(13)自民党政権も認めた合成洗剤の毒性
「合成洗剤は、中程度の毒物である」-これは、かっての科学技術庁による公文書の一節である。
自民党政権ですら、合成洗剤は毒物であると、認めていたのだ。しかし、戦後、マスコミは一度、一文たりとも「合成洗剤は毒である」と認めたことはない。なぜなら、花王、ライオンなどの洗剤メーカーはマスメディアにとって最大級のスポンサーだったからだ。
かって、あるマスコミ人はこう嘯いた。「お得意様のことを、悪く書けませんよ」
かくして、洗剤メーカーはメディアに対して、今も絶大な権力をほしいままにしている。
船瀬氏は大学時代に、全学共闘会議などの新左翼運動が、内ゲバなどと言った凄惨な暴力闘争を繰り返していく様を絶望感を覚えていた。だから、卒業すると市民による社会変革の可能性を求めて日消連に参加した。受け持った部署は出版編集だった。最初に執筆した本は「合成洗剤はもういらないー粉せっけんのすすめ」である。当時、消費者運動の中心が、洗剤追放運動だった。合成洗剤は当時からすでに、年間約100万トンも生産、消費されていた。それはまさに、時の自民党政権(科学技術庁)も公的に認めた毒物であった。しかし、それが有毒物であることを、ほとんどの消費者は一切知らされることはなかった。
そうして衣類を洗い、食器を洗い、頭を洗っていたのである。それだけではない。合成洗剤は歯磨き剤にも配合されていたし、今もされている。有毒な化学物質で口の中をこすりまわしているのだ。毒は舌の味蕾細胞を溶かし、味覚を破壊する。歯磨きのあと、みそ汁の味がわかりにくくなるのは、そのためである。それらの愚行は今も全く変わらない。
しかし、マスコミも科学者も政府も、合成洗剤の毒性については、一切口をつぐんだままだ。メディアというより、現代社会の最大級のタブーだからだ。
「合成洗剤でなければ、なんで洗ったらいいの?」-答えは簡単である。石鹸で洗えばいいのである。
だから、当時の主婦たちの合成洗剤・追放運動は、即石鹸普及運動だった。毒物の合成洗剤は、使用する消費者の健康を破壊する。台所では、主婦たちは手荒れに悩まされた。洗剤成分は、れっきとした皮膚毒物だ。毒は洗濯物に残留する。それはまず赤ちゃんのオムツかぶれ、発疹などの肌荒れを引き起こした。シーツ、枕カバーなどに残留した合成洗剤が、ひどい肌荒れを起こす。赤ちゃんも、選択を粉石鹸に替えたら、見る間にすべすべの肌に戻っていく。
合成洗剤の毒性は、手荒れ、肌荒れだけではない。あまりの多さに数えきれないほどだ。毒性は、体内に侵入したとき、発揮される。最たるものが肝臓毒性である。肝臓がダメージを受け、肝障害を起こす。
「合成洗剤が体内に入ることがあるのか?」と言う疑問を持つはずである。まず、侵入経路は皮膚である。皮膚表面は「皮膚膜」と言う保護層に覆われている。それは水分を弾く脂の層だが、それ以外にも体外からの毒物侵入を防いでいる。ところが、合成洗剤の主成分は、合成界面活性剤だ。
ここで少し、解説しておく。
物体の上に水滴が堕ちた状態をイメージしてほしい。