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「竹内文書」の真相(4)

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(4)権現仙人現る

 権現仙人が残したのは予言だけではない。実は、数々の不思議な言葉を残している。

 地球安全祈願塔を立てた高橋芳太郎は、実際に権現仙人と会って会話を交わし、その内容を当時、記録に残している。

 高橋氏は、すでに故人となられているが、親族の方に話を聞くことができたという。あれは、1910年、すなわち明治43年3月18日、ちょうど春のお彼岸の頃だったという。

 増田の山間にあった高橋家に、一人の修行僧が現れた。芳太郎氏にとって祖父に当たる当主、謙作氏が白米をお布施すると、気心が通じたのか、金剛杖を手にした黒衣の托鉢姿の山伏は、お礼の言葉と共に、こう話しかけてきた。

「私は明治維新の時、徳川幕府軍に属し、益田で薩長軍との戦いに敗れた。増田の谷上から乙子村に出て都茂街道を権現山の籠立まで来たが、疲労と空腹で昏睡していると、一人の白髪老人が現れ、「私は権現山の主であるが、この水を飲め」と申され、飲むと急に眠気が覚めて元気になった。続けて都茂街道を歩き、途中芦谷から波田村に出て匹見村を通り、広島の寺町に逃げ隠れ、お寺で坊主になり、益田の戦いで戦死した人の霊を供養中に中国山脈の比婆山に立ち籠り、石の上で3年余り座禅をし仙人生活をした結果、霊感を授かり将来のことを予言できるようになったので、乙子の権現山の神様にお礼参りに行く途中である」

 続けて修行僧は謙作氏に、かっての戦争のことを尋ねたらしい。歴史的に、この戦争は第2次長州征伐における「益田口戦争」、あるいは「石州口の戦い」のことで、戦闘は1866年6月に起こった。修行僧と同様、謙作氏もまた、幕府側に協力したことがあり、このことで二人は意気投合する。

 せっかくなので、お昼をご一緒にと言うことになり、高橋家の人々は修行僧を囲んで、いろいろな話を聞いたという。そこには、当時11歳だった孫の芳太郎氏もいた。

 後に権現仙人と呼ばれる修行僧は人を見抜く力があったのだろう。芳太郎氏に向かって、こう述べた。

「お前は坊主になって先祖の霊を供養せよ」

 突然なことに、面食らった少年は、自分は頭がよくないので、長いお経を覚えることができないので無理です。お坊さんにはなれませんと答えたらしいが、権現仙人は譲らない。押し問答の末、僧侶になるかどうかは別にして、一つこれだけは必ず成し遂げよと命じたのが予言の伝承であった。

「私の言うことを後の世に伝言することのできる者は、お前しかいない」

と念を押すと、権現仙人は5つの秘伝を語った。記憶をもとに書かれた芳太郎氏の手記には、こうある。

「①文字のない時代のことは信じられないという人がいるが、文字のない時代には伝人がいて、一度聞いたことは絶対忘れることなく、次の世代に伝える人が次から次へと生まれて神秘的な記憶力の持ち主がたくさんいる。文字ができても、その人の考え方や立場から、良きにつけ悪しきにつけ書き残して伝えられている。日本の神代のことも大和民族のことも根源があってのことであるから、ただ神話として聞き捨ててはならない。

②お釈迦さまやキリストは、日本に神や仏の道を布教のために来日されている。キリストのお墓は青森県か岩手県に、確かに実在している。また、お釈迦様のお母様は神戸の摩耶山に祭られている。

③死んだら必ず霊はあるものとして、生きている間に善を積んでおけ。そうすれば死んで仏の道に行けるが、霊はないものとして善を行わず死ぬと、地獄へ行き、取り返しのつかないことになるから、死んでも霊はあるものとして常に善を積むように心がけておくことである。

④狐や狸は、昔は人間以上の知恵があるものがいて人に災いをしたが、文明は狐や狸の最も怖い音と光を出すから、知恵のあるものは生まれなくなっている。

⑤戦争よりもっと恐ろしいのは今から約100年後に天災と人災により地球上に大変動が発生し、約3年間にわたり地球が冷化、大地震・大津波・大暴風雨等悪天候が続き、害虫類が多発し、人類が目潰する時期が来る。

 この時期に人類の滅亡を防ぐにはただ一つ、それは天の神仏に地球の安全を今日から祈願することである。その方法は、全世界の人が人種・思想・宗教の別なく男も女も老いも若きも一致団結して地球の安全を祈願することである。

 また一方では、この地球の変動に打ち克つために強健なる体力と健全なる精神を持つ子孫を後世に残さなければならない。これがためには、男は完全なる子種を女に授け、女は妊娠したら胎教、すなわち子袋の中に子供がいる間に神仏を信心し修養、良き子を産み育て、子孫の繁栄を常に心掛けなければならない。

 文明は進歩するが、一方では地球を破壊し人体を毒化しつつあるから、これに抵抗できるよう、常に粗末な衣食住に慣れ、強健な体力と健全なる精神力を養い置くことを忘れてはならない。

 天災や人災で地球上に大変動が発生したら、都会の人は大半滅亡し、田舎の山間部の人は辛うじて生き残ることができるが、食料に不足し飢餓死するから、これを防ぐためには、今のうちから自然食の保存に留意していかねばならない」

 東日本大震災として現実となった予言は、この手記がもとになっている。ただ、読んでお分かりのように、未来預言は5つの極秘伝のうちの一つに過ぎない。要約すれば①古代の歴史を伝える超能力者の存在、②釈迦とキリストの来日、③霊界の存在、④狐狗狸霊、⑤終末予言と警告である。予言の能力を持った権現仙人ゆえ、そこに歴史の裏にある真実ともいうべき内容が含まれている。


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