(47)EVを叩き潰した真犯人は、ロックフェラー財閥である!
ここで、「誰が電気自動車を殺したのか?」---その犯人像が見えてきたはずである。
そう、地球を支配する闇の勢力・ロックフェラー財閥である。
別名、石油王。その彼らが、自動車輸送用の石油消費量を3分の1に激減させるEVの登場と存在を許すわけがない。日産、マツダ、ホンダ、トヨタなどの逡巡、躊躇の根底にも、ロックフェラー財閥への恐怖がある。
メディアや経済界がIZAを黙殺した理由も同じだ。船瀬氏は、その後、「疾れ!電気自動車」(筑地書館)を執筆、出版した。その時、取材した清水浩さんは、淡々と言った。
「売れないと思いますよ。世間に関心がないですからね」
もはや、達観の境地にあるように見えた。その通り、初版も売り切れなかった。IZAが幻に終わった最大の理由は、一般大衆の無知、無関心にあったというわけである。
清水さん自身も、国立環境研究所を追われるように辞めている。
「あまりに性能の良すぎるEVを作った」ためであることは言うまでもない。
彼は、幸いに慶応大学に教授として招聘され、さらなる天才の華を咲かせ続けている。世界最高性能の各種EV実用モデルを矢継ぎ早に発表した。船瀬氏は、改めて、その情熱と才能に舌を巻き、感嘆している。
以下は船瀬氏著「ザ・グリーン テクノロジー」(彩流社)に掲載した。
「ルシオール」は、前後2シートのコミュータEV。加速性能は、ベンツをしのぐと専門家を驚嘆させている。太陽電池パネルを装備すれば、ソーラーカーに一変する。
「KAZ」は8人乗りの本格的な世界初のEVリムジン。ハリウッド映画に登場しそうな豪華さだ。最高速度は時速310㎞と、他の追随を許さない。
天才・清水イズムの集大成が「エリーカ」だ。8輪のダイレクト・ドライブ方式。圧倒的なインパクトの外観。そして、イタリアの周囲コースで時速370・3㎞を達成。直線コースなら、時速400㎞は確実なウルトラEVだ。エリーカは同タイプのガソリン車の4倍もの燃費効率を誇る。
もはや、あらゆる面でガソリン車はEVに完敗しているのだ。しかし、天下のトヨタは、燃料電池を選択するという致命的な迷走を続けてきた。清水さんは苦笑交じりに語った。
「水素がなければ、ただのハコです」
自動車にとってインフラが生命線だ。子供でも分かる。電気インフラは、日本全国、僻地にまで完備している。水素インフラはゼロである。
設置コストを比較すると、EV用・急速充電の電気スタンドは約200万円、ガソリンスタンドは約2000万円、そして水素スタンドは2億円かかる。燃料電池車に明日はないことは、赤子でもわかる。トヨタを愚行に迷走・暴走させたのも、闇の勢力の暗躍と圧力であろう。
今頃になって、去る2017年8月4日、トヨタはEV開発のためマツダとの資本提供を突然発表した。あまりに遅すぎる対応と言わざるを得ない。船瀬氏の手元には「誰が電気自動車を殺したのか?」というドキュメンタリー映画がある。(2009年製作)
サブタイトルは、「市場から電気自動車が消えた!」である。
「過去、大きな注目を集めた電気自動車。カリフォルニア州は1996年から電気自動車の導入政策を進めたのだが、ある時期から、電気自動車が街から消えてしまった。果たして、誰かの陰謀なのか?」(同解説より)
そこには、トム・ハンクスやメル・ギブソンなど、名だたるハリウッド・スターも出演し、EVを圧殺した陰謀を告発している。画面に登場するのは、GMが開発したEV「EV1」。高性能EVとして世界的な注目を集めていたにもかかわらず、忽然と消えてしまった。・・・・数千台が強制的に回収されスクラップにされたという。むろん、石油利権が暗躍して、EVを抹殺したことは言うまでもない。
では、2017年になって、どうしてトヨタは慌ててEV開発に急ハンドルを切ったのか?
その理由は、世界各国の急速なガソリン車離れだ。むろん、ディーゼル車も例外ではない。2016年2月、ノルウェーなど北欧から始まったガソリン車やディーゼル車販売禁止の動きは、急激に世界中に拡大している。
それに、深刻な大気汚染に悩む中国も追随し、もはや誰にも止められない巨大潮流(メガトレンド)となっている。
ノルウェー政府は、「2025年に、全てのガソリン車を販売禁止とする」と公表した。次いでオランダは2025年、スウェーデン、ドイツ、インドが2030年、フランス、イギリスが2040年より販売禁止を決定した。そこには、プリウスのようなプラグ・イン・ハイブリッド車も含まれる。さらに中国も2018年からの規制を打ち出した。この動きに後進国アメリカも、慌てて2018年、規制の方針を打ち出したのだ。そして、日本は、またもや蚊帳の外である。世界の動きから、大きく取り残されている。
世界各国がようやくゼロ・エミッション(排気ゼロ)のEVにシフトを始めたことは、喜ばしいことだ。しかし、余りにも遅すぎる。天才・清水浩氏がスーパーEVIZAを世に問うてから、すでに30年近くの年月がむなしく過ぎている。声を嗄らし、足を棒にして著書で講演でEV普及を訴え続けてきた船瀬氏にとって、うれしさよりもむなしさがこみ上げる。この失われた30年の責任の一端は、一般大衆にもある。知ろうとしなかった、動かなかった、市民にも非はあるのだ。未来のために、今度こそ、とりわけ若い人たちに、EV加速と普及に立ち上がってほしい。