(13)フィラデルフィア実験とバード少将の亜空間世界アルザルへの侵入
ハチソン効果だが、黄金率φの発見のほかに不可解な現象にアメリカ軍は注目した。物体融合現象である。何故、比重の違う金属が独りでに融合するのか、その具体的なメカニズムに関しては不明だった。だが、アメリカ軍が密かに行った軍事実験がある。フィラデルフィア実験である。
アメリカ軍は艦船が帯びる磁気を除去しようと考えた。敵のレーダーに捕捉され無いためには、消磁を行う必要があった。消磁のために用意されたのがテスラ・コイルだった。高周波及び高電圧の電磁気を発生させ、戦艦をまるごと消磁しようと言うのである。1943年、フィラデルフィアの軍港で乗組員を大勢乗せた駆逐艦エルドリッジを使って実験は行われたが、実に恐ろしい現象が発生する。
テスラ・コイルのスイッチが入った瞬間、光る霧のようなものが発生し、駆逐艦を包み込んだ。やがて駆逐艦は透明化し、ついには肉眼で姿を見ることはできなくなった。姿まで消滅したのである。驚くことに、ほぼ同時刻、約20キロ離れたノーフォーク沖に駆逐艦エルドリッジは出現した。その場にいた人は度肝を抜いた。予期せぬテレポーテーション現象を起こした駆逐艦エルドリッジは、しばらくすると、再び透明化し元のフィラデルフィアの軍港へと戻ってきた。この時、駆逐艦の中では地獄絵が広がっていた。
実験が終了し、検分のために駆逐艦に乗り込んできた兵士たちは、あまりのことに言葉を失った。精神を正常に保っている人間は一人もいない。全身が真っ黒に焼け焦げた死体や体の一部が壁や床と融合して、まだ生きている者さえいた。多くの犠牲を出したフィラデルフィア実験は、その後もう一度だけ行われたが、あまりにも代償が大きいため、存在そのものが封印されることになる。
プラズマによって包まれた空間で、かつ特殊な状況下では、異なった物体同士が重なり合う。つまり、一つの空間に異なる物体が存在できるのである。この状態でプラズマの発生を止めると、物体同士は、そのまま融合してしまう。→プラズマは亜空間を生み出していることになる。
「M-ファイル」によると、アメリカ軍が着目したのはプラズマの持つ透過性である。(障壁を透過する性質である。)プラズナーⅠの段階で、アメリカ軍はエリア51でプラズマ透過実験を成功させると、次にプラズナーⅡに進む。即ち、プラズマで包んだ金属球を障害物にぶつけるのだ。結果、金属球は壁に当たって跳ね返り、そのまま落下した。プラズマは透過したが、金属球は壁をすり抜けることが出来なかったのである。だが、彼らは重要なことに気付く。壁そのものをプラズマで包むとどうなるかである。壁の部分にもプラズマを発生させた状態で、プラズマで包んだ金属球をぶつけると、これが透過したのである。さらに、壁を半分透過させた状態のまま、プラズマを消滅させると、金属球と壁が融合してしまったのである。フィラデルフィア実験における人体と艦体との融合現象が再現できたのである。これは画期的発見だった。物体融合現象もさることながら、亜空間を実験的に生み出すことに成功したのである。プラズマを発生させ、そこに別のプラズマを発生させれば、亜空間となる。プラズマは亜空間を生み出す。異なる二つのプラズマで包まれた物体は同じ空間を共有できるのである。プラズマは基本的に電磁気で生み出される。地球にも磁気があり、その中心部には巨大なプラズマ領域が広がっているのだ。つまり、地球内部にはプラズマ亜空間が広がっているのである。事実、そこに侵入した人間がいる。バード少将である。
1946年12月、バード少将はハイジャンプ作戦のもと南極を調査し、南極上空を飛行しているとき、異変が起こった。つまり、亜空間世界アルザルに侵入してしまったのである。基地に帰還したバード少将は、見たことをすべて報告した。しかし事態は急変した。1947年7月、ロズウェルにUFOが墜落したのである。UFO及び搭乗者を回収した時、アメリカ軍は悟った。UFOに乗っているのはバード少将が迷い込んだ異世界の住人(アルザル人)であり、彼らは同じ地球に住んでいることを知ったのである。かくしてニュース映像はすべて中止され、フィルムはもちろん、バード少将の日記さえも封印されることとなった。
バード少将が異世界に侵入したのは偶然ではない。アルザル人によって招待されたのである。自分たちの存在を知らしめるために選ばれたのがバード少将であった。そのように考えたアメリカ軍は、再びバード少将をディープ・フリーズ作戦に抜擢した。南極上空を探検飛行をしているときに、バード少将の機体は、異世界へと入り込む、多くの映像記録を残した後、あの巨大な葉巻形UFOに先導されるようにして、元の世界へと戻ってきた。北極と南極には、地球内部に通じる亜空間があり、そこから侵入することが出来るのである。