(19)ネオニコチノイド濃毒を欧米派全面禁止へ、日本は野放し
環境ホルモンと言えば、大気や土壌を汚染する化学物質と勘違いしている人が多い。そんな生易しいものではない。実際には、食物、飲み水などもダイレクトに汚染されている。典型が、農薬だ。この用語は間違っていると船瀬氏は主張している。正確には「農毒」と表記すべきだ。そして、農家の人は、この「農毒」を撒く作業を「消毒」と呼んでいる。毒を撒いて、毒を消すとは、これいかに? 正確には「毒撒き」と言い表すべきだ。「農毒」で最近、急激に使用量が増えているのがネオニコチノイド系だ。
ネオニコチノイド「農毒」は、蜜蜂の神経を狂わせ、絶滅に追い込んでいる。よって、ヨーロッパなど世界各国で禁止、あるいは厳しい規制が課せられている。EU(ヨーロッパ連合)は2013年末、ネオニコ3成分を使用禁止、さらに全面禁止法案が提出された。フランスでは2018年9月から、ネオニコ使用を全面禁止する法律を可決した。しかし、日本だけが全くの野放しなのだ。
昆虫蜜蜂も、ほ乳類ヒトの神経系も、構造は同じだ。だから、蜜蜂の神経が狂う、ということはヒトの神経も狂う。「発達障害の急増原因にネオニコチノイド農薬がある」と警告するのが、脳神経学者・黒田洋一郎氏である。それが、東京都医学総合研究所が2012年に発表した研究論文である。
「ラットの小脳の培養細胞にネオニコチノイド添加すると、神経細胞の興奮作用によりニコチン性受容体を通るカルシウム・イオン流入を異常に増加させる」「カルシウム・イオン流入が(神経接合部)シナプス形成など、脳発達を調整しているから、発達異常が起こる」(黒田氏「消費者リポート」2017年5月20日)
この実験結果が、EUの食品安全機関に伝わり、EUネオニコチノイド規制強化につながったという。
「蜂がいなくなった原因として知られていたネオニコチノイドが、実はヒトにも悪影響を与えていたことが、広く散れ渡った」(黒田氏)
さらに、2016年、国立環境研究所の追試でネオニコチノイド神経毒性は決定的となった。
「マウス母親にネオニコチノイド曝露させたら、生まれた子供の行動の一部に、障害が現れたのです。全部ではなく、一部と言うことろが、発達障害の特徴を表している」(黒田氏)
神経毒性があるのは、ネオニコチノイド系農毒だけではない。以前から使われていた有機リン系農薬も、恐るべき神経毒物なのだ。そして、驚愕するのは、日本における「農毒」使用量が異様に突出していることだ。単位面積当たり農薬使用量は、欧米に比べて日本と韓国が1位、2位を分け合っている。欧米との差は約10~15倍と桁外れである。自閉症と発達障害の有病率の国際比較でもやはり、日本と韓国が突出している。
日韓に共通しているのは、アメリカの属国であること。その結果、有無を言わさず危険な「農毒」を大量に売りつけられ、大量の発達障害を生み出している。そして、例によって、新聞、テレビなどのマス・メディアなどは、これらの惨劇を一切報道しない、いや出来ないのだ。世界の農薬利権を独占するロックフェラー財閥が絶対に許さないからだ。
「無農薬の有機野菜を食べているから安全だ」と思っている人もいるだろう。ところが、これら「農毒」の使用は、農業だけにとどまらない。神経毒の有機リン農薬やネオニコチノイド農薬が、新建材や合板、木材などのも乱用されている。建材の「殺菌剤」「防腐剤」「坊蟻剤」などに密かに使われている。神経毒は、木材や新建材などから揮発して室内に漂う。室内が「農毒」散布した畑と同じように、神経毒の霧で汚染される。これらは、間違いなくシックハウス症候群を引き起こす。時には、頭痛、不安、抑うつ、イライラ、不眠などの神経症状を引き起こす。時には、刃物を振り回すような暴力衝動につながる。家庭内暴力、幼児虐待、さらには障害や、最悪、殺人などにつながりかねない。
当人たちも、イラ立ち、衝動的な怒り、暴力が、建材に使われているネオニコチノイド系農薬のせいだとは夢にも思わない。例によって、建材業界と癒着した政府、行政は、一切注意を喚起しない。大企業のスポンサーに頭が上がらないテレビ、新聞も、これら恐ろしい事実には一切触れない。書かない、語らない。