(11)原価は数円~数十円、マスコミ・医者・政府はグルだ!
バリアゾーンが破壊された「累積性皮膚炎」の悲劇は、さらに続く。それが、化粧品成分の刺激による「接触性皮膚炎」「アレルギー皮膚炎」「発疹」「腫れ」「シミ」「ソバカス」「ニキビ」、そして最後は「黒皮症」の悲劇が待っている。
「化粧品成分は、ほとんど肌にとって異物、刺激物、毒物です。まず、合成界面活性剤が保護層(皮膚膜)を破壊するため、これら毒物は表皮から真皮層に侵入し、さらにメラニン色素を生成する基底細胞層に侵入し、メラニン細胞を刺激します。すると、メラニン色素が生成され、それがシミ、ソバカス、黒皮症を引き起こすのです」(田代実教授)
テレビも新聞も政府も化粧品が「肌を荒らす」「シミ、ソバカスのもと」などと、一切教えてくれない。「色黒」を防ぐどころか「黒皮症になる」など一言もいわない。当然である。彼らは全員グルなのだから。化粧品の中身の原価は、1万円程度の商品でも数円~数十円である。ひっくり返るほどのボロ儲けである。(これは製薬会社も同様である) 新聞、テレビ、雑誌、メディアにとって、化粧品広告は実に美味しい収入源だ。だから、化粧品批判なんか口が裂けてもできない。一字一句書けない。
では、医者はどうか?
船瀬氏はスキンケアではなく、スキンダメージ商品でしかないことを明快に解説してくださった田代実教授の勇気に心から感謝をしている。また、「化粧品毒性テーブル」で成分毒性を公表した西尾一博士にも敬意を表している。さて、その他もほとんどの医者たちは、まさに、情けないの一言である。
化粧品公害が世間を騒がせていた時、東京都消費者センターが「化粧品問題を考える」公開シンポジウムを開催した。その時、船瀬氏は消費者側として参加したのだが、日本美容皮膚科学会から安田利顕博士が登壇した。
彼は「美容の皮膚科学」と言う専門書をまとめたほどの、まさに学界の重鎮だった。その彼が登壇して、苦渋に満ちた表情でこう言ったのだ。
「化粧品が売れなくなったら、皮膚科医の半分は、おまんまの食い上げでございます」
壇上の傍らにいた船瀬氏は、あっけにとられてその横顔を見上げたという。つまり、日本中の消費者が、せっせと化粧品を顔に塗ってくれるおかげで、皮膚トラブルが絶えず、皮膚科医も食っていけると、皮膚科学会のトップが公言したのである。
では、化粧品を取り締まる側の政府はどうか?
これもまた情けないというより、犯罪的である。船瀬氏は、クリーム、乳液、化粧水など基礎化粧品の効能に堂々と詐欺表現があふれていることに驚いた。これらは、化粧品・医薬品の虚偽表示を取り締まる薬事法違反(66条)であり、不当表示を取り締まる景品表示法(4条)違反、並びに刑法、詐欺罪(246条)に違反している。つまり、犯罪行為そのものなのだ。それを白昼堂々と、それもテレビ、新聞、雑誌を使ってやってのけている蛮勇にあきれ返った。
しかし、化粧品会社による堂々たる詐欺犯罪も、なんと、政府のお墨付きがあったのだ。それが厚生省(当時)の「薬務局長通知」である。そこには、化粧品の「効能」は次の通り・・肌荒れ、色黒、ニキビ、鮫肌、小じわ、たるみ、老化を防ぐ、栄養を与えるなど云々。このお墨付きが全国都道府県に通知されていたことに、船瀬氏は唖然呆然とした。つまり、化粧品の犯罪表示を取り締まる立場の監督官庁が、率先して、詐欺表示を推奨支援していたのだ。官業の癒着はここに、極まれり。