(30)聖霊降臨と天使
八咫烏と八幡鳩の予型は「旧約聖書」にある。今から約4500年前、ノアの大洪水が起こった時、正しき者と動物たちは箱舟に乗って助かった。40日に渡たる大嵐の結果、地上はすべて水で覆われた。1年後、ようやく水が引き始め、ノアの箱舟はアララト山に漂着する。そこで、預言者ノアは地上に乾いた部分がないか、確かめるために烏を放った。しかし、烏は船の回りを旋回するだけで戻ってきた。続いて、鳩を放ってみた。鳩もまた、止まり木が見つからず戻ってきた。
それから7日経って、再びノアは鳩を放ってみた。すると、鳩はオリーブの葉を加えて帰ってきた。地上に乾いた大地が広がったことを知ったノアは、さらに7日待って、もう一度鳩を放った。すると、もはや鳩は戻ってくることはなかった。完全に水が引いたことを悟ったノアたちは、箱舟から外に出て、新しい世界を築いたという。
ノアの箱舟から放たれた鳥は、最初が烏で、次が鳩だった。「旧約聖書」に記されていないが、7日及び14日後に鳩を放つとき、それに先立って烏も放たれていた。一足先に再び放たれた烏は、そのまま戻ってくることはなかった。
このノアの大洪水伝説を持って、「カゴメ唄」を読み解くことができる。ノアの箱舟は一つの籠である。「籠の中の鳥」とは、放たれた烏と鳩の事である。「カゴメ唄」にあって、既に烏の方は籠の中から出てきて活動している。秘密組織・八咫烏として天皇を支え、預言者の神権を継承している。一方の秘密組織・八幡鳩は、まだ籠の中から出てきていない。鳩は平和の象徴であり、それは天界からの使いを意味する。「新約聖書」にあっては聖霊の象徴である。イエス・キリストが洗礼者・ヨハネからバプテスマを受けたとき、天が開かれて、聖霊が鳩のように降臨してきたとある。天界から下ってくる聖なる存在こそ八幡鳩である。御父と御子と聖霊の絶対三神が支配する神界から使わされる「天使」たちの組織が八幡鳩である。鳥の翼は神の栄光を示す象徴である。実際の天使に翼が生えているわけではない。八咫烏の別名でもある烏天狗に翼があるように、八幡鳩の別名である天使にも翼が描かれている。
飛鳥昭雄氏が八咫烏から伝えられた暗号詩がある。
「ともに合するまで日が昇らない
烏が放たれても世に闇があり
鳩が放たれても瞬きを知らず
再び鳩が大意を持って
天に出ずる喜びの時まで」
「カゴメ唄」でいう「夜明けの晩」が過ぎ、「籠の中の鳥」である八幡鳩の組織、すなわち天使たちが降臨し、地上に王国を建設する。大預言者モーセの子孫である天皇陛下は最後の使命を果たし、聖なる儀式を執行する。かくして、地球は八咫烏から八幡鳩へと支配権が委譲され、ついには栄光の時代が始まる。
ユダヤ教神秘主義カッバーラの奥義は「生命の樹」と言う象徴図形で表される。三本柱に11個のセフィロトと22本のパスから成る。「生命の樹」は同じ構造を保ちながら、上下に伸びていく。上下だけではない。左右や斜め方向にもどんどん広がっていく。そのまま2次元の平面を覆い尽くす。これを「生命の樹の花」、略して「生命の花」と呼ぶ。とくに円形の中に「生命の樹」が一つ内包された最小単位を「神聖幾何学」と呼ぶこともある。また、「生命の花」が広がるのはユークリッド平面だけではない。非ユークリッド幾何学で言う平面も然り。球面を「生命の樹」で覆い尽くすことも可能である。「生命の樹」で覆われた球面の「生命の花」は、一つの「籠」に見立てることができる。日本で言えば、竹で編んだ鞠のような状態である。つまり、カゴメで覆われるわけである。
エデンの園に暮らしていたアダムとエバは「禁断の樹の実」=「知恵の樹の実」を口にしたことで、絶対神の怒りを買い、楽園から追放された。この時、永遠の生命をもたらす「生命の樹の実」に近づくことができないようにエデンの園の東にはケルビムときらめく剣の炎が置かれた。「きらめく剣の炎」とはプラズマの事である。灼熱のプラズマによって「生命の樹」は覆われている。
「生命の花」と言う球殻を想定すると、エデンの園が隠された場所が見えてくる。それは太陽である。太陽は巨大な「籠」なのである。灼熱のプラズマで覆われた「生命の花」と言う光の籠の中は神の世界が広がっている。しかるべき時が来るとき、太陽から地球に向けて巨大なプラズマ・トンネルが通じ、地上に光の柱が立つ。次の瞬間、太陽から鳩のようにイエス・キリストが降臨してくる。太陽と言う籠の中から天照大神と言う名の鳥が出てくる。この時、「カゴメ唄」の預言は成就し、後ろの正面にいたのが救世主イエス・キリストだと知るのである。