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プラズマ宇宙論(30)

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(30)ベツレヘムの星の正体

 アカデミズムで最も知られているのは「彗星説」である。しかし、ここで言う彗星とは巨大彗星ではなく、ハレー彗星のような規模の小さな彗星を指す。イギリスのコリーン・ハンフリーズ教授は、ベツレヘムの星を彗星と結論付けた学者である。その理由は、中国の記録にある紀元前12年、同5年、同4年の彗星の記録から、紀元前5年に出現した彗星の可能性が高いとしている。そして、イエス・キリストの誕生は、自分の説の年代だと断言する。しかし、当時のユダヤ人も彗星のことを知っていた以上、普通程度の彗星程度では救い主となる条件(天空の印)にならないということである。約束の赤い星が、誰一人知らない天体だったので「新約聖書」にも載せられたのであり、奇跡の星だった。したがって、ハンフリーズ教授が提唱する「彗星説」は受け入れやすい説であるが、古代においては全く通用しない説だったのである。

 次に「会合説」と言うのがある。地球から夜空を眺めた場合、明るい天体同士が重なり合って見える場合があり、それを「合」といい、太陽と別の惑星の合も同様の意味で扱う。イエス・キリストの誕生した時期が、木星と土星が二つ重なる「会合」の時期だったという。この会合の状態の時に、天空に非常に明るい星として見えたのがベツレヘムの星だというのである。木星と土星の合は、彗星以上に珍しい現象ではなく、木星の軌道は当時で十分観測されていたので、木星が明るく輝いても新しい星にはなれなかったことは間違いない。事実、ある天文学者が、木星と土星の合をコンピュータで計算したところ、クリスマスの時期には両惑星の合は無かったことを突き止めている。また、イエス・キリストの誕生日は、羊飼いが野宿していた時期と言う「新約聖書」の記述から、12月24日ではなかったことも判明している。この12月24日は、ローマ帝国の祭りが国教となったキリスト教と合わさって祝われた経緯を持つだけに、今でも誤解されたまま続いているのである。それに12月では羊は寒くて凍え死ぬことから、ユダヤでは4月になるまで羊を放牧しない。よって、本当のメシアの誕生は、春4月頃となる。「会合説」は否定せざるを得ない。

 次に、「超新星爆発説」がある。超新星とは、恒星が末期的状況下で巨大に膨らみ続け、最後に大爆発を起こすものと言う。新星とは、今まで全く光の見えないところに、突然に星が光り出して、数日から数か月と言う短い期間の内に見えなくなる現象をいう。新星はごく暗い星の表面が突然明るく輝きだし、一時的に発光する現象である。

 超新星の記録は、人類史の中でもほとんどなく、1054年7月に牡牛座で、1572年11月にカシオペア座で、1604年10月にへびつかい座で、超新星の爆発と思われる記録を残すのみである。最近では、2011年12月21日に、カシオペア座のぺテルギウスが超新星爆発を起こす可能性があると話題になった。問題は、ベツレヘムの星が東の方角から移動してきて、賢者たちがベツレヘムまで来たときに、一時停止したように見えたことである。そのような新星や超新星は今まで聞いたことがないので、この説も却下せざるを得ない。

 ベツレヘムの星が一時停止するような動きを見せた以上、それは超新星ではない。それがはっきりと分かる停止に見えた以上、その天体は火星よりも大きく、あるいは地球と同規模の可能性があるとみてよい。灼熱の巨大彗星だった金星と非常に似ていたと言える。

 ヨハネス・ケプラーは火星軌道の異常さの謎から、ある重大な事実を解き明かすことになる。それは、火星を含む太陽系惑星の軌道が円形ではなく楕円形だということに気付いたのである。そうなると、太陽の近日点と遠日点では速度差が生まれ、地球の楕円軌道との関係で、すぐ外側を回る火星を地球が追い抜いたとき、火星が後戻りしたりする現象が増幅され、それまでの火星軌道の誤差を生んだ溝を埋めることが出来るためである。それらの事実から、2つの事実が判明する。

①天空で停止したりする動きは、軌道を持った天体のなせる業であること。

②その天体は楕円軌道を持っていること。

 そのことから、ベツレヘムの星は、楕円軌道を疾走する惑星と言う可能性が高くなるのである。それでも残る謎は、赤い光が幼子のいる場所の上空で止まったことである。これは天体の速度差では解釈出来ない。それについて、飛鳥昭雄氏は、「エノクの街」の可能性を示唆している。


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