(45)「第一のラッパ」
ここから先は、カッバーラの仕掛けがさらに巧妙になるから、カッバーラの合鍵が無いと、正確な解読と解明は不可能である。
第7の封印は「7」と言う聖数に支配される。それだけに、他の封印とは比べ物にならない複合的な世界観をも読み解かなければならない。
実は、この箇所は一種の「両義預言」になっている。両義預言とは、一つの記述が、複合する別の時代の意味を含み、互いに絡み合いながら未来と過去を同時に表す高等預言のことである。
ちなみに、この両義預言の名手とされたのが、旧約時代の預言者イザヤである。「イザヤ書」は近未来に起きる出来事と、末の日に起きる出来事を重ね合わせて描いているため、その難解さは黙示録に勝るとも劣らない。
第7の封印が両義預言になっているということは、時の束縛を受けない。だから、ややこしいのである。
黙示録は、7人の天使が順にラッパを吹き鳴らし、その度に地上で恐ろしい出来事が起きるとしている。ノアの大洪水以降、人類が一度も体験したことのない、地球規模な大災害の預言である。注目すべきは「七つのラッパ」が第7期に入って初めて登場する点である。
「さて、七つのラッパを持っている七人の天使たちが、ラッパを吹く用意をした。第一の天使がラッパを吹いた。すると、血の混じった雹と火が生じ、地上に投げ入れられた。地上の三分の一が焼け、木々の三分の一が焼け、全ての青草も焼けてしまった。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第8章6~7節)
「第一の天使」のラッパで、真っ赤な血に染まった雹が、炎を伴いながら地球に降り注ぎ、地上の3分の1が焦土と化すとある。理解を超えるような記述だが、ジャングルを含む世界の緑地の3分の1が消滅してしまうことは確からしい。
「ラッパ」は「神の言葉」の象徴だが、同時に「轟音」を意味する実際の音でもある。
何の原因もなく、大陸や島々の3分の1を焼き尽くす炎や、真っ赤な雹が天から降り注ぐわけがない。これは明らかに別の天体が関与する大異変を表している。だから、半時間を経て「第六の封印」と直結する。
「上では、天に不思議な業を、下では、地に徴を示そう。血と火と立ち込める煙が、それだ。」(新約聖書「使徒言行録」第2章19節)
これは天空に展開する大異変の様相である。空一杯に広がった灼熱天体が、地球に衝突せんばかりに大接近しているのだ。誕生したばかりの灼熱天体は、真っ赤な尾を引いている。学者たちはそれを見て、「新しい惑星が誕生した」、あるいは「巨大彗星が誕生した」と言い合うことになる。
その天体は、わずか1週間ほどで地球にやって来る。これも「7000年=7日」のゲマトリアになっている。7日目に突入する寸前、その徴が地球にやってくるのだ。
ノストラダムスは、その様子を四行詩で書き残していた。
「巨大な星が七日の間にやって来る 雲を通して太陽が二つに見えるだろう 大司教がその住まいを移す時 大きなマスチフ犬は夜通し吼える」(「諸世紀」第2章41節)
第6の封印が解かれた直後、2つの大きな光が目に入る。1つは太陽、もう1つは地球にやって来る新しい星である。その新しい星は7日という短期間でやって来るというのだから、太陽系内で誕生した天体であるはずである。木星の大赤斑から噴出する灼熱惑星である。
その影響で異変が起き始めた地球では、バチカンに住む法皇が、慌てて逃げ出している。なぜなら、マスチフ犬の故郷とされる中国から、無数の軍隊が夜を徹して行軍してくるからだ。法皇が移す住まい先は、人類最終戦争(ハルマゲドン)の地になるエルサレムである。
黙示録に「地上の三分の一が焼け、木々の三分の一が焼け、全ての青草も焼けてしまった」とあるのは、新しい天体の大接近で地球に放たれる炎に象徴される超高熱プラズマのことだろう。2つの天体が接近すると、潮汐力以外にも天体規模の巨大なスパーク現象が起きる。それが超高熱プラズマであり、とてつもない規模の雷と思えばいい。それが地球上を超高熱の舌でなめ尽くすのだ。
それと同時に、地球は凄まじい気象異変に見舞われ、巨大な雹が世界中に降り注ぎ、真っ赤な塵(酸化鉄)もまき散らされる。それが血の色に染まる雹の正体である。
森林は巨大な炎に包まれ、消えることなく拡大していくだろう。到底消せる規模ではないということだ。穀物を育てる畑も消え失せ、地球は一気に死の淵めがけて突進していく。
両義預言だから、第1のラッパは第1期である天地創造の前に起きたことも示唆していると考えられる。「血のまじった雹と火とが生じ、地上に投げ入れられた」は、血で象徴される罪の権化のルシフェルが、地上に投げ落とされた有様を示している。
「ああ、お前は天から落ちた 明けの明星、曙の子よ。お前は地に投げ落とされた もろもろの国を倒した者よ。かって、お前は心に思った。「私は天に上り 王座を神の星よりも高く据え 神々の集う北の果ての山に座し 雲の頂に登って いと高き者のようになろう」と。しかし、お前は陰府に落とされた 墓穴の底に。」(旧約聖書「イザヤ書」第14章12~15節)
追放されたのはルシフェルだけではない。彼に従った天使たちも神界から追放され、一緒に投げ落とされた。その数はすべて霊の3分の1とされている。それが黙示録には「地上の三分の一が焼け、木々の三分の一が焼け」という比喩で示されている。「地上が焼け」と「木々が焼け」は同じ意味なので、トータルで3分の2ということにはならない。サタンによって滅びた天使(霊)の数が全体の3分の1ということを、それによって強調しているのだ。
「一方、自分の領分を守らないで、その住まいを見捨ててしまった天使たちを、大いなる日の裁きのために、永遠の鎖で縛り、暗闇の中に閉じ込められました。」(新約聖書「ユダの手紙」第1章6節)