(33)アメリカ日本再占領へのチェックメイト
最近までの日本へのアメリカ政府の方針は、CSIS(戦略国際問題研究所)に表れていた。特にジャパン・ハンドラーと知られるリチャード・アーミテージは、政策提言報告書(アーミテージ・リポート)を自民党の基本政策にさせていた。この段階で日本はすでに主権国家の地位をアメリカに売り渡してしまった。売り渡したのは小泉純一郎であり、麻生太郎であり、安倍晋三である。
アーミテージは「アメリカと一体化して従属せよ」と遠回しに言っていたのである。その前提でスタートしたのが小泉内閣で、アメリカが重要視したのは「郵政民営化」と「規制緩和」だった。小泉改革は富裕層と東京だけに貢献したが、低所得層と地方に大打撃を与え、結果としてアメリカ並みの格差社会に移行させた。小泉政権が大企業と結託し、会社の労働力に安価な外国人労働者を使わせ、国の借金返済を理由に税収を上げようとした。その結果、正社員のリストラが合法になり、若者層が派遣社員とフリーターにならざるを得なくなった。結果、大企業と金持ちだけが肥え太り、中間層が激減し、地方から郵便局をなくすことで地方が疲弊した。小泉政権の「郵政民営化法案」が再可決されたとき、海外の反応は「日本はアメリカに3兆ドルをプレゼント!」だった。
当時、郵貯と簡保には国民の汗の結晶が350兆円あった。それをハゲタカ「ヘッジファンド」が奪おうとした。。つまり、郵政民営化の正体は、外資やハゲタカファンドに郵貯と簡保に保有された資金を売り渡すことにあった。だが、多くの国民は、小泉劇場を喜び、郵政民営化と規制緩和がバラ色の未来をもたらすという詭弁を信じていたのである。
それを呼応して、アメリカのゴールドマンサックス(GS)ガ、保有する三井住友ファイナンシャル・グループ(MSFG)の優先株1002億円を普通株に転換していた。さらに501億円分の優先株も普通株に転換した。GSは日本郵政の株が公開された後、その株式を取得し300兆円余の資金を手に入れる算段を竹中平蔵元金融担当相としていた。しかし、小沢一郎率いる民主党が政権を奪取したため、郵政民営化が凍結され、GSは郵貯と簡保の300兆円を諦めざるを得なくなった。それでも、MSFGに投資した時点で、レートによる為替差益の利益をGSが得たとされた。この体たらくにアメリカの怒りは収まらず、小沢を目の敵にし、暗殺以外の手段に出てくる。アメリカが莫大な資金を失ったのだから当然のことである。
ロックフェラーが支配する「IMF」も、対日審査報告の場で、郵政民営化を適正とし、小泉改革を強く後押しする決定を下す。要は郵便局が日本から完全になくなるまでの道筋を開いているのである。それを小沢一郎に一時的とはいえ、叩き潰されたアメリカは、国際謀略からヤミ献金、小沢の家庭問題までに言及し、徹底した小沢バッシングを行う。検察の秘密操作であるにもかかわらず、毎日のように小沢批判記事が出たのは検察がマスコミにリークしていたからである。結果的に、マスコミを捜査した捜査報告書はデタラメと判明し、「西松建設」からの違法献金は訴因から外れ、「陸山会事件」もどうでもいい期ずれが争点だった。これらはすべて検察がデッチ上げた事件で、2010年のゼネコン一斉家宅捜索でも、検察は胆沢ダム建設の天の声の見返りで小沢に金が渡った嘘をデッチ上げ、大手ゼネコンにも一斉捜索をかけていた。
テレビも新聞もその様子を大きく報じ、その後どうなったのかの報道は一切ない。何も出ないまま立ち消えになったのである。そして国民には大捜査を受ける小沢という悪いイメージだけが植え付けられた。国民は田中角栄の時と同じで、アメリカの犬のマスコミに誘導されて小沢を悪人としたが、小沢は日本人の預金がアメリカに略奪されるのを防ごうとしたのである。
今の日本人は非寛容で、他人を批判することにたけている。議員や有名人にはスキャンダルが付きものだが、その多くは女性問題である。みのもんたを代表する団塊の世代は、叩けば何らかの埃が出ることは間違いない。もちろん、現代ではセクハラは通用しないが、東京都知事候補の鳥越俊太郎のように、10年以上前のセクハラの名称もない頃の出来事を持ち出されても古い男たちは困るだろう。おかげで鳥越が受けたダメージにより、小池百合子と増田寛也のどちらが勝手も自民党の勝利の構図が出来上がった。
週刊文春が発信元だが、なぜいつも文春なのか? その背後にどんなリーク先を持っているのか誰も報道しない。週刊文春の編集長を徹底調査したら、どんな埃が出てくるかわからない。出版業界では同業の暗黙の了解ごとで、互いに互いを調べないことがルールになっている。つまり、編集長はブラックボックスであり、小沢を叩き潰そうとした検察が誰からもチェックされない構造は、今の日本の異常さを表している。
それにしても、文春と呼応して反応する国民の稚拙さを憂えてならない。今の日本ほどコントロールしやすい国にはない。この国ほど叩き潰しやすい国はない。これで憲法改正が国民投票で決行され、株式会社ムサシを中心に行うコンピュータ開票で、捏造された数字がすんなり通る瞬間がやってきそうだ。そうなれば、日本は東京も含めてアメリカの傀儡政権が完全支配する戦前回帰の時代がやってくる。