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核分裂を阻止する「統一場理論」の話(6)

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(6)テンソルの障壁と脱出速度による瞬間等価原理

 一般相対性理論の3つの予言は次のとおりである。

①近日点の移動である。太陽の周りを彗星が回っているが、その軌道は完全な円ではないため、近日点が存在する。この近日点は1世紀に43秒ぐらいズレていく。

②光線の屈折である。太陽の近くを通る光は太陽側に歪む。その歪みの角度は1・75秒である。

③重力場が大きい星から出る光は、重力の影響で振動数が落ち、重力赤方偏移が見られる。

 テンソルと言う難解な数学を使わずにこの3つが説明できれば、その説明は一般相対性理論と合致することになる。

 アインシュタインは一般相対性理論でどうしてテンソルを使ったのか?

 物が動くと、時間と空間が伸び縮みする。その関係を記述する式がローレンツ変換であるが、この式は速度が一定の時しか使えない。例えば、地球の重力場の中を重力に引かれて物が移動するときは、一定のスピードではない。どんどん加速されていく。加速するときにはローレンツ変換は使えない。加速する物体は特殊相対性理論では全く手に負えない。これを考えるためにアインシュタインはテンソルを持ってきたのである。いまだに解けていないリーマン予想で有名なベルンハルト・リーマンというドイツの天才的な数学者がいる。リーマンは歪んだ座標の幾何学を考案した。どうしてそんなことを考えたのかと言われても、歴史が要求していたとしか言いようがない。歴史は不思議で、数学者が先にモデルを考え、その後で科学者が出現して、その数学を使用している。つまり、数学者が最初にインスピレーションを受けると、数十年後に物理学者がそれを使うのである。

 リーマンが歪んだ空間を研究していたところに、アインシュタインが「宇宙は歪んでいるのではないか、そしたらリーマン幾何学が使えるのではないか」と思い付いた。それでアインシュタインがリーマン幾何学に出て来るテンソル計算を使ったのだが、難しすぎて非常に分りにくい。

 五島氏はリーレンツ変換がそのまま使えないかと思い、ロケットの脱出速度に気づいたのである。

 脱出速度とは、地球の重力場から抜け出して、はるかかなたまで飛んでいくのに必要なロケットの打ち上げ速度である。この脱出速度をそのまま使ったら、一般相対性理論の公式がほぼ出てきたという。これは従来のローレンツ変換ではないので、五島氏は「瞬間等価原理」と名付けたという。

 重力を脱出するスピード、脱出速度で走ったとしたら、その座標系では重力場がゼロになる。

 ある惑星から打ち上げられたロケットが重力場の影響を超える脱出速度で飛んでいくと、そのロケットの座標には重力は乗ってこない。

 この考え方を使って編み出したのが瞬間等価原理であるという。この概念を使うと、一般相対論の公式がほとんど出てきた。近日点の移動、光線の屈折、重力赤方偏移も全部計算できるという。この計算は非常にややこしいので省略するが、わかりやすく言うと、特殊相対論しか知らない人でも瞬間等価原理ですべて説明がつく。もしかして一般相対性理論は要らないかもしれない。それが「自然界の先駆的統一」の中間部分の内容である。


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