(3)FBI超能力捜査官ジョー・マクモニーグル
マクモニーグルは元軍人である。アメリカ軍の兵士で、若いころベトナム戦争にも派遣されている。当時から勘が鋭く、敵の爆撃やミサイルが着弾する場所を察知して、何度も難を逃れている。そうした噂が広まり、それが上層部の耳に入る。
1970年代、アメリカ軍は密かに超能力の研究を行っていた。1972年以降、「CIA(アメリカ中央情報局)」の協力の元、全国から超能力者が密かに集められた。この時、群を抜いて高い能力を発揮したのが、インゴ・スワンとパット・プライスだった。スプーン曲げで有名なユリ・ゲラーはインゴ・スワンによって見出された一人である。ユリ・ゲラーは超能力を披露することで、各国の有力者たちに接近し、積極的に諜報活動をしていた。CIAやイギリスの秘密情報部のスパイであることをユリ・ゲラー自身が認めている。
アメリカの超能力研究だが、最終的に「スターゲイト・プロジェクト」と呼ばれることになる。スターゲイト・プロジェクトに呼ばれたサイキックは軍事関係者だった。1995年、スターゲイト・プロジェクトはCIAの管轄となり、正式に閉鎖が決定される。このおかげで、それまで秘密保持の為、存在が明らかにできなかったサイキックが実名で、公の場に姿を現すことが出来るようになった。ジョ-・マクモニーグルもテレビなどで活躍することが出来るようになった。
超能力と言う言葉が、一般的に使われるようになったのは、1974年にユリ・ゲラーが来日した頃である。それまでは霊能力や神通力、千里眼、念力などの名称で知られていた。アメリカ軍が軍事利用として注目したのは、リモート・ビューイングである。遠隔透視と言う言葉ゆえ、千里眼のイメージが強いが、少し違う。リモート・ビューイングは誰にでも持っている能力で、訓練次第で開発可能である。そのためのプロトコルをインゴ・スワンが整理し、これをもとにスターゲイト・プロジェクトでは訓練が行われた。最も重要なことは、いかにして雑念を祓うかである。雑念を祓うことによって、人間が本来持っている能力を引き出し、ターゲットを正確に透視できるようになるという。インゴ・スワンは雑念を除去する方法をプロトコルとして確立したのである。
ジョー・マグモニーグルの場合、ダブルバインド方式を採用している。ターゲットが記された紙を封筒に入れ、それを実験に立ち会うモニターに渡してもらう。モニターは封筒を開けて、中身を見ることはない。マクモニーグル自身は封筒を触ることもしない。ターゲットから二重に隔離された状態でリモート・ビューイングを行うのである。この時、マクモニーグルは意識を高めていく。リモート・ビューイングをしている最中の脳波を森昭雄教授が測定したところ、全てがフラットになっていたという。いうなれば仮死状態だったという。かって、マクモニーグルは何度か死にかけたことがあり、その度に臨死体験をしているという。そのおかげで超能力が備わったのかもしれない。
リモート・ビューイングで浮かんだイメージについて、マクモニーグルはスケッチすることが多い。見た映像を細かく絵を起こすのである。あたかも空中から地上を俯瞰するように地図を描いていく。建物や道路を細かく書き込み、徐々にターゲットに近づき、場合によっては人間の顔を描写する。
日本のテレビ番組で、麒麟の田村裕さんを呼んで、本人が中学生の時に失踪した父親を捜すという企画が立てられた。マクモニーグルはターゲットが住んでいる場所を透視し、失踪していた田村さんの父親を見つけ出すことに成功した。このことでジョー・マクモニーグルは一躍有名になった。彼が得意なのは埋蔵金の透視である。金鉱脈は発見しやすいという。歴史的な謎をリモート・ビューイングで解明することはどうだろうかと、飛鳥昭雄氏は聞いてみた。すると、マクモニーグルは勿論可能だと答えた。それで選ばれたターゲットは3つ。沖縄の与那国遺跡と古代天皇家のルーツ、そして邪馬台国および卑弥呼の謎である。
邪馬台国の謎を解明するにあたって、「日本の指導者、卑弥呼の墓の場所」と書かれた紙を渡した。…中略・・・2007年4月、ナンシー夫人から透視結果がメールで送らてきた。そこには手書きの地図が添付されていた。分析の結果、地図は山口県長門市のものだった。少なくとも卑弥呼にゆかりのある土地であることは間違いない。透視結果をもとに現地へ赴き、検証すると見事に一致していたという。しかし、問題は邪馬台国である。周辺には遺跡は見当たらない。卑弥呼につながる遺物は発見できていない。それで、担当者はナンシー夫人に第2、第3のターゲットを送り、引き続きリモート・ビューイングをしてもらうように依頼することにした。第2回目のターゲットは卑弥呼に関する具体的な情報、即ち容姿や性格、服装などに関する項目を選んだ。透視結果が届いたのは2007年8月の事だった。そこには女性の顔が大きく描かれていた。明らかにターゲットは邪馬台国の女王である。彼女は霊的シャーマンであり、神殿において儀式を行っていた。確かに「魏志倭人伝」が伝える卑弥呼である。
第3回目のターゲットでは、卑弥呼が住んでいる場所、出身地、天皇家とのつながり、そして部族名を指定した。第3回目の透視結果がすぐ送られてきた。これによると、まず、卑弥呼の部族は当時3番目の勢力を誇っており、倭国をまとめるに当たり、その霊的能力が買われて、部族連合の王として推戴された。邪馬台国があったのはズバリ、畿内である。三輪山に近い奈良県桜井市にある鳥見山に卑弥呼の居城があった。つまり、現在発掘が行われている纏向遺跡こそ邪馬台国であると断定してよい。