(1)5次元宇宙の物理学
これは、五島秀一著「5次元宇宙の物理学 大統一場理論」の要約である。著者の五島氏は引きこもりで登校拒否をしていた経験があるが、自分で考えるということを学び、いわゆる霊的体験をしている。2005年には、アインシュタインが夢に現れメッセージを託される。以下は冒頭の五島氏の言葉である。
「化学は人を幸せにするのもです。決して、核や原爆、自然破壊に使ってはならない。私の動機は、全てを幸せにしたいという、熱、温度のある暖かいところから発せられているのです。」
「被爆者である父の志を受け継ぎ、小学6年生の時、作文で「放射能の核分裂を阻止する法則を見つけます」と宣言。広島大学在学中に図書館の本を全て読破。・・・・この宇宙史は実はすでに47兆年も経っている。その膨大な時間の中で、あらゆる星が、最後は争いから核戦争で滅んでしまった。いまだその核の放射能の核分裂を阻止する法則を、誰もこの宇宙史の中で発見できずにいる。それを何とか見つけなければ、この地球もやがてアトランティスやムー大陸がそうであったように核戦争で滅んでしまう。統一場理論を完成するしかない。・・・・2005年、夢に現れたアインシュタインから、メッセージを託される。アメリカのお下がりである原発の耐用年数は30年しかない、すでに30年は過ぎていて放射能はダダ漏れである。このままでは日本にある原発の全てがやがてメルトダウンする。急ぎ法則を発見して完成させてほしい」
さらに五島氏は巻末で英語の論文を掲載している。その概要は「ミクロ領域での重力場理論が研究されている。瞬間等価原理が発見された。特異ロレンツ変換によってニュートンの万有引力が修正され、これによって強・弱相互作用が自動的に導かれる。これは力の統一場である。そしてヒックス粒子の質量についても言及する。ミクロ領域では重力場が弱いので、グラビトンが導入される。重力場を量子化するには、ミクロ領域で一般相対論を修正しなければならない。まず、量子力学に基づいて相対性理論を導いてみよう。それには波動の性質から、時空間の目盛り、尺度を導かなければならない。そして波動を拡張して解釈する必要がある」というものである。
残念ながら私には英語の論文も難しい数式も判らない。それでもわかる人にはわかるだろうと思える。五島氏が主張する「相対性理論は量子力学によって抱合される」ことの要約をしてみたい。
アイザック・ニュートンが「重力」を発見した。その時、力の概念が生まれた。距離が離れていても手前に引き寄せようとする働き、遠方の物体を手前に引き寄せようとする働きが力である。その一つとして重力が発見された。その後、マイケル・ファラデーなどによって「電磁波」が発見された。電磁波は重力ほど目に見えるものではないが、蛍光灯にしても携帯電話にしても電磁力なしには作動しない。電磁力にはプラスとマイナスがある。これが重力と大きく違う点である。もし重力にプラスとマイナスがあれば、マイナスの方は反重力となる。恐らく近未来に置いて反重力ができると想定している。そうすると反重力装置も生まれるだろう。それから、「弱い力」が発見された。これは素粒子がバラバラになっていく働きである。それから「強い力」がある。これは湯川秀樹さんとも関係があるが、原子核を1つの形態に留めておく強い力である。この4つの力が現在までに発見されている。
科学者は、このバラバラに見える4つの力を統一したい、元々この宇宙にある根源の力を解明したいと思い、ワインバーグとサラムが、「電磁力」と「弱い力」はもともと1つだという電弱統一理論を発表したが、「これとこれは1つだ」という形で、少しずつ4つの力を統一しようとしている。
私たちの知恵の働きはバラバラに見えるが、それがいろいろな形に変化したりしてバラバラに見えるのである。知の探究心、好奇心がただ一つの物に向かう衝動は、宗教においても存在する。宗教では、ただ一つのものを神(ゴッド)と呼ぶ。宗教の開祖たちは、ゴッドから啓示を受ける形で様々な宗教を作った。彼らは直観によって宇宙の唯一の力に到達した。科学者は論理、数式を使って、少しずつただ一つのものに向かって前進している。現状では、統一場理論が完成するのは100年も200年も先になるのではないかと考えられている。
科学の歩みはボトムアップ式である。下から徐々にまとめていく方式である。ボトムアップに対するものとして、トップダウン方式がある。トップダウン方式は最初からトップの迷うことなき指示が示され、後は下部組織がどうするかという形になる。五島氏は科学においてもトップダウン的な発想ができないかと考えた。元々一つの状態であったに違いないと考えて、「自然界の先駆的統一」(巻末に掲載)という論文にまとめている。→(残念ながら私は判らなかった)
最初から一つのものがあったに違いない。だとすれば、その1つのものはどんな数式で表されるべきかと考えた。これは人間の持っている信念とも関係がある。1つの道を切り開く人は皆信念を持っている。それは決して、ボトムアップではない。信仰、祈りにも近いようなトップダウンの働きがある。
知識や情報が豊富だからと言って、いい仕事ができるかというと、知識・情報よりも経験の方が上回る。いくら国家資格を取ったからと言っても、経験や勘の方が当たる場合が非常に多い。しかし、いくら経験があっても臆病にしたとすれば、経験がマイナスに働くことになる。経験は知識や情報よりも上であるが、経験よりも上なのが信念である。
本を読んでも自分を信ずるしかない。物の本質は信念だろうと思っている。(五島氏)
物理学者や数学者の業績を推進している最大の原動力は、実は知識でもなければ数式を解く能力でもなく、言葉の端端からにじみ出る、その人のユーモア、センス、人柄である。理論そのものよりも、なぜその理論を思いついたのか、その人の生き様はどうっだったのだろう、挫折をどんな風に乗り越えてきたのか、ということの方が重要である気がする。(五島氏)
日本人には、逆境を跳ね返す力、何年も待ち続ける忍耐力が十分に備わっているので、これから日本人は、そのような大和心をかみしめながら生きていくことが必要だと思う。(五島氏)