(8)「気」とは、一体何か?
「気」とは、一言でいえば、生命エネルギーである。あらゆるエネルギーは、波動である。だから、「気」とは生命波動エネルギーなのである。つまり、人間を生かすあらゆる波動エネルギーが、「気」の総体といえる。
生命波動は、脳波、心電図、脈拍、筋肉電流などが思い浮かぶ。これらはすべて、「気」によって制御されている。呼吸や脈拍、更には感情、思考までもが「気」の影響を受けている。影響というより支配されている。つまり、生命のあらゆる現象は、全て「気」が支配している。
「気」は体内にだけ存在するわけではない。対外の世界も「気」に満ちている。目の前の空間も「気」に満たされている。宇宙全体も「気」に満たされている。それを古代サンスクリット語で「プラーナ」と呼ぶ。
学術的には次のレベルまで解明されている。「・・・「気」は中国思想全体を通じて、最も重要な概念の一つであり、漢方医学上では、生活活動を営む根源的エネルギーとされている。「気」は目で見ることはできず、何かの可能性を持った、無形のエネルギーであり、生命活動においては、精神活動を含めた機能的活動を統括する役割を担っている」(「漢方の診断1-4 基本概念」 日本東洋医学会より)
やはり、「気」とは生命活動の全体を統括する存在であることがわかる。つまり、人間は日々の生活や人生を「気」によって生かされているのである。さらに解説は続く。
「気は誕生に際して、父母から与えられた「先天の気」と、誕生の後に自然界から取り入れる「後天の気」に分けられる。「後天の気」は呼吸によってもたらされる「宗気」と、飲食物の消化吸収によって得られる「水殻の気」から成っている。」
つまり、「気」は祖先からも受け継がれ、呼吸や食物からも得られるのである。それが波動エネルギーであることを知れば、当然のことと理解できるはずである。祖先から受け継がれる「先天の気」は、遺伝子に波動情報として記録される。呼吸による「宗気」は、ただ空気を吸うだけでなく対外と「気」の交換を行っている。飲食による「水殻の気」は、水や穀物から波動エネルギーをいただくことを示している。つまり、「呼吸」や「食養」や「断食」も明らかに波動療法なのである。
「気」の様々な状態・症状も解説している。
①「気虚」→気の絶対量が不足した状態で、産生の低下、消費の増加が原因である。現れる症状は、全身倦怠感、易疲労感(疲れやすい)、気力の低下、食欲不振をきたす。いわゆる気が抜けた状態である。最大の対策は休息することである。それで「気」はチャージされる。
②「気逆」→「気」は頭部から下肢、あるいは中心から抹消へと向かう。これが逆流した状態を「気逆」という。症状は、冷え、のぼせ、発作性の頭痛、動悸発作、焦燥感を引き起こす。あがった状態であり、意識を上から下に落とすつもりで腹式呼吸をすることにより、気を沈めることができる。
③「気鬱」→気の流れが滞り、うっ滞した状態である。症状は、抑うつ気分、喉のつかえ感、腹部膨満感などがある。気詰まり、気落ちなど気の流れがストップしている状態であり、丹田呼吸などで気を全身に巡らせる。ストレッチも気の巡りをよくする。最も簡単なことは腹の底から笑うことである。
日本文化は「気の文化」である。日本語のあらゆる場面で気が出て来る。「病気」は「気」が「病んでいる」から「病気」になる。だから「病んだ気」を元に戻せばいいのである。気が病むとは、その波動が乱れているからである。だから乱れた波動をもとの波動に戻せば病気も消えていく。これが波動医学の根本原理である。
この生命波動エネルギーの存在を知らずに肉体を物体としてとらえ、薬という有毒化学物資に対する肉体の「毒物反射」を、「効能」と錯覚したのが西洋医学である。これでは病気が治るわけがない。そこでさらに強い薬毒を注入する。患者は体毒にさらに薬毒が加算され、倍加し、症状はさらに悪化していく。まさに無知の悲劇であり、狂気である。
漢方では生命を生かす3つの要素を挙げている。それが「気」「血」「水」である。別名「体を支える3つの大黒柱」という。3つの大黒柱の充実があって、生命の三脚は固定される。
(1)気の柱→このチェックは「気虚」「気逆」「気鬱」をチェックする。
(2)血の柱
「血虚」→体の栄養が足りていない状態を示している。バランスよく栄養が血液にいきわたっていることが大切である。
「汚血」→血流が滞っている状態である。いわゆる血流不全、血栓症などもこれに該当する、隅々まで血が巡っているかチェックをする。
(3)水の柱
「陰虚」→体に潤いが足りていない状態。
「水滞」→体の隅々まで水分がいきわたらず、どこかで溜まっている状態であり、リンパの流れが悪くなることも、この「水滞」の一つである。
このように「気」「血」「水」のバランスが健康の基本と言える。西洋医学が支配してきた現代医学は、もっと詳細にチェックする。それも数値で細かく示す。それに比べたら、東洋医学はシンプルである。しかし、それだけ健康や生命の仕組みがはっきり見えるからである。