（３５）「未来記」第四章 近代日本と終末国際世界の預言
「第四章 読み下し全文」
爾時魔王波旬は仏法に依りて僧家を破らんと為し 日域を奪領して鬼国と為さんと欲する 故に三人の眷属を遣わし比丘の形を為し邪法や魔業を授ける 而して日域の衆生を惑わし三悪道に堕とさんと欲す
（第四章 現代語訳）
その時、魔王の波旬が現れて仏法の名のもとに僧家を破壊し、日本国を奪い取って支配した後、鬼国（残忍な国）に貶めようとする。そこで腹心の３人を僧の姿にさせ、邪道を伝授し、日本の国の全ての人を惑わして、三悪道（地獄、餓鬼道、畜生道）に堕とそうとする。
（歴史的現代→日本）
仏教の教えに「三世因果」がある。３つの時代を経て因果が発生する意味で、まさに日本は、明治・大正を経て昭和で自滅した。その原因は急速な富国強兵による軍国主義にあった。軍拡を急ぎ過ぎた結果、自由民権運動の歴史と明治憲法下で保障された議会制民主主義が、軍の暴走によって踏みにじられてしまったのである。日本の軍国主義は、国内外を問わず大勢の人を地獄に堕とし、飢え死にさせ、人を人とも思わぬ畜生に仕立て上げた。国土を焦土と化すまで戦争を継続させ、面子第一で己の身を守ろうとした「鬼」こそが日本の軍部だった。
欧米列強から日本を守る掛け声は正当化できても、「ジュネーブ条約」を軽視し、捕虜になることを恥と教え、一億総玉砕を美徳と教えた人権蹂躙と人命軽視の軍国教育は、人類最大の悪の極みだった。
原因による結果を因果というなら、軍国主義の返礼が２発の原子爆弾かもしれない。また、仏教でいう「三悪」は、カルマ（業）が因縁生起の法により、物に執着する思想と行為による悪循環が発生し、「怒り・貪り・無知（愚か）」の三悪が起きることを言う。
明治時代、徳川幕府による「不平等条約」で縛られ、欧米列強の力を排斥する「怒りの時代」で、その頂点が、南進政策を進めるロシアと正面衝突した「日露戦争」だった。
大正時代、大陸進出の野心を継続しつつ、ロシア革命に乗じてシベリア出兵を行い、明らかな「貪りの時代」の幕開けとなる。
昭和時代、世界が植民地の時代が終えつつあったにもかかわらず、長年の鎖国時代で時代を読めず、１９３１年、関東軍が満州で「柳条湖事件」を起こし、政府の戦争不拡大の方針を無視して、翌年、満州国を建国し、１９３７年、「日中戦争」の原因を作って泥沼の戦争へ突入していった。
国内では、１９３２年に「５・１５事件」、１９３６年に「２・２６事件」を起こし、井の中の蛙の日本軍は、世界の趨勢だった議会政治を破壊し、政党内閣を終焉させていく。その結果が、１９４１年の「太平洋戦争」だった。昭和はその意味では、「無知の時代」だったのである。
（歴史的現代→近未来の世界）
２１世紀、世界を泥沼に陥れているのは、オサマ・ビンラディンの国際テロ組織アルカイダか、アメリカのブッシュジュニアかわからなくなっている。アルカイダはアメリカがイスラエル一辺倒の政策をやめればテロを行わないという。しかし、パレスチナ無視のブッシュジュニアは、それを無視している。つまり、世界は全く先の見えない泥沼に陥っているのだ。
現在、日本をアメリカの植民地と見ることもできる。いまだにアメリカが日本を実質占領しているからである。その忠実な僕が自民党とすれば、この預言が少し見えてくる。「魔王」は悪魔だが、悪魔の絵で最も数多く象徴されている人間が、アメリカのブッシュジュニアである。そうなると、アメリカは日本をさらに邪道で支配するため、新たな占領政策に打って出てくる。それが「不安定の弧」を守る美名で打ち出した米軍再編である。
四軍統合機動隊を指揮するアメリカの「中枢司令部」を本土からキャンプ座間に移転するのも、新たな日本占領政策と言っても過言ではない。アメリカが目指すのは、日本本土全体の沖縄化である。
仏教に「三善三悪」があるが、それを今の日本に置き換えれば、「戦争の放棄・戦力を保有せず・交戦権を有しない」とする「平和三原則」は三善となる。しかし、アメリカの策に乗って「憲法第九条」を破棄した瞬間、三善は三悪に変貌し、日本は預言通り「鬼の国」となる。
アメリカは「対テロ戦争」の美名を盾にアフガニスタン、イラクと攻略し、次にイランを狙っている。アメリカは、自国の政策に反対する同盟国だったフランスやドイツを蔑ろにし、他の二悪のイギリスと日本を味方につけて無実だったイラクを侵略した。三悪の地獄道を背負うのがアメリカなら、イギリスは便乗して利益を受ける餓鬼道に陥り、日本は「ノウ」と言えない犬のような畜生道に陥っている。