(25)アカデミズムが想定する氷河期は無かった!
アカデミズムは、地球全部が冷凍室に入ったようになった状態を氷河期としていたが、さすがに熱源がないと膨大な降雪は生み出す氷床が出来ない事が分かった後は、その熱源を探し出すことに躍起となった。そして最近は、地球が冷凍室に入ったという論法は変えていないが、雪を降らせる熱源を斉一論から考えて、暖かなメキシコ湾流とした。
陸地よりも海岸の方が冷えにくいという論法だが、数万年も冷凍室に入れられて冷えない海岸を想定するのは、稚拙な考えだと言える。
ノアの大洪水以後、繰り返し起こったポールワンダリングによって、マンモスやサーベルタイガーを含む巨大哺乳類は絶滅していったのである。絶滅したのが古代哺乳類なのではなく、生き残ったのが今の哺乳類と言うことなのである。
実は、ヴェリコフスキーでさえ、原因を特定できなかった地球規模の大異変がある。それがポールシフトとポールワンダリングを伴った世界的大洪水の事である。彼が追求できる太陽系大激変の限界点が、紀元前2000年頃までに対し、世界的大洪水の時代は、それよりもさらに古いからである。つまり、彼の限界点を超えてしまっていたからである。さらに地軸移動や極移動を伴い、方位の逆転から太陽運行の逆行まで含むと、特定が難しくなるのは当然である。
では、ヴェリコフスキー理論でも説明できないポールシフトとポールワンダリングを交えたノアの大洪水について、ホピの神話にある典型的な大洪水の記述から検証する。
「地上の水のすべてが堰を切って放出された。山頂を越える波が全世界を覆い尽くして荒れ狂った。しかし、絶対神への信仰を忘れなかった僅かの人達は、葦の船に隠され空高く上げられ救われた」
山頂を越える大洪水とは何か? 有史以来、正式な記録の中に、世界を沈めるほどの大洪水の記録は残っていない。つまり、ある地域の民族にとれば、文字が確立する前は、伝承しか残す手段がなかった。大洪水で滅びた内容の「ギルガメッシュ叙事詩」のように、粘土板の楔形文字で正式に記されていても、アカデミズムが迷信と空想の産物として取り扱う場合もある。古代メソポタミア地方のシュメール文明が、世界が大洪水で滅びたと記しても、アカデミズムは局所的な洪水の記録と決めつけてしまうからである。「ギルガメッシュ叙事詩」は、シュメールの大洪水伝説を、後の古代メソポタミアのウルクの王だったギルガメッシュが、自分の勇猛さと選民思想を満足させるために創作された叙事詩である。その元話はシュメールの粘土板に掘られた大洪水の物語であり、1914年に確認されている。その元本を古代ヘブライ人が参考にして「旧約聖書」の「ノアの大洪水」として使ったというのがアカデミズムの考えである。
旧約聖書の「創世記」を書き表したのはモーセである。しかし、モーセ以前にも古代ヘブライには多くの記録があり、それをモーセが預言者として啓示を受けながら編纂したのがアダム以降の部分とされている。さらに、ノアの大洪水以前にも多くの記録があって、それらをノアは箱舟に積み込み、大洪水から後の世に持ってきた可能性もある。それらは、今は失われた聖典として扱われ、天に取り上げられたり、地上で隠されたままになっているという。
「進化論」が出てきたことで、目の上の瘤だった神の存在から解放されたアカデミズムは「聖書」を否定できる材料なら何でも取り入れてきたが、その逆は物証があっても断固として認めない傾向にある。そのため絶対に譲れないのが斉一論であり、それを突破されたら最後、ノアの大洪水からバビロンの塔の崩壊、さらには海洋の分断(モーセの紅海割れ)、太陽運行の異変、方位の逆転、ベツレヘムの星の出現、ポールワンダリング等々のすべてが、怒濤のように押し寄せ、アカデミズムが築いた矛盾だらけの砂の牙城を一挙に崩壊させてしまうからである。
「北欧神話」の文献、「エッダ」の中に、「突如として赤く燃える星が出現した直後、世界が大洪水で沈んだ」と記されている。「古代ケルト神話」に登場する大洪水の伝承にも、「巨大な船に乗った家族が救われたとき、大空の真っ赤な天体があった」と伝えている。同じように、チベットの古い伝説の中にも登場する。「天変地異を伴った大洪水が襲ったとき、天空に恐ろしい巨大な天体が現れた」とある。世界最古の文明の流れを汲む、古代中国に残された記録は、さらに具体的かつ詳細である。孔子が編纂した「書経」である。そこには、ノアの大洪水の記述ばかりか、天空の異変まで起こったことも記されている。
「尭の生涯の間に、太陽が10日も沈まなかったため、大洪水が起きたことがあった」
これはノアの大洪水が太陽の運行と深く関わっていたことを意味する。さらに、ポールワンダリングが起きると同時に、高い山を越え、天まで洪水が達して、神を脅かした」
まさにホピの伝承を含み、世界各地の大洪水の記録とも一致する文面である。これは明らかに山頂を越える大洪水が起きたことを示している。
「その後、、尭は、義と和を召し、謹んで無限の天に従い、太陽、月、星、獣帯を計測し、かつ書き改めさせ、人々に交付した」
大洪水の後、尭は直ちに太陽と月と星の運行を調べ直し、12宮を作り、方位を定め、歴を書き改めたということが記されている。さらに尭の事を記した別の古文書「竹書紀年」には、驚くべきことが記されている。
「尭の生涯でイン星座に、輝く新しい星が現れた」
大洪水の頃、太陽系に新しい星が出現したことが記されているのである。ここで気になるのが、「尭」と言う名の人物だが、殆ど謎に包まれている。孔子の「書経」には「尭」は「ヤオー」と言わず、「ファン・へウン」と呼ぶと記されている。古代ヘブライの発音で「ヤハウェ」の名とも関連する。もしそうなら、尭の名はヤハウェの名を短くしたものともいえる。