(23)お茶、イチゴ、ブドウ・・日本はEU残留基準の300~500倍である!
戦慄するのは、茶畑、水田以外でも、リンゴ、ナシ、桃、イチゴ、トマトなど多方面で乱用されていることだ。
船瀬氏は、その残留基準値を見て驚愕したという。例えば、ブドウや茶葉は、EU残留基準(当時)の500倍と桁外れであった。これに対して市民グループ、消費者団体は政府(厚労省)に猛烈に抗議した。
政府は慌てて、2010年に一部改訂した。しかし、これら新基準を見ても、対EU比率は依然として500倍だった。改訂されても、イチゴ、茶は300倍と物凄い残留基準である。例えば、体重25kgの子供がブドウを食べると、1日の摂取許容量を超えてしまう。これらネオニコチノイド農薬は「洗っても落ちない」のだ。なぜなら、水溶性なので果物の表面ではなく、内部に浸透するからだ。その害から逃れるには、食べないか、無農薬のものを選ぶしかない。すでに、国産蜂蜜からネオニコチノイドが検出されている。汚染は確実に進行している。
「市販13種の蜂蜜で、ニテンピラムやアセタミブリド系農薬の濃度を調査し、アセタミブリドがすべての蜂蜜から検出され、最高は1mlあたり5・9ナノグラムだった。ニテンピラム、チアクロプリド、チアメトキサムも一部から検出され、最高はチアクプリドの1mlあたり16ナノグラムだった」(「東京新聞」2013年8月19日)
蜂蜜汚染を確認したのは愛媛大農学部・河野公栄教授らのチームである。蜜蜂への影響が特に大きいチアメトキサムの生涯摂取量を試算すると「短期間に摂取した場合、蜜蜂の半数が死ぬ量の約2分の1に達する」という。米国では近年、自閉症が増えている。自閉症は、発達障害の一種。それは、化学物質や電磁波などによる環境汚染で激増していることは言うまでもない。さらに、喘息、小児がん、糖尿病、先天異常・・・。
その大きな引き金が、ネオニコチノイドなど農薬による障害なのだ。世界の子供を巡る状況は、背筋が凍るほど悪化している。(JEPA資料)
日本では残留基準が杜撰なら、農薬使用量も桁外れである。「34か国が加盟する経済協力開発機構(OECD)の調べでは、面積当たりの農薬使用量は、2010年では、日本は韓国に次いで2番目に多く、ドイツの約10倍、米国の約6倍だ」(「東京新聞」2013年11月25日)
ネオニコチノイドでも、残留基準がEUの300倍~500倍と出鱈目の極みである。農薬乱用も当たり前であり、メディアが報道しないため、国民は全く蚊帳の外だ。最も不安なのは、子供たちの健康だ。ネオニコチノイド農薬は「ニコチンと同じように子供の脳に対する毒性が特に強い。注意欠陥、多動性障害などの発達障害が心配される。そうした危険があるのに、使用を増やそうというのは、人の健康を脅かす」(黒田洋一郎氏)
ネオニコチノイドを巡る我が国の狂気は続く。世界各国は同農薬が蜜蜂消失の原因であると次々に断定し、厳しい規制措置を打ち出している。2006年、フランスでの禁止に続き、EU、アメリカなどが次々にネオニコチノイド禁止や規制を打ち出している。
しかし、日本だけが禁止どころか一切規制がない。茶葉、ブドウ、イチゴなどの農薬残留基準の数値もひどい。日本はEU残留基準の300~500倍も残留OKと言うザル基準である。そして、EUはネオニコチノイドを禁止した。だから使用続行し、一切野放しの日本の狂気が際立つのだ。知らぬは国民ばかりである。ほとんどのマス・メディアはEU禁止措置を報道すらしなかった。
NHKは「クローズアップ現代」で特集を組んでいながら、直前に放送延期という不可解な措置がなされた。遅れて放送された内容は、ズタズタに編集されていた。農薬業界からの圧力で肝心な部分はカットされ、スタジオ収録にすり替えられた。農薬メーカー側は、EUの禁止措置に、平然とこう公言しているのだ。
「化学的な結論が明確になっていない中、多くの反対をかえりみずに実施され、行き過ぎである」
どの面下げて…と、船瀬氏は満身の怒りを込めて彼らを告発するのである。