(17)祭司レビ族と鴨族
古代イスラエル王国は南北に分裂し、イスラエル12支族は北朝イスラエル王国の10支族と南朝ユダ王国の2支族に分かれた。しかし、両国に存在したもう一つの支族がある。レビ族である。祭司一族として聖別されたレビ人は、宗教的儀式を行うため、両国で活動せざるをえない状況となる。したがって、イスラエル人がいるところには、必ずレビ人がいる。
徐福がやってくる以前、蓬莱山、すなわち日本列島は、聖なる神国であった。縄文・弥生時代にやってきていたイスラエル人のレビ人がイスラエル教に根差した神道を保持し、儀式を行っていた。特に西日本側の弥生人は、古代アメリカのマヤの末裔と考えられ、風俗風習がメキシコ奥地のマヤの末裔ラカンドン族とも酷似する。マヤ系はプエプロ系とも呼ばれ、預言の石板を保持するホピ族も同族である。そこへ東ユダヤ人や失われたイスラエル10支族の秦人が渡来してきても、彼らのレビ人と先住民のレビ人が信仰的合意に達すれば、平和裏に受け入れられた。
日本の氏姓制度におけるレビ人は「忌部氏」と呼ばれた。レビ人が祭祀全てを司り、儀式に必要な祭具や神殿を作るように、忌部氏も神道の祭礼に関わる一切を手掛ける。お札、榊、礼服、神輿まで用意し、さらには神殿まで建立する。
レビ人にも階級があり、ソロモン神殿の至聖所で儀式を行う「大祭司」は、特別に「コーヘン」と呼ばれる。コーヘンである鴨族は、主に「賀茂氏」から成る。賀茂氏の祖は「賀茂健角身命」といい、別名を「八咫烏」という。八咫烏とは、熊野で道に迷った神武天皇を導いた神霊として記紀には記されている。神道ではこの八咫烏を中国神話における「金烏」と同一視する。金烏とは太陽の中に棲むとされる3本足の烏で、金色に輝くことから「金鵜」と表記されることもある。金鵜は長髓彦との戦いにおいて、天から降臨して神武天皇の弓矢の先に止まった金色の鳶、すなわち「金鵄」として位置づけられる。この場合、金鵄の正体は八咫烏である。いいかえると、コーヘンである鴨族が失われたイスラエル10支族であり、ユダヤ人原始キリスト教徒の神武天皇、すなわち応神天皇を受け入れたことを意味する。さらに、「鵜」と言う名前には「烏」や「鳶」「鵄」のほかに、もう一つ「梟」と言う意味もある。アイヌにとっては梟は天からやってきた最高神である。金鵄の降臨は当時、海部氏や物部氏と言った邪馬台国の人間のみならず、イスラエル系縄文人や弥生人にとっても重要な意味を持っていた。童唄「カゴメ唄」にある「籠の中の鳥」にはいくつもの鳥が象徴されているが、天と地をつなぐ聖なる存在として位置づけられている。
鴨族の拠点は京都である。京都の下上賀茂神社こそ、鴨族の総本山である。鴨族には秘密組織がある。名を「八咫烏」という。八咫烏は大和朝廷が開かれる以前から存在する。原型は物部氏及び海部氏が組織し、それが初代、神武天皇=応神天皇のもとで、失われたイスラエル10支族のレビ人らに統合された。後に聖徳太子の時代、本格的に整備されて今日に至る。
秘密組織「八咫烏」の人数は70人。その上に「大烏」と呼ばれる12人の組織があり、その内上位3人が「金鵄」の称号を持つ。金鵄は3人で一人の「裏天皇」として君臨している。皇族が戸籍がないように、八咫烏にも戸籍がない。彼らは戸籍制度に組み込まれていない。存在するが、存在しないことになっている。まさに影の存在である。
下上賀茂神社の北方に鞍馬山がある。鞍馬には天狗が棲むと言われてきた。天狗は一般に修験者の姿をしており、大きな鼻が特徴である。日本人離れした容貌は、ユダヤ人を連想させ、日ユ同祖論の証拠の一つと指摘されてきた。
鞍馬天狗の配下に多くの「烏天狗」がいた。烏天狗の容貌は仏教の迦楼羅天、すなわちヒンドゥー教のガルーダがモデルだとされるが、まぎれもなく八咫烏なのである。烏天狗の頭目、大天狗は裏天皇の象徴なのである。
陰陽道は、二元論である。森羅万象、全ては陰と陽から成り立つと考える。陰陽道も例外ではない。即ち、表の陰陽道に対して、裏の陰陽道は「迦波羅」という。同様に裏の陰陽師を「漢波羅」という。秘密組織である八咫烏は、漢波羅である。彼ら、漢波羅が用いる呪術シンボルは表の陰陽師とは違う。陰陽道の呪符には「五芒星」と「九字」が描かれる。これらは「セーマン」と「ドーマン」と呼ばれる。「五芒星」は「5」であり、九字は「9」である。いずれも奇数である。奇数は陽であり、偶数は陰である。
裏の漢波羅は違う。偶数をシンボルと見做すので表の呪符に「1」を加えればよい。そうすれば「裏セーマン」と「裏ドーマン」となる。具体的には「五芒星」が「六芒星」となり、九字は「十字」となる。言うまでも無く「六芒星は「ダビデの星」であり、十字はキリスト教のシンボル「十字架」である。さらにいうと、裏セーマンは「カゴメ紋」である。
天海は天台宗の密教僧だった。彼は山伏であると同時に実は八咫烏だった。天海も八咫烏の一羽だったが、戒律を破って政治を動かしたのである。天海は陰陽思想から伊勢神宮に対して、東照宮を創建する。天孫降臨の高千穂に比する形で富士山を聖定し、巨大な呪術結界と曼荼羅を描き、日光東照宮を築いた。
童唄「カゴメ唄」も、最終的には日光から伊勢神宮へ至る。カゴメ唄の謎解きをすれば、伊勢神宮に隠された秘密に行き着き、この国に施された壮大な「国仕掛け」を目のあたりにすることになる。