(14)「北朝鮮インサイダー取引」と「半島和平の真相」
北朝鮮問題を材料にした「錬金術」の二つ目は、売りつける商品が武器から「アメリカ国債」へと変わる。2017年夏ごろ、アメリカの大手放送局MSNBCなどが「北朝鮮情報の緊迫化に伴い、投資家たちが資産の安全な避難先を探して米国債を買っている」と言うストーリーを必死に報じて、米国債を買わせようとする動きがみられた。これを裏で操っていたのはアメリカの中央銀行FRB(連邦準備制度理事会)である。
価格が下がった米国債をFRBが自ら買い集めておき、買い煽りの報道で価格を上昇させて売り抜けようと画策したのだ。
これこそ、ハザールマフィアの常套手段である。おりしもFRBが悪巧みをしていた最中、2017年8月に、イギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズが同誌が関わった103年前のイギリス政府による国債詐欺について報じた。記事によれば、1914年、イギリス政府とヨーロッパ系ハザールマフィアの牙城イングランド銀行は、戦費調達のためにある計画を実行したと言う。まずイングランド銀行が、大量に売れ残っていた戦時公債(ウォーポンド)を買い取る。その後、フィナンシャル・タイムズが「債券が大人気で完売した」と言う嘘の記事を掲載する。そして、価格が高騰したところでイングランド銀行が売り抜ける、と言ったものだ。まさに、今回のFRBと全く同じ手法である。マスコミを使った「国債詐欺」は、ハザールマフィアのいつもの手口なのだ。
「錬金術」の三つ目は、壮大なインサイダー取引と呼ぶべきものである。つまり、事前にトランプが挑発的な発言をするタイミングを知っている者が、意図的に株価を操り、インサイダー取引で暴利を貪った可能性がある。この疑惑に関して、ベンジャミン氏としても裏が取れているわけではない。だが確信がある。様々な世界経済の数字の動きと、各種の情報を総合すると、やはり黒と言った判断が導き出される。この手法にも歴史の先例がある。1970年代から、イランとイスラエル両国の諜報部と通じていたリッチは、両政府に裏金を渡して「一触即発」を演出した。中近東諸国の政情不安によって変動する原油取引を巧妙に利用して、巨万の富を得たのだった。
北朝鮮ミサイル問題も間違いなく同じやり口である。戦争や紛争を演出して行うインサイダー取引なのだ。中東や北朝鮮の「一触即発」騒動を煽る馬鹿の一つ覚えのような手口に、世界は騙され続けてきたのだ。しかし、トランプの思惑と裏腹に「北朝鮮問題インサイダー取引」は思ったほどの成果を見せなくなっている。
トランプやハザールマフィアが、オオカミ少年のように繰り返す「核戦争が勃発するぞ!」と言う脅しが、バレつつあるのだ。そうした中、2018年3月9日、トランプは金正恩からの首脳会談の要請を受諾した。北朝鮮が突如、「非核化」と言うカードを持ち出したのだ。なぜ、一触即発の危機から一転、和平へと舵を切ったのだろうか?
これまで過去20年間、アメリカと北朝鮮は、核問題の緊張がピークに達するたびに、核の開発凍結や放棄を約束、いったん小休止を挟んできた。だが、しばらくすると必ず両国の協議は決裂して北朝鮮は核の開発や実験を再開し、元の緊迫した米朝関係に逆戻りした。これは「テンションリダクション」と言うマーケティングの手法とそっくりである。消費者のテンション(緊張)をリダクション(緩和)させて、注意力や警戒心が散漫な状態になった時、改めて商品を売り込むのだ。
これまで通りなら、同年春に開催予定の米朝首脳会談においても、非核化などを提示して緊張緩和を演出するだろう、そして、和平ムードで世界の注意力が下がったころ合いを見計らって協議を決裂させて、北朝鮮問題と言う「商品」への注目を再び集めるのだ。米朝首脳会談以降、北朝鮮問題がどのような展開を見せるのか、今度も注視する必要がある。