(15)ユダヤ人原始キリスト教徒「秦氏」
騎馬民族と徐福集団の合流は、北朝イスラエル王国と南朝ユダ王国の統一を意味する。即ち、分裂したイスラエル12支族の回復に他ならなかった。絶対神ヤハウェは、失われたイスラエル10支族が将来、ユダヤ人の下に帰ってくることを預言者を通じて約束していた。日本列島におけるイスラエル人の信仰は、ユダヤ教に根差す神道だったが、大和朝廷が成立する頃に大きく変化する。きっかけとなったのは、騎馬民族に追従する形で渡来した「秦氏」だった。
彼らの中に、紀元後になって聖地エルサレムからシルクロードを通り、朝鮮半島経由で日本列島へやってきたユダヤ人が数多く含まれていた。信仰はユダヤ教だが、メシアを信じていた。つまり、イエス・キリストをメシアとして受け入れたユダヤ人、すなわちユダヤ人原始キリスト教徒だったのである。
ユダヤ人原始キリスト教徒「秦氏」は、「秦」と言う字を「ハタ」と称した。後に「波多」や「羽田」などの別の字を当てて音字する者もあらわれるが、基本は「ハタ氏」である。なぜ、「秦」を「ハタ」や「ハダ」と読むのかについて、いろいろな説が唱えられてきた。そうした中で、画期的な説を提唱したのが東京文理科大学の佐伯好郎教授であった。彼は「秦氏=景教徒説」を自ら破棄し、代わってネストリウス派よりもっと古い原始キリスト教徒であると推理した。秦氏の「ハタ~ハダ」とは、「イエフダー」の転訛、すなわち「ユダヤ」の事だと結論している。
確かに、紀元1世紀ごろ、第1次ユダヤ戦争で多くのユダヤ人が世界中に離散している。ユダヤ人キリスト教徒もまた、パレスチナ地方から他の地域へと移住していったのである。注目は、イエス・キリスト直系の弟子たちである。
今日、キリスト教と言うと、西洋の宗教と言うイメージが強い。使徒パウロがシリアからギリシャ、ローマへと伝道し、やがて古代ローマ帝国の国教になったことから、キリスト教は世界宗教へと成長していった。しかし、イエス・キリスト自身は敬虔なユダヤ教徒である。当時はキリスト教と言う言葉さえなかった。つまり、パウロを筆頭とする「アンティオキア教団」はギリシャ語を話すユダヤ人=「ヘレニスト」や異邦人が多かった。ペテロが率いる「エルサレム教団」はヘブライ語、正しくはアラム語を話すユダヤ人=「ヘブライスト」がほとんどだった。ヘブライストは保守的でユダヤ教の戒律や風俗風習を難くなに守っていた。彼らは伝統的に聖地エルサレムのソロモン第2神殿で祈りをささげて共同生活をしていた。ところが、ユダヤ人と古代ローマ帝国との対立が激化してくると、第1次ユダヤ戦争が勃発する直前、エルサレム教団のユダヤ人原始キリスト教徒達は、ユルダン河東岸のペラと言う町に集団移住し、そのまま歴史上から姿を消してしまう。行先は、シルクロードを通って西域から中国へと流れてきた。当時、ユダヤ人には姓が無かった。しかし、中国人は漢民族以外でも出身国にちなんで姓を与えていた。エルサレム教団の出身地はユダヤであり、支配下にあった古代ローマ帝国である。漢字表記で「大秦」である。ここから一字採って「秦氏」になった。秦氏と書いてイエフダー、すなわち、ユダヤと称したことから、やがて転訛してエフダー~ハダ~ハタ氏となったのである。
ユダヤ人キリスト教徒「秦氏」が渡来してきたのは4世紀であり、応神天皇の時代である。記紀によれば、応神天皇は九州の宇美で生まれたことになっており、幼少期に「イササワケ命」と言う神と名前を交換して、「ホムダワケ命」と称したという。このイササワケ命の別名を「天之日矛」といい、学術的には秦氏集団の象徴だと解釈されている。字義的に似た「弓月君」は朝鮮半島から秦氏を率いてきた首長で、その名を冠した京都の「弓月神社」の主祭神は応神天皇なのである。整理すると次のようになる。
「秦氏の首長・弓月君=天之日矛=イササワケ命=応神天皇=八幡神=弥秦神」
ここで言う「弥秦」とは「イヤハタ~イヤハダ」であり、本来は「イエフダー=ユダヤ」の事である。八幡神とはユダヤ神であり、本来は絶対神ヤハウェの意味である。絶対神ヤハウェを崇拝する秦氏の大王、応神天皇は祭祀王でもあった故に、いつしか八幡神と呼ばれるようになった。
失われたイスラエル10支族のガド族であった応神天皇には、秦氏の血が流れていた。記紀によれば、母親である神功皇后は天之日矛の末裔である。母子の諡合が共に「神」と言うコードを含むことから、記紀の内容は史実ではなく、多次元同時存在の法則を適用できる神話だと解釈できる。
いずれにせよ、邪馬台国の王家に入り婿した応神天皇は、失われたイスラエル10支族にして、ユダヤ人原始キリスト教徒だった。以後、日本は神道と言う名の原始キリスト教を奉じる唯一の国として繁栄し、今日に至る。
ほとんどの日本人は何のことかさっぱりわからないであろう。しかし、自覚する時が来る。日本人、大和民族が何者なのか? アイヌや熊襲、隼人、琉球民族を含めて、この日本列島にやってきた人々が自らのルーツを知り、世の終わりを告げる「預言」を知る時が来るのである。多くの秦人達が仕掛けた封印を解く重要な鍵となるのが「カゴメ唄」なのである。