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どうしても伝えたい日本の真相(56)

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(56)人類を引きずり込む未来戦争、ドローン・ウォーズ

 船瀬氏は、これら無人兵器の現状を取材して驚嘆したという。

 軍事技術は、これまで、広く、深く、変貌を遂げている。そして、世界の市民たちは、全く、その現実に気づいていない。それでは、これら多種多様なドローン兵器を作っているのは誰だ?

 いうまでもなく軍事産業だ。では、誰が買い上げているのか?

 各国政府だ。では、その金は誰が出しているのか?

 そう、我々である。血税として召し上げられている税金が、このような奇妙な奇天烈な兵器群に変貌しているのだ。

 あなたは、このような珍妙なドローン兵器の数々の存在を初めて知ったはずだ。世界のメディアが、その存在に、一切触れてこなかったからだ。彼らは、これら新型兵器ドローンに関する最新情報の流出を許さない。だから、かろうじて一部、兵器マニアたちがオタクとして、これら情報を収集してきたにすぎない。

 しかし、納税者であり、主権者である我々は、国家が、政府が、これからどのような方向に向かっていくのか、監視する権利と義務がある。

 世界を支配する巨大な悪意は人類を知らず知らずのうちに悲劇の未来へと導いているのだ。ドローン・ウォーズを知ることは、未来の危機を知ることだ。

 我々の未来は、決して人任せにしてはならない。かって、いくたびも過ちと悲劇は繰り返されてきた。もう同じ轍を踏んではならない。近未来に起こされようとしているドローン・ウォーズの現実を直視しなければならない。そして、あらゆる場面で市民として、反対の声をあげなければならない。

 ドローン兵器の元祖がブレデターである。英語名は捕食者であり、敵を餌食にするという意味だ。

 この原形は、1970年代にイスラエルで開発された。最初の目的は偵察だ。敵情偵察は、それまで有人の偵察機が行っていた。しかし、敵に襲撃される危険が常に伴う。実際、冷戦時代にはアメリカの偵察機U2型機が旧ソ連のミサイルに襲撃され、大きな国際問題となった。

 無人機ドローンを導入する理由として、軍事専門家は3Dを挙げる。それは、危険(デンジャー)、単調(ダル)、汚い(ダーティ)である。偵察機は24時間、敵の上空で敵情を監視する必要がある。人間の搭乗員には、耐えられない。さらに、相手国の領空を侵犯して行うダーティ任務なのだ。有人では困難な3Dの任務も無人ドローンなら難なくこなせる。

 このドローン兵器の3大メリットに、今や世界の軍事産業が熱い視線を注いでいる。先に注目されたのが無人偵察機ブレデターである。全長約8メートル、翼幅約15m、高さ約2メートル。小型プロペラ機のセスナとほぼ同サイズだ。鼻先が不格好に膨らんでいるのは、超高性能レーダーや監視カメラなどを搭載しているためだ。自重約500kgと軽く、低出力エンジンで飛行する。だからエンジン音も小さい。さらに、無人機のメリットは俊敏な方向転換ができることだ。有人機のパイロットは加速度G)に耐え切れない。しかし、ドローンなら一瞬の飛行変化も可能だ。航続距離は3000㎞以上。最大高度約7600m。滞空時間は40時間。その間、ゆっくりと高空を旋回して敵の動向を監視し続ける。

 ブレデターはボスニア紛争で実戦配備され、その超高性能を余すことなく実証した。色めきだった米軍の陸・海・空の三軍が、まさに三つ巴の争奪戦を始めた。この無人機は、やがて急速に凶悪に進化していく。軍部が望んだのは、この無人機に殺傷兵器を搭載することだった。それは、無人偵察機をリモコン式殺人マシンに改造することだ。こうして、ミサイル「ヘルファイア」を搭載した「ワイルド・プレデター」が登場した。 それは9・11直前には、地上のスイカを粉砕するほど精度の高い攻撃性能を実証していた。ではどこから操縦するのか?

 当初、ドイツ国内に駐留する米軍基地から操縦する計画だった。しかし、ドイツ政府は「地位協定違反」と拒絶する。そのため、米軍は次の計画にシフトとした。

「ならば、地球の裏側から撃て」

 つまり、米本土のCIA本部から操縦する。そして超遠隔の無人攻撃システムが完成した。無人機オペレーターは地球の裏側から、プレデターのカメラが捉えた風景をモニター画面で見ながら操縦し、地上のテロリストを発見すると、迷わずミサイル発射ボタンを押す。白黒画面に爆煙が立ち敵は粉々に吹き飛ぶ。

 地球の裏側から戦争をする。こうして戦争のスタイルが根底から変わってしまった。

「テレビ・ゲームと同じじゃないか」

 誰もが、そう叫ぶだろう。その通り。しかし、戦地ではミサイル攻撃で死体の山が築かれているのだ。こうして無慈悲なドローン・ウォーズは幕を開けた。


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