(33)イスラエル12支族の説明
紀元前1800年頃に存在した、「旧約聖書」に記されたヘブライの預言者ヤコブとその12人の息子たちの話である。ヤコブ(後にイスラエルと呼ばれる)には12人の息子がいて、長男から順にルベン、シメオン、レビ、ダン、ナフタリ、ガド、アシュル、イッサカル、ゼブルン、ヨセフ、ベニヤミンと続く。ヤコブにはレア、ラケル、ビルハ、ジルパと言う4人の妻がいたが、ラケルが生んだヨセフが12人の兄弟のうち最も性格的にも人格的にも優れていたため、父のヤコブから預言者としての資質を認められ、一番かわいがられていた。
ところが、そのことで、他の兄弟たちは、ヨセフの事を妬み、殺してしまおうと画策する。しかし、ルベンの機転により、命を失うことは免れる。それでもヨセフはエジプトへ奴隷として売られることになる。
ヨセフはイケメンで頭がよかったので、奴隷商人のおかみさんに誘惑されるが拒否した為、牢屋へと入れられることになる。その牢屋に2人の囚人が来た。一人は王様の料理長であり、もう一人は給仕係の長だった。給仕長が不思議な夢を見たとき、ヨセフがその謎を解いたので、給仕長は助かり、料理長の夢は助からない夢であった。2年後、エジプトのファラオが不思議な夢を見て、誰も解き明かすことが出来なかった。その時、給仕長はヨセフの事を思い出し、さっそく王様に箴言した。ヨセフはその夢の謎を解き、7年間の豊作の後に、7年間の不況が来るので蓄えるように王様に箴言した。そのことでファラオはヨセフを大変気に入り、宰相にしたのである。
ヨセフの謎解きの通り、世界的大飢饉が訪れ、11人の兄弟たちは食料を求めてエジプトへやってくるが、そこで出会ったエジプトの宰相がヨセフだったのである。ヨセフは絶対神ヤハウェがイスラエルの血統を絶やさぬよう、全ての事を取り計らったのだと理解して、兄弟たちを許し、家族をすべてエジプトへ呼び寄せることになる。
ところが、ヨセフの死後、エジプトのファラオは、イスラエルの民が強大な力を持つことを恐れて、彼らを奴隷としてこき使うようになる。そんな惨めな境遇にいるイスラエルの民を救い出すために預言者モーセが登場する。
モーセはレビの子孫である。彼に率いられたイスラエルの民は、紀元前1290年、エジプトを脱出した。モーセの数々の奇跡については紀元前2000年頃に誕生した巨大彗星メノラーが太陽系を楕円軌道で回った時期であり、何度か地球に大接近した折に、数々の奇跡を巻き起こした。ヨセフがエジプトにいたときに起きた世界的大飢饉の原因も、巨大彗星メノラーの影響と思われる。
エジプトを脱出した後、イスラエルの民は40年もの間シナイ半島を放浪することになるが、やがて約束の土地を得て、そこにそれぞれの支族がそれぞれの領地を分配して住むことになる。その時の支族は、レビ族を除いて、ヨセフの代わりに彼の二人の息子だったマナセとエフライムが加わり、新しい12支族を構成するのである。
領地を得たイスラエルの民は平和に暮らせたかと言うと、そうでもなかったのである。支族同士の争いが生まれ、ダビデ王の息子ソロモンが死んで、その後イスラエルの民は信仰上の問題から、支族間の争いが起き、イスラエルはユダ族とベニヤミン族及びレビ族の一部が住む「南朝ユダ王国」と、残りの10支族とレビ族で構成される「北朝イスラエル王国」に分断してしまう。北朝イスラエル王国は外部の敵から攻撃を受けることになる。紀元前722年、アッシリア帝国が北朝イスラエル王国を滅ぼし、イスラエルの10支族はメソポタミアに連行さる。しかし、このアッシリア帝国も新バビロニア王国に滅ぼされてしまう。ところが、捕囚としてメソポタミアに住んでいた10支族の姿が消えてしまうのである。聖書外典の「第二エズラ書」には次のように記されている。
「これらはヨシア王の時代に捕らえられ、その領土から連れ出された支族である。アッシリア王シャルマネセルがこれを捕虜として連れて行き、河の向こうへ移した。こうして彼らは異国へ連れて行かれた。しかし彼らは異邦人の群れを離れ、かって人の輩が住んだことのない更に遠い地方へ行こうと相談した。それは自分の国では守っていなかった律法をそこで守るためであった。こうして彼らはユウフラテス川の狭い径を通って入って行った。・・・・・道程はその地方を通って1年半の遠さであった。その地域はアルザルと呼ばれる」(聖書外典」「第二エズラ書」第13章40~47節)
こうしてイスラエル10支族の本隊は、彼らの信仰を守るために北の地へと向かった。そして、大勢いたはずの彼らの姿は、忽然と歴史の表舞台から消えてしまうのである。(イスラエル10支族の別動隊は、極東の地・日本にたどり着く)