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カッバーラでしか解けない「ヨハネの黙示録」(75)

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(75)「マゴグのゴグ」とは何か?

 福千年が終わる頃、サタンは一時解放される。同時に、千年間縛られていた人々も復活してくる。そして彼らは起死回生を狙って、もう一度戦いを挑んでくる。もはや彼らはサタンの甘言に乗るしか道がない。

 一度獣に従った人々は、こうして再び神の王国に反旗を翻し、王国そのものを破壊しようと自分の未来をかけた大戦争を引き起こす。

「海の砂のように多い」というのだから、福千年が訪れる直前まで獣に従い、この世的価値を手放せない人々が世界の大半を占めるという。言い換えれば、真に救われる人はわずかということである。

「ゴグとマゴグ」は、この世の悪の象徴であり、巨大な軍事力を持つ人間、あるいは国を示している。この名称は預言者エゼキエルも指摘しており、終末の日のハルマゲドンに関わる国とされている。

「人の子よ、マゴグの地のゴグ、すなわちメシュクとトバルの総首長に対して顔を向け、彼に預言して、言いなさい。主なる神はこう言われる。メシュクとトバルの総首長ゴグよ、私はお前に立ち向かう。わたしはお前を立ち帰らせ、お前の顎に鉤をかけて、お前とその全軍、馬と騎兵を連れ出す。」(旧約聖書「エゼキエル書」第38章2~4節)

 「マゴグの地」は、「ゴグ」の住む領域を指している。「ゴグ」は古代民族の「メシュク」と「トバル」の首長の名で、メシュクはモシ山脈の麓に住んでいた蛮族のことである。トバルについては、白人の祖ヤフェトの息子の名であり、モシ山脈の西に広がる黒海付近に住んだチベルーニ族の祖だと、19世紀のヘブライ人学者ウィルヘルム・ゲセニウスが記している。そして、「詳約聖書」には、ゴグは「ロシ」の民族の長だとあり、ゲセニウスによると、、ロシはトーラス山脈の北域を流れるボルガ川沿いに住んでいたという。このことから、マゴグのゴグは北方ロシアを表し、ハルメギドを目指してロシアの大軍が押し寄せてくると考えられる。

 当然、地の四方から獣が軍を集合させるので、中国軍も押し寄せてくる。こうして、何億もの軍隊がにらみ合う中、天から地に一撃が落とされる。

 エゼキエルの預言によると、終末の日にゴグが率いる国の中に、現在のイスラム圏諸国が幾つも含まれている。

「ペルシア、クシュ、プトが彼らと共におり、皆、盾を持ち兜をかぶっている。ゴメルとそのすべての軍隊、北の果てのべト・トガルマとそのすべての軍隊、それに多くの国民がお前と共にいる。備えをせよ。お前も、お前の元に招集させる全ての集団も備えをせよ。」(旧約聖書「エゼキエル書」第38章5~7節)

 「ペルシア」は現在のイランで、イスラム原理主義の国である。「クシュ」はエチオピアで、キリスト教徒とイスラム教徒が混在している。「プト」とはリビアで、カダフィ大佐で知られるように、元はイスラエルのテロリスト国家だった。「ゴメル」は現在の東ヨーロッパ一帯に住んでいたレジニア人の古い呼び名で、旧ワルシャワ条約国のことを指している。「ベト・トガルマ」は、ゴメルから派生した民族で、アルメニアから南ロシア一帯に住んでいた。騎馬民族で知られるコサックも、トガルマに含まれる。

 このことから、EU崩壊の後、ロシアは再び旧ワルシャワ条約国を取り返し、イスラム諸国と連合しながら、世界総統を打破するため立ち上がることが読み取れる。それに中国も加担するのである。

 これは福千年に先立つハルマゲドンの有様だが、同じことが福千年後にも起きる。彼らも一斉に復活してくるからである。

「すると、天から火が下って来て、彼らを焼き尽くした。そして彼らを惑わした悪魔は、火と硫黄の池に投げ込まれた。そこにはあの獣と偽預言者がいる。そして、この者共は昼も夜も世々限りなく責めさいなまれる。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第20章9~10節)

 この箇所も、福千年前のハルマゲドンとダブらせている。

*(飛鳥氏の視点)

 「末の世」と「福の世」とは何か? 「末の世」とは、最後を迎える世界、あるいは終末を言う。聖書学的には、7日目の安息日の直前、アダムがエデンの園から追放された、およそ紀元前4000年から数える6日目のことで、21世紀に突入した現在、すでに6日目の最後も最後、真の終末の世になっている。神の1日が1000年なので、6000年目の終わる現在、いつ最終戦争が始まってもおかしくない。

 一方、「福の世」とは、「至福年」「福千年」とも言い、7日目に当たる安息日のことだ。この世の6000年が終了した後、正しく使命を終えた人々が聖日を過ごす千年紀を言う。老いたる者は永遠の若さを得、死に別れた者は相応しければ再会を果たす。この世的だった者は、福千年が終わるまで霊界で復活を待つしかない。

 「世界政府」、「世界総統」と「サタン」の関係は何か? 「世界政府」は近未来における正式な名称ではないかもしれないが、少なくともアメリカが「第1次世界大戦」の頃から使い始めた名称のため、この名が使われる可能性がある。

 アメリカの政治学者ジョン・W・バージェスは、「世界国家論」を政治論の中核として掲げ、その前段階として「国民国家」の完成を優先すべきとして、段階を経て、世界が「超国家」となる世界政府の元に集結すると唱えた。

 そのトップたる世界総統は今の国連事務総長のような力無き存在ではなく、すべての権限を握って世界を意のままに動かす。最初は権力の集中を防ぐシステムもあるのだろうが、ヒトラーが暴走して独裁者になったように、その男も同じ道をたどることになる。

「蛇」と「竜」について、同じ意味に解釈される傾向がある。蛇は現実に存在する生物だが、竜は架空の生物である。勿論、象徴にはモデルとなる現実の生物がいて、恐らく竜のモデルは恐竜である。それも肉食恐竜である。肉食恐竜は悪魔の象徴に相応しく、「レビヤタン」という竜で示される。

「神は言われた。「生き物が水の中に群がれ、鳥は地の上、天の大空の、面を飛べ。」神は水に群がる者、すなわち大きな怪物、うごめく生き物をそれぞれに、また、翼のある鳥をそれぞれに創造された。神はこれを見て、良しとされた。」(旧約聖書「創世記」第1章20~21節)

 ここにある「怪物」とは魚竜や海竜に分類される太古の生物で、この後、恐竜を含む陸上生物が創造される。竜で興味深いのは、西洋では悪魔だが、東洋では守り神とされていることである。これは蛇を二極対峙させる聖書の構造が生み出した産物と思われる。なぜなら、聖書は、知識の木(死の木)に巻き付く蛇をサタンとし、命の木に巻き付く蛇を救世主イエス・キリストとしているからである。

「主なる神は人に命じて言われた。「園の全ての木からとって食べなさい。ただし、善悪の知識の木からは決して食べてはならない。食べると必ず死んでしまう」(旧約聖書「創世記」第2章16~17節)

「主なる神は女に向かって言われた。「何ということをしたのか」 女は答えた。「蛇が騙したので、食べてしまいました」 主なる神は、蛇に向って言われた。「このようなことをしたお前は あらゆる家畜、あらゆるの野獣の中で 呪われるものとなった。お前は生涯はい回り、塵を食らう」(旧約聖書「創世記」第3章13~14節)

「主はモーセに言われた。「あなたは炎の蛇を造り、旗竿に掲げよ。蛇に噛まれた者がそれを見上げれば。命を得る。」モーセは青銅で一つの蛇を造り、旗竿の抱きに掲げた。」(旧約聖書「民数記」第21章8~9節)

東洋では命を与える良い蛇を神の遣いとして崇め、竜や巳として親しんだが、「旧約聖書」が影響したとも考えられる。


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