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カッバーラでしか解けない「ヨハネの黙示録」(49)

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(49)「第五のラッパ」

 ヨハネは、第5の天使がラッパを吹くと、1つの星が地上に落下し、それをきっかけにして、地の底の深い淵に大きな穴が開くと預言している。

「第五の天使がラッパを吹いた。すると、一つの星が天から地上へ落ちてくるのが見えた。この星に底なしの淵に通じる穴を開く鍵が与えられ、それが底なしの穴を開くと、大きなかまどから出るような煙が穴から立ち上がり、太陽も空も穴からの煙のために暗くなった。そして、煙の中から、イナゴの群れが地上へ出てきた。このイナゴには、地に住むサソリが持っているような力が与えられた。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第9章1~3節)

 ヨハネは、深い穴から真っ黒な煙が出て、太陽と月の姿を隠すとしている。火山活動で暗くなっている地球が、さらなる暗黒に包まれるというのだ。恐らくこれはただの闇ではない。案の定、煙の中から無数のイナゴのような生き物が出てきて、サソリの毒で人に襲い掛かるという。比喩とは分かっているが、やはり気味が悪い。

 地に落ちた星とはルシフェルのことであり、天界から落下したことを象徴する。前世で、生命の樹の熾天使と言う高見まで到達したルシフェルは、そこで高慢に陥り、足を滑らせて落下する。高い分だけ落ち方もひどく、逆向きに伸びる「死の樹」の底まで到達した。

 聖書学的では、天界の大戦争で、天使の3分の2が大天使ミカエルと一緒にルシフェルと闘って勝利したとしている。その天使たちはヤハウェと同じように天の父の後継者として、神と同じ不死不滅の復活体を得なければならない。復活するには、死ぬべき骨肉を得る必要があるわけである。そのためにアダムとエバの堕落が必要だった。

 つまり、アダムとエバの行いを現在とする教義は、カッバーラを知らない者の発想で、根本からして間違っている。カッバーラの解釈では、アダムの現在は神が与えた最初の戒めを守った結果生じたとしている。だからアダムとエバに責任はない。どういうことか説明する。

「神は彼らを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、地に満ちて地に従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物をすべて支配せよ。」(旧約聖書「創世記」第1章28節)

 アダムとエバに与えられた最初の戒めは「産めよ、増えよ」だった。これが優先順位1位の戒めで、エデンの園にある「禁断の木の実」を取って食べてはならないというのは、それに次ぐ戒めだった。

「主なる神は人に命じて言われた。「園の全ての樹からとって食べなさい。ただし、善悪の知識の樹からは、決して食べてはならない。食べると必ず死んでしまう」(旧約聖書「創世記」第2章16~17節)

 エバはサタンに騙された。アダムが最優先すべき戒めを守ってエバと共に子を成すには、第2位の戒めを破って禁断の木の実を食べるしかなかったのである。

 だから、ヨーロッパの教会が唱える「性悪説」は根拠をなくす。赤ん坊に悪人は一人も存在しない。人が悪に染まるのは、後の生活環境や教育の有無、成長段階で身に着けていく性癖による結果なのだ。勿論、日本のように極端な「性善説」にも問題がある。日本の性善説は、危機管理を考えない怠惰の表れであり、責任の所在をうやむやにしておく方便に堕落しているからだ。

 アダムとエバの堕落の結果、霊の天使たちが地上に送られる道が敷かれ、受肉した後、人として様々な試練を受けて成長する機会が与えられた。その結果、人は地上で罪を犯すことになる。そのままでは誰一人として救われない状況が生じたのだ。

「世は人をつまずかせるから不幸だ。つまずきは避けられない。」(新約聖書「マタイによる福音書」第18章7節)

 これはイエス・キリストの言葉である。イエスは、人がこの世で罪を犯すのは避けられないと認めており、だからこそすべての人がサタンの穴に落ちて獄に繋がれてしまうことを懸念した。そこで人に悔い改めの機会を与え、バプテスマを受けることで、死と獄の鎖を断ち切る道が開かれた。それがイエスをキリスト(救世主)と呼ぶ所以になっている。

 それでは、ヨハネが預言する「太陽も空も穴からの煙のために暗くなった」とは、どういう闇なのか?

 陰陽、天地、雌雄、左右、強弱、善悪、白黒、上下、明暗、主従、プラス・マイナス、大小、寒暖・・・この世には必ず反対のものが存在する。だから、宇宙を満たすプラズマに、光を放つプラズマと同様に、吸収するプラズマが存在してもおかしくはない。実際、光を吸収するプラズマも存在し、これは「ブラック・プラズマ(暗黒プラズマ)」と呼ばれている。

 1763年8月19日、イギリスのロンドンで、世界市場で最大級の暗闇が襲った。真夏の光が射す中、深い闇がロンドン中を襲いつくしたのである。その間、人々の呼吸には影響がなかったから、これはスモッグではないことは明らかだった。突然の暗闇の正体は今も謎のままである。

 1880年4月2日には、アメリカのミネソタ州のアイトキンという町が、光を全く通さない暗黒に襲われている。この闇の原因も未だに特定されていない。

 1884年4月26日、イギリスのプレストンが、真昼にもかかわらず暗黒のカーテンに覆われ、新聞各社がその様子を報道した。プレストンの人々は手探りで壁や塀を伝いながら歩き、犬や猫は不安から硬直してからだうぃ動かせなかったという。

 1886年3月19日、アメリカのウイスコンシン州オシュコシュが、地面を這うように西の方向から移動してきた真っ黒な雲に襲われた。その闇はわずか5分ほどで終わり、消え方も突然だった。

 1904年12月2日の午前10時過ぎ、アメリカのテネシー州メンフィスが、突然の暗黒減少に襲われた。闇が支配した時間は15分ほどだった。

 1996年、ロシアの西出得体のしれない暗黒の雲が現れ、移動していることが報じられた。チェルノブイリ原発事故の再来と恐れられたが、いつの間にか暗黒の雲は消滅した。

 北極上空で乱舞するオーロラはプラズマ現象である。両極地方は磁力線が潜り込み、吹き出す領域なのだ。「底なしの淵に通じる穴」を両極に口開く磁力線の穴と解釈すれば、そこから暗黒プラズマが噴出するのは、理屈の上ではあり得る。


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