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どうしても伝えたい日本の真相(50)

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(50)体制を奪う「冷ストレス」がマウスを殺した!

 なぜ、巣箱の建材一つで、これほどまでに死亡率に大差がついたのか? 

「それは、直接、体から熱が奪われるからです」

 明快に指摘するのは有馬孝禮教授(東大大学院・農学生命科学研究科。当時)

「生活環境には、ある温度が極めて重要です。体熱を奪われる。それが巣箱の材質と結びついています」

 有馬教授によれば、この実験で子供マウスを指で摑まえると、コンクリート、金属巣箱のネズミは、「明らかに冷たく、ベトッとしている」。

 そして、B:金属巣箱の鉄板は0・4ミリ、C:コンクリート巣箱の厚さは3センチ。そのため、コンクリートの方が多くのマウスの体熱を奪ったのだ。

 こうして、冷たいコンクリートによる「冷ストレス」で、9割以上の子マウスたちは、わずか20日余りでバタバタと死んでいった。

 ここでコンクリート建材の致命的欠陥が、明らかとなった。

 それは、体熱を奪う「冷ストレス」だ。コンクリート・ストレスの熱伝導率が木材より、はるかに高いために起こる現象だ。これがコンクリート・ストレスの正体だった。

 それは、母親マウスの授乳にも影響している。普通、母親マウスは、子供に乳をやるときは、ゆったり腹ばいになって飲ませる。しかし、コンクリートの床は、いくら木屑を敷いているとはいえ、冷たい。そこに腹ばいになれば、母マウスも腹から体熱を奪われる。そのため、授乳時間は短くなる→子供マウスは栄養失調に陥る。

 それを証明するのが、生き残ったマウスの体重変化の比較だ。コンクリート巣箱のマウス体重は、木の巣箱の3分の2しかない。明らかに成長不良だ。

 それは、各臓器の発達にも言えた。コンクリート巣箱の子マウスは、木製巣箱に比べて、精巣4分の3、卵巣5分の3、子宮は2分の1と未熟だった。

 この冷ストレスの差は、マウスの行動にも影響している。

 体温測定のためつまんでも、木製巣箱のマウスは、「おとなしい」。金属、コンクリートでは「暴れる」。

 「体熱が奪われる」というストレス下で、マウスはパニックを起こしたのだ。

 さらに、コンクリート巣箱のマウスの腎臓に、癌の一種「水腫」が見られた。

「これも、冷えるストレスが原因でしょう」(有馬教授)

冷ストレスは免疫機能を弱らせる。そうして癌などを発症させる。

 これが、コンクリート住宅で、早死にするメカニズムなのだ。

 さらに、コンクリート巣箱の実験で、研究者たちを驚愕させたショッキングな現象がある。

 それは、名古屋大学が行った追試で観測された。

 母親ネズミが子供に哺乳しない。それどころか、子供をかみ殺して食べたのだ。これは、母性本能がコンクリート・ストレスで破壊されたために起こった惨劇だ。

 狂ったのは、母マウスだけではない。父マウスも狂気に走った。

 静岡大、名古屋大、いずれもの実験でも、父親の役割は母親に妊娠させて終わる。

 そこで、父マウスを集めて、同じ種類の木製、金属、コンクリートの巣箱で共同生活させた。すると、金属・コンクリート巣箱で異変が起こった。父マウスたちは、他の雄マウスに牙をむいて、襲いかかったのだ。こうして、激しい喧嘩、乱闘を繰り返した。しかし、木製巣箱だけは例外だった。

「父マウスたちは、おっとりと過ごしていた」

 ここに体熱を奪うコンクリート・ストレスの底知れぬ恐ろしさがある。すぐに連想するのは、全国で多発する原因不明の家庭内暴力だ。そして、親殺し、子殺しの惨劇。それも、住人の体熱を奪うコンクリート・ストレスが大きな引き金であることなど、誰一人、想像すらできないはずだ。

 しかし、心の凍る悲劇は相次いでいる。その1例が、大阪で発生した親殺し事件であろう。

 家族が住んでいたのは、奇しくも安藤忠雄氏設計のコンクリート打ちっぱなし住宅であった。息子は大阪大学に入学した学生だったが、大学にはいかず怠惰な生活を送っていた。たまりかねた母親が食堂で愚痴をこぼし、詰った。すると、息子は激昂し、その場で母親を殴り殺した。

 安藤氏は、彼が設計するコンクリート住宅への不評に対して、「住むことは格闘や!」と平然と突っぱねていた。しかし、ついにコンクリート・ストレスで、家庭内の格闘の惨劇が起こってしまったのだ。


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