(14)地球内天体アルザル
バード少将が撮影した映像は異世界の風景だけではない。異世界そのものを撮影している。そこに映っているのは光り輝く大気に覆われた星だった。光る霧に包まれた先にあったのは一個の天体だった。地球内部には巨大なプラズマ領域がある。そこに亜空間が生まれ、さらに光る大気、つまりはプラズマに覆われた天体が浮かんでいるのである。アメリカ軍は、この天体のコードネームを「アルザル」と呼ぶ。
アルザルの地上はジャングルに覆われ、そこには巨大動物が生息する。地球より重力が小さいので、陸上動物は巨大化できる。地球上で絶滅した動植物が往時の姿のまま、アルザルの地上を闊歩している。人類もいる。彼らはみな黄色人種のモンゴロイドであった。バード少将も飛行機から目撃した人々はアジア系だったと証言している。彼らの正体は「失われたイスラエル10支族」であることが判明している。決め手となったのが、墜落したUFOにあった「エイリアンバイブル」である。エイリアンが所持していた書物は「聖書」だった。変形したヘブライ語で書かれ、そこに彼らの歴史が記されていた。
地球内天体アルザルの住民は長寿である。人間は1000歳近く生きる。彼らが科学技術を飛躍的に発展させたのも、長寿だったことが大きい。天才物理学者や技術者が何百歳まで生きるならば、学問や科学技術は飛躍的に発展する。しかもエイリアンは絶対平和主義者である。征服しようと思えば、すぐにでも支配できる。地上には一切攻撃してこない。彼らの支配者は預言者であり、崇高な倫理観のもとに地球上では実現できなかった理想郷を築いている。いわば地球内天体アルザルは一つの理想郷なのである。
地球内天体アルザルも一つの生物である。地球内惑星生命体アルザルなのである。地球内天体アルザルは地磁気を持っており、その内部にはプラズマ領域があり、プラズマ生命体として生きており、超宇宙生命体ハイコスモリアンとしての自我を備えている。
地球生命体ガイアにとって、地球内惑星生命体アルザルは、体内に宿した子供であり、人間で言えば胎児なのだ。言い換えれば、地球生命体ガイアは懐妊している。いずれ出産する。臨月が極まった時、地球内惑星生命体アルザルは誕生するだろう。
では、どこから地球内惑星生命体アルザルが誕生するのか?それは北極である。ロシアの極秘情報によると、現在、地球の内核は徐々に北極に向かって移動を開始しているという。ついには地表に出てくる可能性がある。球状のプラズマ亜空間の一部が、ドームの様に染み出してくるのである。地球内天体アルザルを包んだプラズマ亜空間が地表に出てくるとは、出産が近いと言うことである。地表にプラズマ亜空間が顔を出した段階で、地球磁場と太陽磁場が一致し、磁力線がつながると、一気に地球内天体アルザルが宇宙空間へと放出される可能性がある。一種のプラズマ・トンネルを通って、地球内惑星生命体アルザルが産み落とされるのである。これには引き金を引くもう一つの天体がいるのである。
アメリカ軍は地球内天体アルザルの内部に亜空間があり、しかも天体が存在することを突き止めた。コードネームは「ダイモーン」という。ここでは便宜上、地球内天体ダイモーンとしておく。地球内天体ダイモーンについてはほとんどわかっていない。しかし、地球内天体ダイモーンも生命体であり、超宇宙生命体ハイコスモリアンである。地球内惑星生命体アルザルの内部に存在するという意味では、地球内惑星生命体ダイモーンは地球内惑星生命体アルザルの子供と言えるかもしれない。地球内天体ダイモーンに関して、重要なデータがある。そこに人間の霊が存在するというのである。聖書で言うところの「冥界」のような世界らしい。さらに地球内天体アルザルにはもう一つプラズマ領域があり。そこにも天体が浮かんでいるという。アメリカ軍がつけたコードネームは「レメゲトン」という。レメゲトンは暗黒に包まれている。ブラック・プラズマだという。地球内天体ダイモーンが冥界(天国)なら、地球内天体レメゲトンは地獄である。地球内天体レメゲトンには魔物が住んでいる。肉体を持たない超常生命体、堕天使ルシフェルと悪魔、怨霊がひしめいているという。
地球内天体レメゲトンも超宇宙生命体ハイコスモリアンである。ブラック・プラズマを身にまとった地球内惑星生命体レメゲトンである。地球内天体アルザルと同様、地球内天体ダイモーンや地球内天体レメゲトンも順を経てアルザルの体内から地上に現れる。その時、地球内天体レメゲトンは暗黒天体として姿を現す。宇宙には恒星と対照的に光を吸収する暗黒天体が存在する。地球内天体レメゲトンよりも巨大で、自在に太陽系を移動する遊星が暗黒天体ラジャ・サンである。
この遊星も超宇宙生命体ハイコスモリアンであり、自らの意思を持っている。何より、暗黒遊星生命体ラジャ・サンこそ、太陽系の天体の父親なのである。ガイアが身もごる地球内天体アルザルは処女懐胎であり、暗黒天体ラジャ・サンの子ではない。原始キリスト教で言う処女マリアと同じで、絶対神の力によって誕生する。だから、イエス・キリストが全宇宙の天体の中でガイアに生誕したのである。