(39)「未来記」第六章 近代日本と終末国際世界の預言
(第六章の読み下し文)
仏は兼ねて鑑知して大乗の経中に此の旨を説き給う 謂う所大般若経に云う 未来の世の中に諸の悪魔有りて 正法を破らんと欲する 故に変じて比丘の形と作りて東海の中の小国に於いて出生し 徒党を立て邪法を弘め 衆生を惑わし地獄に令める
(第六章の現代語訳)
仏(釈迦)は前もって鑑知(考え悟る)して、大乗の経の中にこの旨を説き明かしになっている。いわゆる大般若経には「未来の世の中には多くの悪魔で存在して、仏法を滅ぼそうとする。そのため、僧として東海の中の小国(日本国)に生まれ、徒党を組んで邪法を弘め人々を惑わして地獄に堕とさせる」と述べている。
(歴史的現代→日本)
口先三寸のリップサービスで国政を動かした首相と言えば小泉純一郎しかいない。短い言葉で押しまくり、様々な演出でマスコミを大いに喜ばせた手法は、ローマ帝国のコロッセウムを利用した劇場型政治そのものだった。たとえ中身の無い根拠なき空論も、最小限食わせて喜ばせるだけの状況が与えられるならば国民はついてくる。これを「パンとサーカス」といい、小泉劇場はまさにそれだった。
小泉元首相を悪魔とまでは言わないが、思い出してほしいことがある。戦前戦中の日本は、国家神道という似非神道を生み出した国家カルトの帝国だった。年輩の方は、忘れようとしても忘れられない強烈な体験だったはずである。そうしたことを知らない若い世代の人々には、是非、こうした歴史があなた方のすぐ前にあったことを認識していただきたい。
そもそも国家神道なる神道など、かっての日本には存在しないものだった。作られたのは明治以降で、江戸時代末期は古神道という新たな神道が盛んに研究されていたため、その勢いから登場した新興宗教だったのである。
今の北朝鮮を見ればわかるが、国家自体がカルト化したら最後、一切の常識は通用しなくなり、世界から孤立する。それでも「将軍様がお助けくださる」の論理が簡単に通用してしまうのである。日本でも「最後は神風が吹く」で、全ての常識が押し切られ、2発の原子爆弾で吹き飛ばされるまで目が覚めなかった。
「大乗の経」とは、貧しい者でも救いを与える崇高な教えだが、日本軍部はそれをアジア諸国制覇に悪用した。確かに看板だけは立派で、世界を一つの家とする「八紘一宇」や、満州国設立で中国の願いを実現させる「五族協和」、さらに世界の五大大陸を平和裏に統一する「五大州統一」の考えそれ自体は立派でも、その動機が軍による世界制覇という邪念と狂気に満ち溢れていたのである。これが軍の世界統一史観である。
世界が天皇のもとに統一される「皇国史観」ともいうが、天皇は神輿に過ぎないので、実態は軍が世界を武力で征服することを意味していた。つまりカルト宗教の「オウム真理教」の教祖、麻原彰晃が生物細菌兵器で国家を擾乱し、その機に乗じて天皇になろうとしたように、軍の妄想に過ぎなかったのである。軍はそれを錦の御旗に利用し、暴走を繰り返して占領地を拡大した。それこそが戦前・戦中の日本帝国の真の姿である。その結果、日本が手にしたものは無数の屍と焦土だけだったのである。
(歴史的現代~近未来→世界)
今アメリカは米軍再編を機会に、東の海に浮かぶ日本列島全体を沖縄化する戦略に乗り出した。
自民党の総理大臣だった中曽根康弘などはレーガン大統領とのロンヤス関係の中、日本を「不沈空母」と発言し、アメリカ軍の意向に従う姿勢を見せた。どうぞ航空勢力として自由に日本をお使いくださいと申し出たことになる。さらに敗戦後まもなく、自民党の吉田茂総理大臣は日本独立の条件としてアメリカに対して米軍基地を日本に置くよう提案をしている。これがあるので、アメリカは堂々と日本に基地を置き続けていられるのだ。そして、小泉ブッシュ関係の中、大規模な米軍再編が行われ、極東に浮かぶ島全体がアメリカ軍の基地と化すことになった。
東の海に浮かぶ小国に、アメリカが唱える嘘の教えが蔓延し、アメリカ主導の「対テロ戦争」の美名に乗せられた日本は、最後はアメリカの駒に貶められ、アメリカの邪法を世界にばら撒く手助けをする羽目に陥る。それがこの部分に描かれた未来への預言、もう半ば実現していることなのである。