大な太平洋の西半分を制覇しようと画策し、最終的には太平洋全域を牛耳る底意を露わにする全体主義・中国の存在と、ロマノフ王朝時代のロシアを復興させる為、戦争も辞さないプーチンの存在は、環太平洋の安全と自由を保障する体制の脅威である。
中国は一時、TPPに加わる趣旨を明らかしたが、ジェスチャーに過ぎない。中国は非関税障壁が多すぎ、中国の国内企業が非関税障壁によって守られている現実から、TPPに加入すればアメリカの餌食になることは明白である。そこで中国は、艦隊を自由航行させるために、ブラジルと手を組み、空母の離発艦の指導訓練を受けている。、中国はTPPをアメリカ極東戦略の一部に位置付けている。巨大な経済協定でアジア市場の門をこじ開け、巨大な軍事協定でアジア太平洋地区の主導権を握ることである。そもそもTPPはアメリカを中核とするブロック化協定である。ブロック化はEUのようなブロック経済圏を意味すると同時に、防壁を意味し、防壁とは基本的に軍事力を指している。日本人は全くそのことに気づいていない。
日本は小泉内閣以降、アメリカ化のために走り続け、安倍内閣で完成させる勢いである。その最大の目的が「新日米同盟」である。CSIA(戦略国際問題研究所)のリチャード・アーミテージがアメリカのお先棒を担ぎ、自民党と霞が関が従う構造だった。自民党はそれ以前から、毎年「年次改革要望書」を受け、それに全面的に従ってきた。内容はアメリカによる日本改造である。しかしアメリカが最も嫌う政治家・小沢一郎率いる民主党が政権を奪ったとき、小沢の命令で年次改革要望書は廃止された。それでアメリカは小沢に怒りを覚えたが、中断はあったものの、それを引き継いだのが「アーミテージ・リポート」だった。
アーミテージ・リポートは表に出ない部分があり、最もわかりやすいのが「18歳選挙権法案」である。アメリカは「ベトナム戦争」で21歳過ぎに与える選挙権付与を18歳に引き下げた経緯がある。選挙権のない18歳の若者を戦地に送りこむのは理不尽としたからである。そこでアメリカ政府は選挙権を18歳まで引き下げ参政権を持たせたのである。派兵人員を増やす国策だった。それを霞が関と自民党がアメリカ主導で日本に持ち込んだのである。
アメリカの徴兵制度はベトナム戦争平和協定成立(1980年)で廃止され、1975年に「選抜徴兵登録」も廃止され、志願制に移行したが、1980年に選抜徴兵登録が復活し、いつ徴兵制が復活するか分からない。要するに、日本のアメリカ化で18歳志願制から始まる18歳徴兵制を見据えた自民党の政略である。アメリカでは若者の仕事がなくなり、1%の富裕層が99%の弱者を支配する超格差社会が完成した。その中で奨学金を返せない若者が満ちあふれ、生活の安定を求めて志願兵になっていく。
一方、日本ではどうか? 小泉・竹中政権の時代に、グローバル企業を誘致するために正社員を激減させる政策が徹底された。契約社員と派遣社員が日本中に拡大したのである。若者が我慢したのはトリクルダウンと言う詭弁を信じたからである。新富裕層やグローバル企業が税金を納めない現実が如実になっていた。結果、2人に1人が奨学金を借りている大学生の間で、自己破産する大学生が2016年だけでも1万件を突破した。働かなければ借金を返せない国立大学生も珍しくない。
結果、自民党によってアメリカ化が一気に進み、借金と就職難に追い込まれた若者が巷に溢れ、未来が全く見えない社会が出来上がった。この状況で「国防軍」が正式に認可され、大量採用の国家公務員への道が開かれたら、同じく奨学金の借金を背負うアメリカの若者のように、軍への門を叩くことになる。そのうちにアメリカと足並みをそろえ、「徴兵制」に移行するだろう。彼らの多くはアシュケナジー系ユダヤの駒として戦場で犬死する運命を負わされる。