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聖徳太子の「未来記」開封(30)

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(30)天台宗と真言宗は誤り無し
「第三章 三」
(読み下し文) 
 戒律仏心の二家は正全にして曇無達磨の時に勝る。 
(現代語訳)
戒律と仏心を重んじる両宗派は公平にして誤りが無く、曇無と達磨の時に勝るほどである。
(現代注釈訳)
「曇無」はドンムと読み、サンスクリット語のダルマと同じ意味で「保持する」、「支持する」という意味を持つ。
(歴史的事実)
 746年、仏教界の殻を打ち破った一人の高僧がこの世を去る。行基である。行基は、僧院に閉じ籠もって特権を享受した当時の仏教界から自らを解放し、貧しい民衆の中に溶け込んで奉仕に明け暮れた高僧だった。全国に、貧しい民の為に橋や宿泊施設を建て、河川工事や道路建設をしながら、仏の道を実践していった。754年、唐僧・鑑真が大陸から幾多の困難を乗り越えて渡来する。805年、近江の名家出身の最澄が、唐から帰朝し比叡山に「天台宗」を開く。行基と同じく、堕落する仏教界に怒りを覚え、桓武天皇の庇護を受けて唐に渡った僧侶だった。806年、弘法大師の号で知られる空海が唐から帰朝し、高野山で「真言宗」を開き、真言密教の開祖となる。密教は仏教の隠された奥義のことで、仏教界のカッバーラである。カッバーラとは、ユダヤ密教の総称で、表に出さない深い真理や奥義を裏に封じたものを言う。釈迦の奥義を、大陸から日本に導入したのが弘法大師で、「未来記」があえて預言しなかった時代に、仏教の表と裏を極めた二人の高僧が相次いで帰朝していたのだ。特に弘法大師は、自ら著した「三教指帰」の中で、「仏教」、「道教」、「儒教」の根本が、一つの出所から派生したものとする奥義に到達したと記す。特に道教は神道のルーツとも見られている。弘法大師は、その中で最も優れたものが仏教とするが、三教の根幹部だけは秘として示さず、密にして隠したものとされている。しかし、鎌倉時代以降の多くの仏教界は、三教を三宝とし、「仏」、「法」、「僧」と入れ換えてしまう。これが堕落の始まりとなる。 
 預言は警告を主体に書かれるものである。すると、「未来記」が預言を開始する時代は、警告の年代が始まることを意味し、「未来記」が世に出る時、それが極まったことを示す。よって、仏教が盛んになり、僧侶が繁栄する鎌倉時代の仏教界は、非常に危険な意味を含んでいたことになる。事実、「未来記」は、これ以降の章を見る限り、最大の警告を発していく。

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