(27)平安京復活とカゴメ紋
今上天皇が譲位すれば、おそらくは自らは東京に残られ、新たな天皇陛下は京都へお住まいを移されるだろう。あるいは、今上天皇陛下の崩御が起きた場合、皇太子の京都への帰還が早まるだろう。だから、生前退位の真の目的は、皇位を徳仁親王に譲ることを決定的にすることだったのである。
東日本大震災以降、皇室機能の一部を京都へ移す計画が進められており、具体的な会議も何度か開かれている。東京は近未来に必ず起こる関東大震災や富士山噴火と言った自然災害のほか、福島第1原発事故による放射能のリスクもある。譲位された場合、新たな天皇陛下と皇后陛下は京都御所にお住まいになると思われる。
実際、それに向けた準備は行われているという情報もある。皇居にある宝物などは、既に運ばれたという。大変なのは京都の寺社である。かって京都に天皇がおられたときには、陛下の安寧と繁栄のために、日々、僧侶や神職が祈祷を行っていた。しかし、東京に皇居が置かれて後、そうした呪法も次第に簡略化され、今では執行されない儀式もある。それが一気に、再興を余儀なくされるのである。ある寺では、祈祷のためのシフトが敷かれたという話まで聞こえてきた。
明治天皇が東京に行幸して以来、ついに天皇が京都へと帰ってくる日が近づいている。明治天皇は「遷都」宣言はしていない。あくまでも「奠都」と言う表現が使われている。その意味で日本の都は京都だという主張も根拠のない話ではない。だが、実際に天皇陛下が京都にお住まいになるとなれば、話が違う。神道の教義にもかかわる重大な事件である。霊的な国防問題にまで発展する案件である。天皇陛下が京都御所に住まわれる場所となるのは内裏である。極論すれば、これは平安京の復活である。
平安京を建設したのは秦氏である。元々、山背国は秦氏が支配する地域であった。内裏は秦氏の首長が住んでいた土地で、聖徳太子の側近であった秦河勝の邸宅だった。完璧な都とするために、鴨川や桂川の流れを変え、湿地帯だった土地はアルカリ性の土を薄く何度も盛って地盤を固めたことが調査で分かっている。なぜ、そこまでこだわったのか? その理由は、秦氏がユダヤ人原始キリスト教徒だったからである。その証拠が名前である。「平安京」をヘブライ語に翻訳すると、「イール・シャローム」すなわち、「エルサレム」である。平安京と言う名前を命名したのは京都の民衆だったと歴史書にはある。さらに言えば、山背国に都が作られることを預言した人物がいる。聖徳太子である。聖徳太子は山背国に行幸された際、ここに将来、都が作られることを預言したという。
その極東エルサレム、平安京が今、復活しようとしている。平安京にも京都市章と同様の紋章があった。ダビデの星である。六芒星、言い換えればカゴメ紋が平安京の紋章だった。そもそも「京」と言う文字には六芒星が投影されていた。京都とは、それ自体が「ダビデの星」を表しているのである。
平安京の紋章がカゴメ紋なら、京都はそれ自体大きな「籠」である。したがって、カゴメ唄で言う「籠の中の鳥」が平安京には隠されている。鳥を象徴している聖地とは下上賀茂神社である。下鴨神社と上賀茂神社は、伊勢神宮より格式の高い社である。カゴメ唄には伊勢神宮の復活が預言されていた。同じことは、下上賀茂神社にも言える。隠された賀茂神社が存在するのである。
1921年、野口雨情が作詞し、本居宣長が作曲した「7つの子」に秘密が隠されている。
「烏 なぜ啼くの
烏は山に可愛7つの子があるからよ
可愛 可愛と烏は啼くの
可愛 可愛と啼くんだよ
山の古巣へ行ってみて御覧
丸い目をしたいいこだよ」
「7つの子」が不明なのである。歌詞からすると子供は烏である。「7つ」を「7歳」と解釈すると、どうも不自然である。烏の7歳は大人であり、ともすれば老年である。「7つ」を「7羽」と読み換えると、これもおかしい。烏は1度に7個の卵を産むことはない。多くて5個である。7羽の雛を育てることはありえない。この謎を解くカギは、カッバーラである。「7」はゲマトリアにおける聖数である。ユダヤ教において天地創造の「7日間」や聖なる「7枝の燭台メノラー」など、完全数の象徴とされる。だが、陰陽道からすれば、「7」にも裏がある。五芒星が六芒星になったように、「7」に1を足せば、「8」になる。ゲマトリアにおいても、「8」はヤハウェ=イエス・キリストを表す数である。翻って、歌詞にある「7つ」を「7羽」とし、登場する烏は何羽か考えてみると、親の「1羽」を加えると「8羽」になる。漢字で表記すると「八咫烏」である。暗示されているのは「八咫烏」の事である。しかも烏の目は丸いとある。丸い目とは太陽の象徴であり、神道で言う「八咫鏡」の事である。八咫鏡の「八咫」、かって太陽に棲む烏として暗示されるのは「八咫烏」において他にはない。
「7つの子」が八咫烏の隠し唄だとすれば、何を預言しているのか? 「可愛」である。親鳥は「かわい」と啼いている。言い換えれば、秘密組織「八咫烏」が「かわい」と預言していると解釈できる。下上賀茂神社には、この「かわい」を冠する神社が存在する。下賀茂神社の境内、糺の森にある「河合神社」である。主祭神は神武天皇の母、玉依姫であり、鴨長明ゆかりの古社として知られる。規模は小さいが、これこそ「本賀茂神社」なのである。伊勢神宮が内宮、外宮、伊雑宮と三宮並び建つことで復活するように、賀茂神社も下鴨神社、上賀茂神社、河合神社が三社並び建つことで甦るのである。とかく、本物は小さいものである。河合神社もしかり、質素で小さいながらも、神社の中の神社、最高位の神社なのである。
京都に天皇陛下が戻られ、平安京と言う籠が復活したならば、その中の鳥である下上賀茂神社も甦る。中でも隠されてきた河合神社は復権し、籠の外、すなわち日本全国、いや全世界へと名が広がっていく。これに伴い、静かに湖面を泳いできた鴨たちが一斉に飛び立つ。暗闇に隠れてきた八咫烏は公然と姿を現し、定められた宿命により、古の預言を成就するために動き出す。かくして、金烏が宿りし不双樹の上に座す「金鶏」が、「夜明けを告げる鬨の声」をあげるのである。