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聖徳太子の「未来記」開封(34)

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(34)日本を過たせた三悪人の出現

「第四章 二」

故遣三人眷属而為比丘形授邪法魔業 而惑日域衆生欲堕三悪道

(読み下し文)

故に三人の眷属を遣わして比丘の形と為し邪法や魔業を授ける 而して日域の衆生を惑わし三悪道に堕とさんと欲す

(現代語訳)

そこで腹心の3人を僧の姿にさせ、邪道を伝授し、日本の国の全ての人を惑わして、三悪道に堕とそうとする。

(現代注釈訳)

 「未来記」は、日本を過たせる仏教僧が3人現れると預言する。彼らは異端となる邪教を仏教の根幹に混入し、日本中を布教しながら大勢の人々を過たせた。結果、三悪道が日本中に拡大していった。

 仏教には、「三善三悪」があり、三善は貪らず・怒らず・道理の3つ。一方、三悪が具現化した場合、殺生・偸盗・邪淫が起こり、言葉による発現は、妄語・綺語・両舌となる。

 これらが全て結集して「六道」を形成し、三善道である天上界・人間界・修羅界と、三悪道である畜生・餓鬼・地獄道が構成されるとする。

 「未来記」が預言を開始した鎌倉時代、すでに日本は末法の時代に突入し、簡単に救いを与えられる浄土信仰が登場すると、一気に日本全国に伝播し、都でも、関白だった藤原頼道が、宇治の「平等院」に阿弥陀堂を建立するきっかけとなった。

(歴史的事実)

 三善三悪について、「新約聖書」も似たようなことを伝えている。

 神界を構成するのが三善である、天の父・子・聖霊で、地獄を構成するのが、三悪である竜・獣・偽預言者としているからである。

「あなた方は行って、全ての民を私の弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、あなた方に命じておいたことをすべて守るように教えなさい」(新約聖書「マタイによる福音書」第28章19~20節)

「私はまた、竜の口から、獣の口から、そして、偽預言者の口から、蛙のような汚れた三つの霊が出て来るのを見た。これは印を行う悪霊どもの霊であって、全世界の王たちの所へ出て行った。それは、全農者である神の大いなる日の戦いに備えて、彼らを集めるためである」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第16章13~14節)

 また、善を成したものが向かう来世を、太陽の輝き・月の輝き・星の輝きの三段階と記している。

 これは天界が三段階に分かれていることを示す箇所でユダヤ密教でも「ヒエラルキー」と名付け、至高世界(至高の三角形)・中高世界(倫理的三角形)・下層世界(アストラル三角形)としている。

「また、天上の体と地上の体があります。しかし、天上の体の輝きと地上の体の輝きとは異なっています。太陽の輝き、月の輝き、星の輝きがあって、それぞれ違いますし、星と星との間に輝きにも違いがあります」(新約聖書「コリントの信徒への手紙 一」第15章40~41節)

 日本人は昔、死者の頭に三角形の白い布をつけ、死者が無事に極楽に行き、神仏の庇護に置かれることを願った。これは「額烏帽子」、「紙冠」といい、仏教では「宝冠」とも言った。

 元は神道から来た習慣で、陰陽師たちが使ったとされ、江戸時代の神仏混交の頃に仏教と合体し、葬式に根付いていった。

 これは、ユダヤ密教の至高世界を形成する上昇の三角形(上向きの三角)と同じもので、生命の樹(命の木)を人体に見立てた「アダム・カドモン」の頭部に該当した。

 そのため陰陽師が頭部に三角の布を巻く呪詛を施したとされる。古来、日本では陰陽師のことを「漢波羅」と呼んだが、カバーラが変形したものと考えられる。

 実際、陰陽師が2本指の刀印を結んで切る「九字」は、縦横交互に9本の線を引き、横5×縦4が作る升12(横3×縦4)を形成する。これと同じ構造がヘブライのレビ族の紋章で、横3×縦4の升目模様になっている。これを胸当てとして神殿で従事したのである。なぜなら、レビ族も陰陽師と同じく神職だったからである。これをタダの偶然の産物と見ない方がいい。


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