(18)「サウンド・ヒーリング」「音響療法」のバイブル
「音が生命を癒す」。それは、「生命が波動そのもの」だから当然である。この真実を一言でいえば、「音響生命学」と呼べる。それを体系的に解説する好著がある。「タオ・オブ・サウンド」(ファビアン・ママン他著、増川いづみ監修、田元明日菜訳、ヒカルランド)
音響療法(サウンド・ヒーリング)には様々なアプローチがある。一つ共通するのは、それが自然音であることである。つまり、自然な素材から発生する音なのである。これと真逆なのが、人工音である。電子音などが典型である。ビートが効いて、ホップで、ロックでビンビンくる。しかし聴いているとぐったり疲れる。つまり、自然音は生命を癒すが、人工音は生命を壊すのである。
谷川のせせらぎの音、森の葉陰を揺らす木もれ陽の光を思い浮かべると、安らぎと落ち着きを感じるはずである。なぜか? それは、私たちの生命波動と合っているからである。他方で、メタルロックのギンギンの響きや、激しく点滅するクラブのフロアライトは、どうでしょうか? 一時的に興奮はしても、私たちの脳どころか身体、細胞までもがくたびれてしまう。
杏林予防医学研究所の山田豊文所長は明言する。
「私たちの体には、原始から音と光を受け止める受容器(センサー)があるのです。それは外部から波動エネルギーを受け取る窓口です。そのセンサーにおかしな音や光が入ったら、人間の生命は狂って当たり前です」
私たちの五感で、最も外部からの情報量が多いのは「聴覚」と「視覚」である。つまり、「音」と「光」で、私たちは外部とつながっているのである。
野生の動物たちも同じである。外部の音に耳をそばだてる。それは、自らの安全を確認するためであり、常に外部に目を配るのも同じである。そして、「音」と「光」で安心を得られたら静かにくつろぎ眠りにつくのである。
「タオ・オブ・サウンド」の著者ファビアン・ママンは、音叉によるサウンド・ヒーリングが伝統音楽から東洋医学、言霊理論さらには占星術までリンクしていることを解明している。そのダイナミズムは、道教の祖・老子の説いた「タオ」にまで到達している。
「本書で紹介するテクニックは、エネルギー(気)と音楽を活用した、新たな時代の魂のワークです。神我は、私たちの身体の中にあります。細胞の中核に、DNAの中に、神の物語が記録されているのです。科学的な研究、魂の実践、芸術的な表現が一体になった時、天と地は共鳴します」(ファビアン・ママン)
「人類が新たなハーモニーを奏でるために、自然と天空のエレメントと調和する方法を学びましょう。人間の血液細胞が、「音の周波数に反応して色や形を変える」という理論から生まれました」(ママン)
これは波動医学の根本理論からすれば、驚く事ではない。「生命自体が、波動エネルギー体」であるからである。そして、各々、細胞、組織、器官、臓器も固有の周波数を持っている。そして、これらが不自然な状態になれば、固有周波数からズレた波動を発している。ズレを検知するのが波動医学の診断であり、ズレを修復するのが波動医学の治療である。
この時応用されるのが、共鳴現象である。同じ周波数を発しあうと、他方には、一方からよりはるかに大きな波動エネルギーで応じる。これが共鳴(オシレーション)である。サウンド・セラピー(音響治療)もこの原理により応用している。乱れた細胞・組織・期間などの波動に、正しい自然音を送りこんで共鳴現象を起こす。そして、本来の波動(固有周波数)に戻す。いわゆる、ピアノの調律と同じ作業を行うのである。血液細胞が、音の周波数に反応して色や形が変わったのは、この調律効果なのである。
波動医学に疑問と批判を抱く人もいる。その言い分は、「そんなに微細なエネルギーに、生体が反応するわけがない」ということである。
しかし、共鳴現象を理解すれば、その疑念も吹き飛ぶはずである。3・11東日本大震災の時、奇妙な現象が起きた。震源から1000キロ以上も離れた55階建ての大阪府庁舎ビルが、10分余りも大きく揺れ続けたのである。ビルの100カ所以上に亀裂が走り破壊された。一帯で揺れたのはこの高層ビルだけだった。まさにミステリーである。これも共鳴現象のなせる業だった。これはニュートン力学では説明できない波動の神秘である。だから、超微細な音や光どころか、更に微かなエネルギー(サトル・エネルギー)の量子波にすら、生命は共鳴現象で反応するのである。