(6)プラズマで読み解く旧約聖書
地球は突進してくる巨大彗星メノラーの尾の中に深く入り込みつつあった。そのため、地上は暗黒の雲に包まれ、物凄い嵐が吹き荒れた。この記録は「旧約聖書」の中に、3日間の濃い暗黒として記録され、別の箇所では、猛烈な風が吹き荒れる記述が残されている。
「モーセが手を天に向かって差し伸べると、3日間エジプト全土に暗闇が臨んだ」(「出エジプト記」第10章22節)
「モーセがエジプトの地に杖を差し伸べると、主はまる一昼夜、東風を吹かせられた。朝になると、東風がイナゴの大群を運んできた」(「出エジプト記」第10章13節)
「モーセがファラオの元を退出して、主に祈願すると、主は風向きを変え、甚だ強い西風とし、イナゴを吹き飛ばして、葦の海に追いやられたので、エジプトの領土全体にイナゴは一匹も残らなかった」(「出エジプト記」第10章19節)
その他、エジプトとパレスチナの境のエル・アリシュで発掘された碑文の中にも、誰一人宮殿から出られず、人も王族も、傍らにいる者の顔が見えないほどの暗黒の嵐があったことが記されている。この暗黒こそ、巨大彗星メノラーと地球の磁力線同士が凄まじい交差現象を引き起こした末、発生した暗黒プラズマ現象である。
不思議なことに、暗黒プラズマが発生した場所では、エノクの街を含めて、プラズマの超高熱で焼死する例が全くないことである。それは、キリストの磔刑の時にエルサレムを包み込んだ暗黒においても同様で、近年に起きた暗黒プラズマ現象においても同じである。プラズマの持つ超高熱の炎を避ける術は、暗黒プラズマの発生と関係があるかもしれない。それが、プラズマ領域の特異点を示す黄金率である「φ」を表すのかもしれない。
巨大彗星メノラーが地球に接近するにおよび、天体間に起る潮汐力により、地球の自転が大きく狂わされ始める。そして大きく地球が傾くや、そのまま極が逆転し、凄まじい地殻変動が全世界を襲ったのである。(事実、ポールワンダリングが起こり、この時太陽は西から昇っている)
エジプトの賢者イプウァーは記録の中で、街は壊滅し、上エジプトは廃墟になってしまったとしている。さらに多くのエジプト人が家の下敷きになって死に、瓦礫の山の中から生き残った者の泣き叫ぶ声が轟いたという。当時のエジプト人の家屋は、王族や貴族のような身分の高い者は、石のブロックを積み重ねた二階建て、あるいはそれ以上の家に住み、普通のエジプト人でも煉瓦造りの家に住んでいた。そのため、激しい地震には耐えられず、一瞬にして倒壊の憂き目を見るのである。しかし、古代イスラエル人の家屋は、粘土造りで平屋だったため、煉瓦や石造りの建物に比べて弾力性に富んでいた。それで、古代イスラエル人の中で死んだ者は出なかったが、エジプト人の家ではすべての初子が死んだとされている。
「真夜中になって、主はエジプトの国ですべての初子を撃たれた。王位に座しているファラオの初子から牢獄に繋がれている捕虜の初子まで、また家畜の初子も悉く撃たれた」((出エジプト記」第12章29節)
ラビの知識書「ミドラシュ」にも、エジプトで起きたバラドの災いの事を、隕石と火災と地震と表現し、エジプト最後の夜は、夏至の正午のごとく明るかったと記述している。これは巨大彗星メノラーの姿こそ見られなかったが、あまりの巨大さに凄まじいい光が雲を通して地上に降り注いだことを表している。
モーセたち古代イスラエル人は、翌朝、エジプトを脱出した。天変地異は天空を猛烈な西風の吹き荒れる世界にしていた。やがて紅海に面した海岸に到着したモーセたち一行は、背後から襲うためにファラオが差し向けた戦車軍団の轟きに恐怖する。しかし、その時の様子を「ミドラシュ」はこう述べる。海面は2500キロの高さまで盛り上がり、地上のすべての住民から見えた。一方「旧約聖書」にも、神はエジプトの地と、ゾアンの野で奇しき御業を彼らの先祖の前に行われた。彼は海を分けて彼らを通らせ、水を立たせて山のようにされたと記述されている。潮の満ち引きや海水面の上昇は、太陽と月の引力によって引き起こされる現象である。それが、地球とほぼ同じ質量の天体が異常接近した場合は、通常の比ではない。海洋の水を数千キロも盛り上げるだろう。巨大彗星メノラーも、地球上の海水を自分の方へひきつけたことは確かである。そのため、紅海の水は瞬く間に消え失せたが、底を露わにしてしまったとヴェリコフスキーは指摘している。さらに、巨大な天体同士の超接近時に、凄まじい大放電が発生する。巨大彗星メノラーとの潮汐力で盛り上がった海洋の水も、この大放電を最後に一挙に崩れ去り、紅海に膨大な海水が壁となって戻ってくることになった。そのため、モーセたちを追って紅海に突入したエジプトの戦車軍団は、一瞬にして凄まじい海水に呑み込まれてしまった。地球が巨大彗星の放つガスの尾の中を通過する間、自転は乱れ、天体としての軌道上の運動も狂った。しかし、暗黒の雲から脱出した東半球の人々の目に飛び込んできたものは、燃え盛る真っ赤な巨大彗星の頭部だった。地球に超接近し過ぎた為、彗星の大球は一度軌道を外れて後退し、地球の軌道上を移動したが、6日後に再び接近を開始する。
巨大彗星メノラーは地球に超接近し、凄まじい大カタストロフィーを地球に起こして自らも地球の潮汐作用を受けて、やがて別の軌道へと遠ざかり始めた。