(8)肉はタバコより多くの人類を殺してきた!
「肉食は人を殺す!」と警告するのは「マッドカウボーイ」の著者ハワード・F・ライマンである。
彼は「肉食は、タバコより多くの人を殺してきた」と断言する。さらに続ける。「肉食こそ、アメリカ国内の病気と死亡原因の断トツのトップなのだ」「アメリカ人の2人に1人は、心臓血管系の疾患で死ぬ運命にある」「心臓病、脳卒中は無用の死である」
米国と中国のたんぱく質摂取量を比較する。動物たんぱく質の割合が増えるほど、癌・心臓病リスクは高まっている。動物たんぱくこそ、癌・心臓病の最大元凶なのだ。肉好き諸氏は覚悟して食べるべきだ。
国別の食品供給量と心筋梗塞などの虚血性心臓病による死亡率の関係を見る。肉消費が増えると心臓病死が増え、穀物消費が増えると心臓病死は減っている。肉食制限こそが正しい。世間でブームの糖質(炭水化物)制限が狂気の沙汰化は、この事実からもわかる。肉原因のアテロームで詰まるのは心臓冠状動脈だけではない。脳の血管が詰まれば脳梗塞、破れれば脳出血。これらは合わせて脳卒中と呼ばれる。それも、肉食中心の生活で血管内にアテロームが沈着したためである。
当然、心臓病の原因は、肉だけではなく、動物性脂肪も激増させる。また、コレステロール摂取量と心臓麻痺死も正比例している。因みに、体重で体脂肪が増えるほど、死亡率も増えていく。肥満指数が2倍になると、死亡率は2・5倍に増えている。
血圧を気にして降圧剤を飲まされている高齢者が非常に多い。70歳以上に2人に1人は、降圧剤を医者から処方されている。採食にすれば血圧はいやでも下がる。
肉食者と菜食者の血圧を比較する。肉食者は加齢とともに血圧が上昇する。それは動脈硬化が進行するからだ。逆にベジタリアンが年をとって30代なみの血圧でいられるのは、血管が柔らかい証である。なお、心臓病死には、動物脂肪だけでなく、動物たんぱくも影響している。肉や牛乳、チーズなど動物たんぱく質摂取量が増えるほど、比例して心臓病死も増えていく。
肉食、動物食は、糖尿病も悪化させる。肉を食べる人は、全く食べない人に比べて3・8倍も糖尿病で死亡している。脂肪摂取量が増えるほど糖尿病死が増え、炭水化物摂取量が増えるほど糖尿病が減る。だから、糖質制限など、根本的に間違っているのだ。糖尿病は、肉食、飽食の高カロリー、高たんぱく、高脂肪、高精白、高砂糖の五高食が原因である。さらに牛乳を飲む国ほど糖尿病(1型)が増加している。
さらに、動物食は万病を引き起こす。原因の一つは血液酸性化だ。和食は血液をアルカリ化し正常値に近づける。洋食は異常に酸性化する。これは肉などが腸内で、悪玉菌による分解で、各種の酸毒を発生させるからだ。血液、体液が酸性化し、アシドーシスに傾くとイライラしてくる。だから肉食者は怒りっぽい。切れやすい。攻撃的なる。
食べ間違いが万病のもとなのだ。しかし、栄養学の授業を一切受けたことのない現代医学の医師たちは全く、その事実に気づかない。これは医療の悲劇であり、喜劇でもある。動物食から採食への食事指導で患者数は約3分の1へと劇的に改善する。
多くの医学データがそれを証明している。
①牛乳摂取量と多発性硬化症の関連を見る。→牛乳が症状を悪化させている。
②たんぱく質をとるほど、カルシウムが尿中に排泄される。→たんぱく質の多食は、骨粗しょう症の原因となる。
③骨折は動物たんぱく質が植物たんぱく質を上回るほど多く発症する。→たんぱく質の多い食事は骨を脆くする。
④動物たんぱく質を多くとるほど尿路結石が増える。→1日20グラムを超えると急増し、24グラムで1・5倍となる。
胆石、腎石などの患者は、肉食のツケが回ったのだ。
肉を食うと精がつくと信じている男性陣は多いが、肉食はセックスを弱くするという。米国のテリーメイスン博士は「肉食習慣と言うライフスタイルはペニスにも、心臓にも、悪影響を与えていた」と断言する。オーガニック野菜中心の有機農家の男性精子は2倍以上だという。肉食は、EDや不妊の最大原因と言っても過言ではない。
最後に肉類こそ決定的な発癌物質である証拠を挙げておく。WHO(世界保健機関)が最近、加工肉の発癌性を5段階評価でダイオキシン並みの最凶とした。赤肉を上位から2番目の発癌物質と断定した。WHOも、もはやこれら膨大な決定的証拠を隠しきれなくなったからだ。
自分で肉や牛乳を食べる分には自由である。しかし、著作で「健康にいいから肉を食え!」「長生きしたけりゃ肉を食え!」などと、やったら犯罪である。責任をどうとるのか? 肉食推進派の方々、それでも「肉を食え!」と叫ぶなら、これらデータ一つ一つに、客観的に、科学的に、克明に、反論してみせてほしいと船瀬氏は主張する。それができなければ黙っていろ! そういうことなのである。