(14)聖徳太子の世界終末預言
「未然記」が20世紀末の世界情勢に対する預言を残していた。
「未然記」 壬戌(1922年)~辛丑(2021年)の世界編
「第五百歳の出来事 一」
「父祖の先、逆に於天際に積もり、子孫の今、逆に乎家亡を致す」
(預言内容→世界編)
これから先に起こる世界の出来事なので、まだ起きていないかもしれない。が、すでにその全長は始まっている。現在の世界情勢を分析し、預言された過去の歴史を当てはめれば、預言の示す方法は少なくとも見えてくる。ある意味、前提となる情報が明確な場合、その先に起こる出来事をほぼ正確に予測することができるからである。「未然記」はそのために書き残された。
現在、「国連」は力を失いつつある。1999年3月24日から89日間にわたって強行された「ユーゴスラビア空爆」は、コソボ問題を盾にアメリカが強硬姿勢を崩さず始めた戦争だった。実質はNATO軍が爆撃したが、国連の常任理事国である中国とロシアが猛反対しても、アメリカのごり押しで決行されてしまう。
2003年3月19日、アメリカは9・11テロに対する報復と、大量破壊兵器保有を盾に、イギリスと共に、自由作戦と命名する「イラク戦争」に突入した。国連安全保障理事会の席上で、フランス、ドイツ、ロシア、中国が強硬に反対したが、アメリカはそれを無視した。
もはや「国連」には世界や紛争を押さえる力がなく、国連事務総長も名誉職に過ぎず何の権力もない。激増する国際テロと紛争に備え、今より強力な権限と軍事力を背景にした新しい国際機関の設立が求められてくるだろう。それを「世界国家」、「世界政府」、「世界統一政府」という。
もしそれが樹立されると、「国際連盟」、「国際連合」に続く3代目の国際組織の誕生となる。
ところが、聖徳太子の預言によれば、1代、2代、3代と引く継がれたものは、3代目で天の道に逆らう行いをするとある。つまり、世界の逆賊となって、大きく道を外れるというのである。
企業でも世襲が3代続くと会社を潰すといい、大阪の船場でも、初代に厳しく育てられた2代目が、我が子には苦労させたくないと甘やかして店を潰すといわれてきた。それが当てはまるかどうかは別にして、「未然記」を読み解く限り、国連の次に設立される国際組織には、天からの助けと導きは与えられないようである。
結果、最後の有様は積もりに積もった罪業のため滅亡を呼び込んで大倒壊することになる。
21世紀を迎える直前、アメリカのフレッド・イクル元国防次官や、アメリカ政府高官たちがアピールし始めた「世界政府」だが、樹立されたら国際組織の3代目となる。
国連は、旧ソ連の崩壊後、アメリカ主導で動く飾り物と化している。実際アメリカは、国連がアメリカの言うことを聞かなくなると、多額の国連分担金を何年も未納にしたり、アメリカの邪魔だったガリ国連事務長を更迭する活動を露骨にしてきた。
それでも、どんな弱小国もアメリカと同じ1票の権利を持つため、最近の南米各国による反米勢力の結集は、アメリカにとって頭の痛い問題に発展してきた。こういう時のアメリカは非常に危険である。
そこでアメリカが考えたことは、より強力な軍事力を持つアメリカ主導の新たな国際機関の設立である。恐らくアメリカが目論むのは、弱小国の権利の縮小、あるいは排除である。より一段とアメリカ色が押し出された世界機構になることは間違いない。
一方、アメリカ軍の目的は、強力な武力による世界制覇とされる。つまり、アメリカ軍が世界政府軍に格上げされた時点で、世界政府に参加する他国の軍は、世界政府軍の名を借りたアメリカ軍の支配下になる。
イラク戦争に参戦したイギリス軍がよい例である。同時に世界政府の樹立は、政治、経済、軍事において、世界中がアメリカ化することを意味する。アメリカのやり方がすべての基本になるからである。すでに世界中のグローバルスタンダード化により、目的は半ば達成されている。
現在アメリカは、世界が反論できない「対テロ戦争」の美名の下で、イスラム圏への侵攻を繰り返している。アフガニスタン、イラクに続き、今度はイランが狙われている。これは日本の軍部が民族共和、八紘一宇の美名を盾に、富国強兵を計った時代背景と酷似する構図である。さらに言えば、日本の軍部が秦がアイラにした天皇を踏み台にして、日本を奪ったように、アメリカの世界政府を踏み台に世界を略奪する構図が浮かび上がてくる。だからこそ、聖徳太子は、現在のアメリカと世界政府の構造をを賊と呼び、神の目から見て敵と定めたと思われる。