(19)「未然記」第五百歳の出来事(6)
「未然記」第五百歳の出来事 六」
「天南北に分て乱に帰し 上北天に立て下に従う」
(預言内容→世界編)
世界は二極構造で再び対峙するようになる。世界政府側VS反世界政府側の対立構造が新たに出てくるのである。
多くの戦争が勃発する。しかし、北の勢力が増し加わり、南への支配力を強めるとある。「北」はロシアの方角だが、「未然記」では「東」でなければならないはずだ。しかし、ここでは「北」とあるからには、戦争でロシアは一度アメリカに敗北を喫するが、そのまま東ヨーロッパを支配するらしい。
その状況下、やがて北に現れる一つの大きな勢力が、南を脅かすほどの力を持つことを暗示している。ロシアにおける政変か、勢力構造が変わるのか、あるいは再編成されるのか、新たな北の国家がロシアを統一するのか、どちらにせよ方角からして、ロシアが関わらないはずがない。
一つ気になるのが、「旧約聖書」の中に登場する、北の勢力を率いて南の王と戦い、最後は人類を最終戦争に巻き込む覇者「マゴグのゴグ」の預言である。
「人の子よ、マゴグの地のゴグ、すなわちメシェクとトバルの総首長に対して顔を向け、彼に預言して言いなさい。・・・(中略)・・・彼らは皆完全に武装した大集団で、大盾と小盾を持ち、みな剣を持っている。ペルシャ、クシュ、プトが彼らと共におり、皆、盾を持ち兜をかぶっている。ゴメルとそのすべての軍隊、北の果てのぺト・トガルマとそのすべての軍隊、それに多くの国民がお前と共にいる。」(旧約聖書「エゼキエル書」第38章2~6節)
「メシェク」は昔はムシキと呼ばれ、モスクワの語源になった地域のことを言う。「トバル」もメシェクの近郊にあった地域で、グルジアとトルコ付近の黒海沿岸地域を指す。「マゴグ」はイスラエルの北にある国会の北岸地帯で、現在のウクライナ地方の昔の呼び名である。
そこから出たゴグに象徴される男が、南の王と戦い、やがて世界を滅ぼす人類最終戦争を引き起こす預言が「旧約聖書」に記されている。参考のために申し上げると、「ペルシャ」はイラン、「「クシュ」はヘブル語でクシのことで、エチオピアからスーダン南部地域を指す。「プト」はリビアとチュニジア、モロッコ、アルジェリアなど北部アフリカ諸国を指し、「ゴメル」はヨーロッパ全域を指し、「ぺト・トガルマ」は現在の小アジアからトルコ、シリア方面一帯を指す。
このことから、東ヨーロッパ全域が、マゴグのゴグによって征服されることが判明する。それらの国々がロシアに従う国々とある以上、相当な力を持つ勢力になるはずである。なぜなら、彼らは中東の石油を押さえているからである。エルサレムは、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の三大宗教の聖地であり、聖書の方角はイスラエルを中心に見た方角となる。
すると、「北」はマゴグを含むロシア全土を表し、「南」はイスラエル南部にあるエルサレムを示すことになる。実際、古代イスラエル人がソロモン大王の死後、「南朝ユダ王国」と「北朝イスラエル王国」に別れた頃も、エルサレムは「南朝ユダ王国」に属していた。
しかし、いくらイスラエルでも、ロシアとその連合軍と対峙して戦えるとは到底思えない。そこで考えられるのは、イスラエルの背後にいるアメリカの存在である。つまり、南の王となるのはイスラエルではなく、アメリカが主導権を握る「世界政府」を暗示するのである。しかし、ここで注目せねばならないのは、北の王(ゴグ)の存在である。
「代わって立つ者は卑しむべき者で、王としての名誉は与えられず、平穏な時期に現れ、甘言を用いて王権を取る。洪水のような勢力も彼によって押し流され、うち破られ、契約の君も破られる。この王は、わずかの腹心と共に悪計を用いて多くの者と同盟を結び、勢力を増し、強大になっていく。平穏な時期に彼ら最も豊かな地方を侵略し、先祖の誰もしたことにないようなことを行い、戦利品や財宝を分配する。また、諸方の砦に対して計略を練るが、それは一時期のことである。やがて彼は力と勇気を奮い起こし、南の王に対して大軍を整える。」(旧約聖書「ダニエル書」第11章21~25節)
「ダニエル書」によると、北の王のゴグは、やがて南の王と戦えるほどの勢力をもち、大戦争を引き起こすという。すなわち、南の王の地位を奪い、世界最大の領土を支配するため、ヨーロッパを率いてやってくるのである。その北の王はマゴグ生まれのゴグだが、南の王はアメリカを暗示する世界総統である。この南の王は、世界政府の総統として君臨し、多くの国々を支配する力を持つとある。
「この獣にはまた、大言と冒涜の言葉を吐く口が与えられ、四十二か月の間、活動する権威が与えられた。・・・(中略)・・・また、あらゆる種族、民族、言葉の違う民、国民を支配する権威が与えられた。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第13章5~7節)
実は、「新約聖書」で、ここから先の未来における預言として注目されるのが、「獣」である「滅びの子」が神殿に座る部分である。
「騙されてはいけません。なぜなら、まず、神に対する反逆が起こり、不法の者、つまり滅びの子が出現しなければならないからです。この者は、すべて神と呼ばれたり拝まれたりするものに反抗して、傲慢にふるまい、神殿に座り込み、自分こそは神であると宣言するのです」(新約聖書「テサロニケの信徒への手紙 二」第2章3~4節)
ここで、明確に世界を支配する「獣」が、エルサレムの神殿に入ることが示されており、南の王が世界政府の総統であることが明確になる。しかし、まだイスラエルには神殿が存在していない。
神殿とは「ソロモン神殿」を第1神殿とすれば、」バビロンに破壊された後に再建された「ヘデロ神殿」は第2神殿、ハルマゲドン(世界最終戦争)直前に再建される神殿を「第3神殿」と呼ぶ。これもまた3代目である。
この預言が正しいのなら、エルサレムの「嘆きの壁」の上に、イスラエルは神殿を再建することになる。現在、そこにイスラム教の第3聖地としてムハンマド(マホメット)の昇天を記念する「岩のドーム」が建っている。だから、イスラエルは、そのドームを破壊せねば神殿を建てることができない。破壊する者は世界総統の地位にいる者である。だから獣が聖なる場所に座り、自分を神と宣言するのだろう。「新約聖書」は、滅びの子が登場した後、この世界が終焉を迎えると預言している。それでも救いの道はあるのだろうか?
そこに救いの方法は記されてこその預言でなければならない。聖徳太子は救いの道を残しているのである。これから、いよいよ本命である「未来記」を紐解くことにする。