Quantcast
Channel: 日本と世界の情報ブログ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1382

マネーカースト(24)

$
0
0

(24)国家権力が企てる「仮想通貨」のコントロール

 仮想通貨の懸念の方の話をする。世界の中央銀行はすでに早い段階から、仮想通貨のシステムに強い関心を示している。そして、そのシステムを利用した「法定デジタル通貨」の開発を進めている。

 今、「法定デジタル通貨」と言う言葉を使った。なぜ、「法定仮想通貨」と言わないのか? それは、仮想通貨の定義には「中央銀行などの公的な発行主体や管理者が存在しない」と言う性質が含まれているからである。「法定仮想通貨」や「国が運営する仮想通貨」と言う言葉は語義矛盾をはらんでしまうからである。ここでは、公的機関が管理する「ブロックチェーンを利用した通貨」のことは「法定デジタル通貨」と呼び分けることにする。

 世界各国の中央銀行は。1990年代からすでに貨幣のデジタル化=電子マネー開発に力を入れており、システム化も進めてきた。そして、その電子マネーシステムは、同じデジタル通貨である仮想通貨と高い親和性を持っている。世界の多くの政府は、国家権力下にコントロールできるものであれば、と言う条件付きで、換骨奪胎して仮想通貨のシステムを取り込もうと模索している。

 法定デジタル通貨の開発は、カナダ、シンガポール、スウェーデンが先行し、アメリカ、イギリス、オランダ、日本も追い上げている。だが、法定デジタル通貨の一番乗りになりそうなのは、中国である。

 もともと中国は、仮想通貨大国である。2017年に当局が仮想通貨取引所に対する規制を始めるまでは、世界の93%の仮想通貨取引所が中国にあり、仮想通貨との交換通貨の実に94%を人民元が占めるという、驚異的な寡占状態だった。

 さらに仮想通貨の生命装置ともいえる、ブロックチェーンを繋げて情報体系を維持する「プルーフ・オブ・ワーク」と、その作業の対価として仮想通貨が支払われる「マイニング」と言うシステムもまた、シェアの67%を中国が占めていた。

 中国が仮想通貨の取引を禁止した、と言った記事を見かけることもあるが、正確には中国当局が停止命令を出したのは、仮想通貨と人民元の交換である。仮想通貨と他の外資との交換は認めている。

 中国は、国内の仮想通貨の流れそのものを潰す気はない。目指しているのは、公的デジタル通貨「デジタル人民元」の立ち上げである。それは「金本位制デジタル人民元」となる可能性が高い。

 仮想通貨に対して中国は3つの点を警戒している。

①仮想通貨の流通による海外への人民元流出である。

②西欧諸国側のAI(人工頭脳)によって仮想通貨取引が乗っ取られること。

③バックドアと呼ばれる全世界のコンピューターにハザールマフィアによって仕込まれた「欠陥」である。

 人民元の流出を抑え、実体のある「金」とリンクさせて、データである仮想通貨の脆弱さを補完する。そのための「金本位制デジタル人民元」を考えているのだ。

 どうやら、仮想通貨の世界でも、中国は欧米をリードしようとしているのだ。それに危機意識を抱いているアメリカ軍やロシア政府、日本の財界などもまた、水面下で「金本位制デジタル通貨」の立ち上げを進めているという情報も入ってきている。

 2018年1月の起こった「NEM流出事件」は、日本の仮想通貨取引所のシステムがハッキングされ、580億円相当の仮想通貨NEMが不正流出した事件である。犯人不明のまま、同年3月に入り、そのうちの約8億円分が、別の日本の仮想通貨取引所に流入していることも判明した。また同年3月8日、金融庁はコインチェック他、仮想通貨交換業者7社を一斉に行政処分すると発表、そのうち2社に業務停止命令が下った。犯人については、ベンジャミン氏の感触では、CIA内部の4ハザールマフィア残党か、NSA(アメリカ国家安全保障局)の上層部の犯行である可能性が高い。その2者のどちらかが実行して、北朝鮮の仕業であるような印象操作をしたのではないだろうか。

 ベンジャミン氏がそう感じるのは、世界的な「法定デジタル通貨」への流れと関係がある。法定デジタル通貨が進めば、当然、従来の仮想通貨との亀裂が起こると予測される。それを裏付けるように、欧米の旧体制である国際金融資本は、仮想通貨の台頭に対して否定的な発言を続けている。

 日本でも「改正資金決済法」により既に仮想通貨への法規制が進んでいる。仮想通貨取引所を登録制とする業務規制が徹底され、金融庁の監督が義務付けられた。また、利用者も本人確認が必須となり実質的には仮想通貨の匿名性は失われた。

 法定デジタル通貨では、ブロックチェーン事態を中央銀行が管理することになる。当然、個人や法人の支払い履歴を含むすべての取引記録を見ることができるようになる。また、仮想通貨取引所のデータも、金融庁管理となる可能性もある。今後、仮想通貨の持つ「透明性」と、中央集権的なシステムからの「自由」がどこまでは保たれるのか。その真価が問われるのは、これからである。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1382

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>