(44)クリントン一族の「ロシア・ウラン利権」疑惑
クリントン一族は、「売国奴」のそしりを免れない行為も繰り返してきた。クリントン一族とロシアのウラン事業との癒着である。その疑惑を理解するには、十数年前のカザフスタンまで遡る必要がある。
2005年、頻繁にカザフスタンを訪れるようになったビルは、悪名高い独裁者、ヌルスルタン・ナザルバエフ大統領と、公式会談及び私的なミーティングを重ねるようになった。ビルが同国を訪問した表向きの理由は、HIV患者への援助活動である。しかし、実際にはカザフスタンにHIV患者など、ほとんど存在しなかった。
クリントンがカザフスタンに近づいた本当の理由は、同国の巨大なウラン鉱床と関係する。クリントン一族のウラン事業利権のキーパーソンとなったのは、カナダの鉱業界の大物、フランク・ギウストラである。カナダ鉱業株のインサイダー取引の噂もある、いわくつきの男だ。2006年のニューヨーカー誌の取材で、ギウストラは「自分のほぼすべてをビル・クリントンに賭けている」と、あけすけともいえる本音を述べている。
クリントン一族とギウストラは、CGSGI(クリントン・ギウストラ・持続可能な成長イニシアチブ)という、胡散臭い名称の組織を作る。
ギウストラは、鉱業に関してはベテランであったが、ウラン事業に関しては未経験であった。そのようなギウストラが作ったペーパーカンパニー、ユーラシア・エナジー社が、カザフスタンの国有原子力公社カザトムプロムとの取引権を取得した。裏には、ナザルバエフ大統領の強い支持があった。
2007年、ギウストラはユーラシア・エナジー社を、カナダに拠点を置くウラン採掘企業ウラニウム・ワンに吸収合併させる。国有原子力公社の主要取引企業の合併には、当然、カザフスタン政府の承認が必要であったが、ここで当時上院議員であったヒラリーの力が発揮された。ヒラリーがカザフスタン政府の高官にこの取引の保証を迫ったと、後にカザトムプロム社長が証言している。
そして、2008年から2009年にかけて、ギウストラはクリントン財団に3130万ドルを寄付し、さらに、それ以降のウラン事業による収益の半分を財団に寄付することを約束した。カザフスタンのウラン事業絡みで財団が得た寄付金の総額は、1億4500万ドルに及ぶという。
その後、カザフスタンのウラン利権獲得に成功したクリントン一族は、同種のビジネスをアフリカのコンゴ、エチオピア、スーダン、さらには南米のコロンビアなどでも展開している。
2010年、ロシアの原子力事業を統括する国営原子力企業ロスアトムが、ウラニウム・ワンの株式の過半数52%を取得するという計画を発表した。同年10月22日、この過半数取得に対して、ヒラリー国務長官が中心メンバーであるCFIUS(対米外国投資委員会)が承認を与えた。
もともと、ヒラリーはCFIUSの中では、アメリカの戦略的資産を海外へ売却することに反対の意向を示していた。しかし、ビルとクリントン財団が関わるウラニウム・ワンの件については、この従来の意向は忘れ去って承認を支持している。さらに2011年1月12日、ヒラリーはオバマを後押しして、2008年に締結されながら凍結されていた米ロ原子力平和利用協定を発効させる。この協定は、後にロシアがウラニウム・ワンの支配権を強めていく強力なバックボーンとなった。
その後、ロスアトムはウラニウム・ワンの支配権を100%得る。そして、2015年までウラニウム・ワンはアメリカのウラン生産量の半分をコントロールするほどになる。
ロシア政府からは、サリダ・キャピタルと言うロスアトムの系列会社の疑いがある投資会社を通じて、2010年から2012年の間にクリントン財団に対して数百ドル規模の寄付があったとされている。
さらに、ロスアトムは株所有権移行の際に、数百万ドルに及ぶ株価の32%のプレミアムをウラニウム・ワン社長イアン・テルファーら株主に与え、その裏でイアンはカナダの事業体とCGSGIをトンネルとして、クリントン財団に235万ドルを寄付している。
このクリントン一族のロシア疑惑を大手メディアは無視続けた。トランプはツイッターで「クリントンが協力し、オバマ政権も容認していたロシアとのウラン取引は、フェイクメディアがもっとも扱いたがらないストーリーだ!」と怒りをあらわにした。トランプ政権誕生後、クリントン一族の不正疑惑に対して捜査のメスが入るようになった。
複数の筋からの情報を総合すると、一連の疑惑において、クリントン夫婦が正式に刑事告訴される日は遠くない。