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カッバーラでしか解けない「ヨハネの黙示録」(23)

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(23)「7つの封印の巻物」の謎

 ヨハネは玉座に座る神を「ユダ族から出たライオン」「ダビデのひこばえ」と記している。

 神とはヤハウェが受胎したイエス・キリストのことで、「7つの封印」の巻物を持つとある。

 問題は、その封印の中身である。多くの研究者がその謎解きに挑戦したが、カッバーラを用いた者は皆無に等しい。

「見よ。ユダ族から出た獅子、ダビデのひこばえが勝利を得たので、7つの封印を開いて、その巻物を開くことができる。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第5章5節)

 「ひこばえ」は比古婆衣と書き、古代の精度、歴史、言語、故事などを書き記した書物の意味がある。つまり、この一文はダビデの末裔のイエス・キリストが実際のイスラエルの王であるとともに、ひこばえの主、つまり旧約聖書と新約聖書の王であることを示唆している。

 12支族にはそれぞれに紋章がある。紋章は日本の家紋に相当する。

「ユダ族は獅子の子、私の子よ、あなたは獲物をとって上がって来る。彼は雄獅子のようにうずくまり、雄獅子のように身を伏せる。」(旧約聖書「創世記」第49章9節)

 ユダの紋章はライオンで、ガド族の紋章は宿営テント、ルベンはマンダラケ、シメオンは剣と盾、ゼブルンは船、イッサカルはロバ、ダンはマムシ、アシェルはオリーブの木、ナフタリは雌鹿、ヨセフ(マナセとエフライム)は野牛、ベンヤミンは狼、レビは胸当てである。それらの詳細は旧約聖書の「創世記」49章や「申命記」33章などに記されている。

 この中でマンダラケは、曼荼羅華と書き、熱帯アジア原産の一年草だ。1805年、日本人の華岡青洲が乳がんの手術を行った際、世界初の全身麻酔が行われた。その麻酔に使用されたのが、マンダラケだった。別名を朝鮮朝顔といい、中世ヨーロッパでは錬金術の材料として知られ、毒性が強いことから魔術にも用いられたという。パレスチナ地方では恋なすびと呼ばれている。

「小麦の刈り入れの頃、ルベンは野原で恋なすびを見つけ、母レアのところへ持ってきた。」(旧約聖書「創世記」第30章14節)

黙示録の難題中の難題が「7つの封印」の巻物の項である。たしかに、イエス・キリスト(小羊)が「7つの角」と「7つの目」を持っていると記されているのだから面食らう。

「小羊には7つの角と7つの目があった。この7つの目は全地に遣わされている神の7つの霊である。」(新約聖書「ヨハネの黙示録」第5章6節)

 7つの目が神の7つの霊とあるが、たとえ比喩でも異様な表現である。

 重要なのは神の7つの霊が7つの封印に続いて記されている点で、巻物を区切る7つの封印の一つ一つが、神の目で管理されていることを示している。

 だから、イエス・キリストの目と霊が7つあるわけではない。

 カッバーラで解釈すると、神の7つの目と7つの霊は、一人の神が7つの時代を見ていることを意味しているのだ。

 カッバーラでは、7つの時代は聖数「7」の世界観、すなわち天地創造の7日間と直結する。

「モーセはイスラエルの人々の共同体全体を集めて言った。「これは主が行うように、命じられた言葉である。6日の間は仕事をすることができるが、第7日はあなたたちにとって聖なる日であり、主の最も厳かな安息日である。」(旧約聖書「出エジプト記」第35章1~2節)

 1週間(7日)という単位はこれに由来し、「月、火、水、木、金、土、日」の元になっている

 欧米では日曜から週が始まるが、これはイエス・キリストの復活した日が日曜だったからで、新約聖書の影響である。

 1週間は天地創造の7日間と対応するが、もう一つ、7000年という大きなスパンとも対応する。

「主の元では1日は千年のようで、千年は1日のようです。」(新約聖書「ペテロの手紙 二」第3章8節)

 天地創造を行った神の1日は、人の世界の1000年に該当する。

 同じ内容はダビデが著した「詩編」にもある。

「千年と言えども御目には 昨日が今日へと移る夜の一時に過ぎません。」(旧約聖書「詩編」第90章4節)

 ここにも黙示録が用いた「神の目(御目)」が登場する。

 1日が神の1つ目であれば、7日は7つ目ということで、これが黙示録の7つの時(7000年)を管理する神の目、つまり神の霊があったという意味である。


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