(10)クリーム、乳液、化粧水で「肌荒れ」になるメカニズム
なぜ、これだけ皮膚障害が起きるのか?
そのメカニズムも田代実教授は、丁寧に説明してくれた。
まず、その前に、化粧品類を2つに大別しなければならない。化粧品には2種類ある。「メイク化粧品」と「基礎化粧品」である。前者は「メイクアップ用」である。本来、化粧とは「化けて」「粧う」と書き、メイクアップ用品なのだ。ところが、化粧品メーカーは、「基礎化粧品」なる商品も販売している。彼らは、これらを別名「スキンケア」化粧品として販売している。「基礎化粧品」とは、クリーム、乳液、化粧水のたぐいだ。そして、「メイクアップ化粧品」は口紅、頬紅、眉墨、ファンデーションなどである。
田代教授が問題にするのは「基礎化粧品」である。これらは「スキンケア」と謳っているが、実は「スキンダメージ」になっている。
まず、「クリーム、乳液、化粧水で、お手入れするほど肌は荒れます」(田代教授)
つまり、肌荒れを防ぐと信じて顔に塗ってきた基礎化粧品が、実は、「肌荒れ」の原因だったのだ。その肌荒れが起きるメカニズムも明解である。
「肌は表皮と真皮と皮下組織の3層に別れますさらに表皮の最上層は角質層となっており、保護層(バリアゾーン)が形成されています。これが「皮脂膜」です。「皮脂膜」は、皮脂腺から分泌された皮脂と、汗腺から分泌された水分とが乳化して角質最上層を覆っています。「皮脂膜」の働きは2つあります。1つは外部から異物の侵入を防ぐ。皮膚に水を垂らすと弾いて水滴になる。これは皮脂腺が水を弾いて、侵入を防いでいるからです。もう1つは、表皮からの水分の蒸発を防ぐためです。だから、皮膚はしっとりと、みずみずしさを保てるのです。皮脂膜が破壊されると、水分がどんどん蒸発して、ツッパリ、ガサつきます。これが肌荒れです」(田代教授)
ではなぜ、クリーム、乳液、化粧水のお手入れで、肌荒れになるのだろうか?
「化粧品の正体は、油と水を練り合わせたものです。水分が多くなると、クリームは乳液になり、さらに多くなると化粧水になります。この油と水を混ぜ合わせる時、必ず合成界面活性剤が必要になります。これは、合成洗剤の仲間です。つまり、油を溶かす作用がある。クリーム、乳液、化粧水を顔に塗ると、この合成界面活性剤が、皮膚の保護層「皮脂膜」を溶かし、破壊してしまうのです。これが肌荒れになる第1段階です」
さらに毎日、これら基礎化粧品を顔に塗り続けているとどうなるのか?
化粧品は油と水を混ぜ合わせたものだ。だからスキンケアとは顔に外から油を塗る行為なのである。外から毎日油を供給していると、だんだん、皮脂腺からの油(皮脂)の分泌が衰えていく。これは使わなければ衰えるという生命の基本原理である。
「顔を洗って、素肌のままでいると、顔が突っ張って、カサつくようになる。これが肌荒れの第2段階です」(田代教授)
つまり、日本中の女性が毎日行っているクリーム、乳液などのお手入れは、結局、余計な油を毎日肌に塗りこむために、皮脂腺の分泌を衰えさせ、逆に「突っ張る」「カサつく」などの肌荒れを作っているのだ。
「お手入れは、実は肌の健やかさの源である皮脂膜を破壊している。毎日お手入れをしている女性は例外なく顔だけが突っ張り、カサつき、粉をふくようになる。さらに、皮脂の分泌が衰え保護層の皮脂膜が破壊されているため、有害な化粧品成分(合成保存料、殺菌料、酸化防止剤、合成香料、タール系色素など)の刺激を受け、接触性皮膚炎、アレルギー皮膚炎、発疹などで肌のトラブルを起こすようになるのです。これが化粧品による第3段階の害で、これが「累積性皮膚炎」です。その結果、小じわ、垂水、肌の老化も進みます」(田代教授)
まさにスキンケアの正体は、スキンダメージだった。
この真実に気付かず、今も、日本中の女性たちがCMや美容部員たちの洗脳に乗せられ、お手荒らしを繰り返している。
何もつけないで素肌のままでいると、たちまちパリパリに突っ張って、カサつくはずである。そして我慢していると、顔が粉をふいてひび割れそうに辛くなる・・・・。これが田代教授の言う慢性の肌荒れ・・・「累積性皮膚炎」である。
首の下からのクリーム、乳液、化粧水を塗らなかった部分は、素肌でも、しっとり何も起こらないはずである。お手入れした部分だけがカサつき、突っ張る。まさにその正体は「お手荒らし」そのものだった。