Quantcast
Channel: 日本と世界の情報ブログ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1382

聖徳太子の「未来記」開封(7)

$
0
0

(7)『未然記』「初文」の紹介

 「未然記」上巻には、「序文」と「初文」が付いている。

 序文は「未然本記注序」とあり、本文の大体の骨子が記されているが、それはあくまで紹介文であり、聖徳太子の時代に書かれた文面ではない。享保13年(1728年)6月(旧暦)に、真道という人物が序文の解説を行ったと記されている。

 序文に「真道 書」とあるだけで、それが誰かは不明であるが、享保13年は徳川吉宗の時代である。初文には簡単な「未然傳注」が付いており、「未然記」をいつ頃、誰が誰に献上したかが記されている。それは、推古女帝の治世33年(625年)の春正月のことで、「未然記」を献上したのは聖徳太子の息子・山背大兄皇子とある。

 「初文一」

「天皇三十三年春正月山背大兄王自持一巻前献上」(未然記「未然傳注」第2章)

 「読み下し文」

「天皇三十三年春正月、山背大兄王は自ら一巻を持ち、前で以って献上給う」

 「現代語訳)

「推古33年(622年)春正月に、山背大兄王が天皇に献上した巻物である。」

 そして、この「未然記」が、今後1000年の間に起きる出来事を、未然に預言したものと宣言してある。

 「初文二」

「此紀千歳間當有事豫記故未然」(未然記「未然傳注」)

 「読み下し文」

「此の紀は千歳の間に當る有事を豫め記す 故に未然という」

 「豫」は今の漢字の「予(預)」であり、「未然」と同じ預言の意味を持つ。「未然傳注」は、冒頭から千年の預言書であることを宣言している。

 また、解説文が書かれている初文、「未然記」本文に記されている初文の各漢文を、章ごとに区切って解説を加えてあり、巻物だった「未然記」を写本するとともに、部分ごとに漢文を侍言葉に置き換えてある。

 よって、初文は本文のような、歴史的考察や解釈などはなく、原文のまま翻訳されたものが記載されているだけである。

 「未然記」は1000年間の預言が記されているという。

 それは622年に始まり、1000年間の国事に関する森羅万象の預言が、未然に書き残されることになる。

 だからと言って、622年から1621年までの1000年間だけの事件を記す預言書ではない。なぜなら、「未然記」の最終巻「第十百歳(第一千歳)の中に、「過去一千年の世の中を知り、未来に起こる一千年のことを知る」と記されているからである。

 「本文」

「我申世人 勿疑神境 其知往昔千生之世事 何不知未然千歳之世状」(未然記「第十百歳」第207章)

 「読み下し文」

「我れ世人に申す 神境を疑う勿れ 其の往昔に千生之世事を知りて 何ぞ未然千歳之世状を知るに不んや」

 「現代語訳」

「私は世の中の人々に言う。霊感があることを疑ってはならない。その昔、1000年の世の中の出来事を知りながら、何で未来に起こる1000年の出来事を知らないわけはない」

 これにより、「未然記」に1000年分の預言しかなくても、その先の預言をも、その中に含むことが判明する。さらに、「未然記」を「未来記」と共に解き明かす者は、未来の出来事を、さらに深く知ることができるとある。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1382

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>